東京外国語大学の篠田英朗教授が、管理者Gの【前記事】とは別のアプローチで、この判決のロジックを検証しています(→下記【外部リンク】)。全文はリンク先を読んでいただきたい。ここでは、その要約だけを掲げておきます。
大法院判決によれば、その損害賠償請求権は、「日本政府の韓半島に対する不法な植民支配および侵略戦争の遂行と直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者の日本企業に対する慰謝料請求権」である。
[徴用工判決のコンセプト]
1不法な植民支配(日本国の強制動員政策)だったから、その損害の賠償を請求する権利が成立する→2(1965年請求権協定とは”別枠で”)→3労働者個人の有する日本企業への慰謝料請求権もまた成立する< 2の”別枠で”というところが最重要点です(ここは前記事本文二と同じ評価)。なぜ、そうなるのか(ならないのか)!?を検証しています。
一(筆者篠田氏による1・2の検証)
国際法的な検証は、3ページの→「不当な植民支配」というマントラ< という項目から、始まっています←大法院「徴用工」判決の出発点のロジックです。この判決最大の理論的支柱になっています。そこで、筆者は次のように結論しています。
>このように、大法院判決は、徹底して「日本の植民支配の不法性」を強調することによって、結論を導き出した。「日本の植民支配の不法性」があったのだから、(1965年請求権協定とは別枠で)損害賠償が成立する、というわけである。だがこの論理の妥当性は、自明ではない<
その理由を筆者は、現在は国連憲章第1条2項が定める民族自決権(1945年10月~)によって否定されている。それ以前には否定されていなかった。1910年の日韓併合時にまでさかのぼることはできないと説明しています。
【前記事】李承晩TVの解説→サンフランシスコ講和条約においての戦勝国(連合国)に対するような別途の賠償を定める枠組み(同条約第五章第14条~)にはなっていないとする< 説明とは、少し異なります。前記事の動画は、それゆえ本判決の請求権を、1965年請求権協定と別枠の請求権とする国際法的根拠はないと説明しています。どちらの説明も、65年請求権協定とは別途の請求権であるとする最大の理由「不法な植民支配」を、国際法的根拠がないとしていることでは、共通しています。
二(筆者篠田氏による3の検証)
被徴用者の従事した労働の内容が「不法な植民支配」に基づいていたという理由だけでは、直ちに国際人道法違反すなわち個人に対する武力紛争中の犯罪行為である「武力紛争中の法」(jus in bello)違反であるとはいえず、その個人の権利を侵害したことを証明しない。さらに筆者は、大法院判決のいう日本国の植民支配の不法性を仮に認めたとしても、私企業である在韓日本企業へその責任を追及できるのか!?というふうに論理構成しています。なるほど!これもアリですね。
このように【前記事】動画李承晩TVとは、アプローチの方法がちょっと違います。いわゆる、結論に至る説明の方法が違うだけ!いわゆる「結果同説」ということのようです。
【外部リンク】現代ビジネス 篠田英朗「さらに深刻化した「徴用工問題」で日本は何を目指せばいいか」日本が妥協を図れない理由
【前記事】<国際 「徴用工」判決・法的根拠!?>
この記事の動画(15:27)→李承晩TV Shame On You - 韓国最高裁, 亡国の判決
この記事へのコメント
会社員(30)
韓国は何とか歴史を遡って議論点を探しているようですが、ならば任那を侵略した歴史を謝罪して南朝鮮半島を日本に返還すべきです。
管理者Gくん
動画の李承晩TVは、サ条約の枠組み論(同条約4条a・戦勝国への賠償規定同条約14条~)から説明しています。1・2の論証については、李承晩TVの説明の方がわかりやすいかな!と思っています(本文一後段)。3の検証は、篠田教授の説明は、国際法の専門家だけあって説得力あります。朝鮮は当時日本の一部であって、交戦していません。ゆえに「武力紛争中の法」(jus in bello)違反はありません。会社員(30)さんがご指摘の箇所でしょうか!? 仮に「不法な植民地支配」を認めても、国家の責任を私企業である在韓日本企業へ追及できるのか!?も説得力あります(本文二)。
任那日本府って、ボクらの世代は、歴史で習ったのですが、今は韓国がその存在そのものを否定していて、それを日本側に強要しています。一種の歴史修正だと思っています。ここは古すぎてよくわかりません。有名な歴史では、鎌倉時代の元寇があります。元寇は、モンゴル帝国の手先として高麗軍が攻め込んで来たという事実はあります。