2022年2月の全死因死者増加はワクチンのせいなのか?
日本の人口当りの全死因死者が2022年2月に増加しました。特に被害が大きな大阪府を例にとって解説します。
日本は綺麗好きでマスクなどの感染対策が優れていので被害が少ないという認識を持っている方が多いと思います。しかし2021年夏の第5波が新規陽性者が世界平均を超えるようになり、2022年1月の第6波から死者においても世界平均を超えるようになってきました。これでいてマスクに効果があったと言えるのでしょうか? 様々な面から検証していきます。
作成: 石井仁平医師
コロナ禍が始まり、やたらとエビデンス、エビデンスと騒がしくなりましたが、一口にエビデンスといっても、図のようにレベルがあり、エビデンスレベルが高いもの低いものエビデンスとしては認められないもの、とあります。 エビデンスとしては認められないものの代表に富岳のシミュレーションがありますが、これは後ほど解説します。 最高レベルのエビデンスはランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial, RCT)のメタ解析と言われるものです。これはランダム化比較試験での複数の論文の質を評価し(システマティックレビュー)、質が高いとして選び出された複数の論文を統合して結果を出します。 インフルエンザなどの呼吸器系感染症の感染防止にマスクが効果あるのか、RCTメタ解析論文として、2020年5月の香港大学Xiaoらの論文があります[1]。マスク着用に効果は認められないとなっています。参照論文の期間は1946–2018年と実に70年以上の論文の解析結果という最高レベルのエビデンスとなっています。 この論文は驚くべきことに、マスクを推奨してきたCDC(米国疾病対策予防センター)のページ[2]にも載せられています。CDCはマスクに効果が無いことを知っていながらずっと推奨してきたことになります。 マスクに効果は認められないとするRCTメタ解析論文があることは分りました。しかし逆の結果の論文が出ること自体は珍しくありません。そこでマスクは有効だとするRCTメタ解析論文を探してみます。 16のRCT論文のメタ解析で、N95マスクをフィッティングテストをした場合33パーセント感染リスクが下がったという結果はありますが、有意な結果ではありませんでした。[3] フィッティングテスト無しや不織布を使った場合の感染リスク抑制効果はそれより更に劣っています。 また数十や100以上の論文を解析した論文はあるのですが、RCTは無かったりごく僅かであったりで、代りに Control Case ばかりを集めています。[4, 5, 6] また図にも書かれているように有意差をもってマスクが有効だとするバングラディシュの RCT 論文[7] はあるのですが、これでマスクの有効性は認められないとするRCTメタ解析の結論を覆すことはできません。これを纏めてメタ解析しても有効性は認められないとの結果は同じで、そもそも質の高い論文と認められずにメタ解析の対象にならないと考えています。
スーパーコンピューター富岳を使った実験でマスクが有効性が示されたと何となく思っている方が多いと思われますが、その資料には『ただし20ミクロン以下の小さな飛沫に対する効果は限定的であり,マスクをしていない場合とほぼ同数の飛沫が,気管奥にまで達する』と書いてあります。[8] 新型コロナウイルスが空気感染(エアロゾル感染やマイクロ飛沫感染など呼び方は色々ある)であることはCDC(米国疾病予防管理センター)でも2021年5月には認められています。[9] 空気感染がある以上、マスクの効果は限定的です。
話が少し逸れますが、情報処理技術者でもある筆者の観点からみて、富岳は素晴らしいスーパーコンピューターだと思います。特にその並列度は圧倒的で、並列に様々な感染状況などを想定して高速にシュミレーションを行うことができることが魅力です。実際、17ヶ月の期間のうちに、1000以上の樣々な感染状況などを想定し結果を出したそうです。[10][11] 更に特筆すべきは、富岳の使い勝手の良さです。富岳には市販のオペレーティングシステム RedHat/Linux を同等の使い易さを保ったまま富岳用に拡張されインストールされています。皆さんがよく御存知のあの恰好よいCG(コンピューターグラフィックス)も、富岳を使って描かれています。これには筆者も富岳のその汎用性の高さに驚きました。(一般的には、スーパーコンピューターではシミュレーションの計算だけをさせて、手元のパソコンでCGを作ります。これには利用料金の問題も絡んできて、料金が問題とならないであろう理研自身の研究だからという面もあるとはいえ、です) ただし誤解して欲しくないのですが、一つの感染状況だけであれば、皆さんが入手可能なレベルのPCでも、富岳が使ったものと同じソフトウェアとデータさえあれば、シミュレーション計算し結果を得ることも、CGで恰好よい動画を作成することも可能です。繰返しになりますが、あくまで富岳は様々なシチュエーションを並列かつ高速で実行できることが特長なのです。 しかもその結果は、富岳シミュレーション資料に御叮嚀に『感染リスクについては,パラメータの設定で大きく結果は変わるので,あくまで参考値としてください!』と書かれています。つまりパラメータ(現実世界の挙動を仮定した数値)によって結果は大きく変ることに留意する必要があります。 このことを知らずに「富岳でマスクが有効だと結論が出た」と誤解している人が多いのでは無いでしょうか。 もう一つ、世間一般との乖離が大きいと思う点を一点指摘します。理研の報道陣向け発表、特にそれを受けてもメディアの報道発表は、「マスクに有効性があった」という論調が多かったと思います。しかし富岳の論文の中身は富岳がシミュレーションの実行を厖大な数できることやアルゴリズムを工夫して計算速度を向上させたことなどが主です。論文の結論としてマスクの有効性を謳ってはいないとにも注意して下さい。
マスクなどの感染対策でインフルエンザが激減したという言説が日本では広がっているように思います。しかしこれは簡単に反証が可能です。 図はスウェーデンにおける、2016/2017年シーズンから、新型コロナが流行した2020/2021シーズンのインフルエンザの觀測結果をグラフにしたものです。横軸は第何週であるかを示しています。縱軸はインフルエンザの定点觀測結果を示しています。 2020年から2021年初めまで、ロックダウン無しでほぼノーマスクのスウェーデンでもインフルエンザは流行しませんでした。 マスクの有無でインフルエンザが減ったわけでは無いのです。 インフルエンザが減った理由はウイルス干渉では無いかと筆者は考えています。
陽性者でも死者でも世界平均を超え出した日本ですが、現状の欧米と比べると大した違いはありません。一方で欧米は2022年の2月あたりから、もうマスク着用の推奨も義務もやめマスク姿を見ることは無くなっています。この違いはどこから生まれるのでしょうか。 筆者の考えでは、論理的に考えてマスクは不要と考えた人が多かったのか、それとも陰謀論に嵌ってマスク着用は支配者層の陰謀と考えた人が多かったのか、そういうことは関係無いと思います。単に「対策は無駄だった」また「マスクなんかしてて健康に過ごせるわけが無い」と考える人が多かったのだと思います。 日本人も人の目を気にしてでは無く、自分の健康をまず第一に考えてマスクを外しましょう。そうでないと子どもがかわいそうです。いくら先生がマスクを外すように言っても外さないということが起きていると聞きます。これは先生始め、大人が外さないからです。多くの大人が外すようにならないと子供が外せません。子供たちの健康と未来を考えて大人が効果の無いマスクを外しましょう。
日本の人口当りの全死因死者が2022年2月に増加しました。特に被害が大きな大阪府を例にとって解説します。
スウェーデンはロックダウンしないことで世界中から批難されましたが、その結果大変なことが起きたのでしょうか。日本との比較も混じえながらグラフを見ていきます。
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