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麗美とその時代

映画・ドラマのオリジナルサウンドトラックを多数手掛けている Remedios が、麗美(Reimy)としてデビューし、自らのスタイルを確立していくまでの過程を、ファンの視点で書き綴っています。麗美(Remedios)の実像というより、ファンによる虚像としてお読みいただければと思います。

Time Travelers - タイム・トラベラーズ(3)

「声を加工されるのは、憤りを感じたりしなかった?」

松任谷由実のオールナイトニッポンTVに、パフュームがゲストとして登場した時の質問である。

松任谷由実から切り出している。

とても重要な会話だと思う。

何度か書いたが、荒井由実のデビューシングルは300枚しか売れていない。

当初のバージョンは、「YUMING SINGLES 1972-1976」に収められている。

このバージョンで荒井由実は、力を込めて、半ば叫ぶように、ディーバと言わんばかりに歌い上げている。

しかし、アルバム「ひこうき雲」に収められているバージョンでは、比較的無表情な歌い方になり、サビの部分ではリバーブがかかっている。

このリバーブ処理は、松任谷由実が今日まで「一番好きな曲」と語っている「雨の街を」でも用いられ、2枚目のアルバム「ミスリム」ではほぼ全般にわたって用いられている。

淡々とした歌声の中で、サビの部分だけかすれ気味のファルセットを用いて、感情の起伏を表現する歌唱法が、これらのバージョンで一貫して用いられている。

「海を見ていた午後」や「あの日に帰りたい」に代表される、これぞ荒井由実!!という歌い方である。

この味わいを、麗美は「言葉のない友情」で取り入れようとしていたように思うが、今はこれ以上触れない。

麗美の淡々としたボーカルは、荒井由実の方法論の踏襲ではないか、という気もする。

それなら、荒井由実>麗美>初音ミク、という一連の流れがあるか?と問われると、答えに窮する。

荒井由実と初音ミクの間には、大きな隔たりがある。両者を連想する人は少ないだろう。

違いは、声質の安定と音程の正確さによると思う。

松任谷由実は、音程によって声質がさまざまに変化する。
淡々と歌ってはいても、声質の変化で、感情を表現している。
このことが、むしろ淡々と歌うことで強調され、ユーミンらしさとなった気もする。

これに対して、麗美の場合は声質が安定していて、音圧や音高によって感情を表現している。

松任谷由実の歌唱法を最も強く模倣したと思える「愛にDESPERATE」でも、声質は松任谷由実よりずっと安定していたように思う。
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