Episode 2

こうしてゴトウの新しい生活は始まった。

学業、女、大きなテレビ、食器洗い機、バイク、高コレステロール、遊び用の服、コスプレ撮影用カメラ…。

ホーチミンの中心部にある人文社会科学大学の瀟洒なキャンパスを肩で風を切って歩いていく。
「さて、と…。『ベトナム語基礎会話Ⅰ』はR棟302号室か」
スマホでシラバスを見ながら廊下を彷徨っていると、ふいに日本語で話しかけられた。

「どこか教室を探してますか」
振り向くと、そこには黒髪ロングヘアーのエスニック系美女が立っていた。
「あっはい…そうなんです。ベトナム語の教室を探しています」
ゴトウはそう言うと教室名が表示されたスマホを見せた。
「あら…私も丁度その授業に行くところなの」

なんてラッキーな日だ、とゴトウは思った。ついつい荒くなる鼻息と、勃起した股間を抑えるため、持っていたボールペンを自らの太ももに突き刺した。
「いてぇ!!」
思わず強く刺し過ぎ、咄嗟に叫んでしまった。
(まずい、このままでは変な奴だと思われてしまう)

「え…大丈夫ですか?血が出てますけど」
「いや、血はもともとなんだ。蚊にさされちゃってさ。あまりに痒過ぎてペンで掻こうと思ったら、力加減を間違っちゃった。ははは」
「ふふ…面白い人。名前は何て言うの?」

異国の地のキャンパスで出会った日本人同士ということもあり、意気投合した。彼女の名前はまほと言い、薬膳の研究をしているとのこと。
「薬膳カフェをベトナムでオープンするために、ベトナム語を学ぶことにしたの。ゴトウさんは?」
「俺はこっちで起業する予定なんで、ベトナム語も出来た方がいいかと思って」

簡単なオリエンテーションと自己紹介で終わった授業の後も、二人の会話は続いた。
「そう言えば、この後こっちで起業してる友達に会うんだけど、よかったらゴトウさんも来ない?絶対気が合うと思う」
「へぇ、面白そうだね。参加させてもらうよ」

たくさんのカフェが一つに密集したそのレトロな佇まいのビルの階段を登りながら、ゴトウはスカートごしに露わになったまほの形の整った尻を凝視し、勃起していた。
(ベトナム人も可愛いが、この娘も悪くない…。今から会うのは彼氏か?もし彼氏じゃなければ、頂いちまおう)
「えっと下着屋さんのフロアのここのカフェの筈…。あっ、いたいたぁ」
まほの視線の先に目を向けると、切れ長の目をした、薄めの顔の男が虚を突かれたようにこちらを向いていた。
「留学君、こちらが同じクラスのゴトウ君。ゴトウ君、留学君はベトナム語のオンライン語学学校を経営してる凄い人よ」

なんだかパッとしない胡散臭い奴…それがゴトウにとっての留学君の第一印象だった。一方留学君から見たゴトウの印象は、ちょっと薄気味悪いデブだった。

かれこれ2時間くらいカフェで話しただろうか。その頃には3人の盛り上がりは最高潮に達していた。

留学君「まほさんがどこかのスペースを借りて薬膳体験会を行う。そこに参加したベトナム人女性に語学講師のバイトを持ちかける」
ゴトウ「興味を示した人には更に時給が上がるオプションとして、コスプレ講師案を紹介する。そして宣材写真用にいくつかセクシーショットを撮る…」
まほ「稼いだお金で格安に薬膳カフェをオープン出来るプランを紹介し、バイト料を巻き上げる」
3人「完璧なプランだ」

こうして3人は異国の地で互いに助け合い、お互いの夢を叶えることを誓いあった。しかしこの時、後にあんなことが起ころうとは、誰も予期していなかった…。

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