家庭教師のトラコ#05[解][字][デ]謎の家庭教師が家族の絆を揺さぶるホームドラマ!…のネタバレ解析まとめ
出典:EPGの番組情報
家庭教師のトラコ#05[解][字][デ]謎の家庭教師が家族の絆を揺さぶるホームドラマ!
「癌になっちゃった…」12歳の一人息子を残して死ねないシングルマザーの苦悩に、合格率100%の家庭教師はどんな結末を用意するのか?橋本愛主演!個別指導式ドラマ!
出演者
橋本愛、中村蒼、美村里江、細田佳央太、矢島健一、丸山智己、細田善彦、阿久津慶人、加藤柚凪、板谷由夏、鈴木保奈美
番組内容
癌と診断された万福亭のシングルマザー下山智代(板谷由夏)は息子・高志(阿久津慶人)にその事を告げられずにいる。トラコ(橋本愛)に「息子が心配で死ねない」と相談すると「いくらあったら安心して死ねるの?」と問い返される。大学卒業までに4630万円必要だとわかった智代は、中村真希(美村里江)や上原里美(鈴木保奈美)に相談し、金策に走るが断念。いよいよ万福亭の火災保険に手を付けようと、店に火をつけるが…。
監督・演出
【演出】伊藤彰記
原作・脚本
【脚本】 遊川和彦
音楽
【主題歌】
「茜」森山直太朗(ユニバーサル ミュージック)
【音楽】
平井真美子
制作
【チーフプロデューサー】
田中宏史
石尾純
【プロデューサー】
大平太
田上リサ(AX―ON)【制作協力】 AX―ON
【製作著作】 日本テレビジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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キーワード出現数ベスト20
- 高志
- 先生
- 智代
- ガン
- ママ
- ホント
- 女将
- 頑張
- 里美
- 気持
- 子供
- 自分
- 手術
- ハァ
- 主人
- 絶対
- 知恵
- 必要
- ツイ
- ハハハハ
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(下山智代) 先生 私…。
胃がんだって。
ガ~ン! ハハハ… なんちゃって。
ハハハハ…。
(根津寅子)
ステージは いくつですか?
それがさぁ
1週間後に手術なんだけど
それまで はっきり分からない
って言われて。
でも お医者さんの口ぶりだと
絶対 悪い気がするのよね。
先生 どうしよう?
手遅れだったら。
高志には もう伝えたんですか?
まだだけど…。
ちゃんと言わなきゃね。
(階段を下りる音)
(下山高志)
おかえり どこ行ってたの?
あっ ちょっとね
買い出しに行ってた ハハハ…。
(高志) 母さん トラコ先生に
9月の公開模試に挑戦してみろ
…って言われたんだけど
いいかな?
え~! そうなの?
ヤダ あんた
どこまで賢くなるつもりよ~。
この分だとさ 末は
ノーベル賞 間違いなしって感じ?
そしたら 母さん 授賞式に出てさ
豪華なディナー いっぱい食べて
ダンス踊っちゃう~! フフフ…。
それより女将さん…。
(智代) はい。
高志に話があるんじゃ?
うん… そうね。
(高志) 何?
実はね 母さん
来週2~3日
お店休もうかと思って。
何で?
それは あの…。
ガン…。
えっ?
ガン… 頑張って
ず~っと働いて来たから
町内会のみんなとさ ちょっと
旅行にでも行こうかなと思って。
でも そんなの もったいないって
言ってなかった? 今まで。
いや たまには
いいじゃないのよ~。
えっ 何 それとも高志
母さん いないと寂しいの?
ねぇ ねぇ。
だったら やめてもいいけど。
そんなわけないだろ。
先生 問題 解いたんで
答え合ってるか見てくれる?
はいはい 喜んで!
(智代) 先生 先生 先生…。
はい?
(犬のほえ声)
あの やっぱり高志には
病気のこと
黙っててもらっていいですか?
どうしてですか?
先生のおかげで
あの子 最近 生き生きしてるし
余計な心配掛けたくないんです。
それに あの子の顔 見てたら
病気も大したことないんじゃ
ないかなと思って。
ステージ1よ ステージ1。
(犬のほえ声)
外でも ほら 犬がワンワンって
鳴いてるじゃない ねっ!
分かりました。
(犬のほえ声)
お~ すごいな 高志!
これなら 開成 麻布 武蔵の御三家
どこも合格間違いなしだぞ!
そう…。
どうした どうした?
うれしくないのか?
先生
母さん 何か変だと思わない?
えっ 何で?
絶対 何か隠してる気が
するんだよね。
昔からウソつくと いつもより
さらにテンション高くなるから。
なるほど。
何か知らない?
知ってるよ。
えっ 何?
実は…。
うん。
あ~ でも 高志には言わないで
って言われてるからなぁ。
何だよ? それ
気になるから教えてよ!
ちなみに
今までは どうだったの?
女将さんがウソついてた時。
ああいう性格だから
大抵 すぐバレたけど。
なら 今回も きっと そうなるよ。
焦らずに待ってろ 待ってろ。
え~。
(階段を下りる音)
勉強 終わりました!
はい お疲れさまでした。
どうしたんですか?
さっきまで
あんなに元気だったのに。
何かさ 先生と高志が
2階に上がった途端
治らないんじゃないかなって
気がして来ちゃって。
めったに出ない
クモ出て来ちゃったし さっき。
夜のクモは縁起が悪い
ってやつですか。
うん それにね
今 もし私が死んだら
高志に幾ら残せるのか
って考えたら
絶望的になって来ちゃって。
貯金も ほとんど ないしさ。
でも さすがに
保険くらいは入ってるんじゃ?
アハハハ…。
ハハハハ…。
入ってないんですか?
だって 健康だけは
結構自信があったし
それに ほら
保険料が
もったいないじゃないのよ~。
なるほどね。
先生 どうしよう?
手術で結果が悪かったら。
ジタバタするより
高志が大学を卒業するまでに
幾ら必要か
計算してみたほうが
いいんじゃないですか。
全然 見当つきません。
仮に 私立に受かったとして
中学高校の授業料と教材費
修学旅行費などを合わせると
大体630万。
あ~ なるほど。
大学は
国立か私立かで違いますが
入学金と4年間の授業料と
教材費などが合わせて
約3300万 それに加えて
大学を卒業するまでの
10年間の食費や生活費
もろもろ合わせると約700万。
全部合計すると…。
4630万!
え~!?
…が 女将さんが安心して死ぬのに
必要な金額ってことになりますね。
無理よ! そんな大金。
誰かさ 間違って
振り込んでくれないかな。
無理ですね どっかの
持続化給付金じゃないんだし。
ハァ~ 先生 どうしよっか。
何か もう絶対
手遅れって気がして来た。
取りあえず この店も含めて
女将さんが今 持ってる資産を
一度 洗い出してみましょうか。
そうですね。
その後 一緒に考えましょう。
4630万 手に入れる方法。
よろしくお願いします。
(中村真希)
もしガンになったらですか?
一応
がん保険には入ってますけど。
さすがお母様 備えは万全ですね。
でも これから
保険料の支払いが大変で。
あっ 私 実は
これから フリーで
やってこっかなって思ってて。
そのほうが ご自分の書きたい
記事も書けますもんね。
そう思って ウェブサイトの仕事も
受けたんですけど
さすがに
ひと文字 0.01円はきつくて。
まさか
私の授業料が下がったりは…。
大丈夫です 主人とも相談して
今まで通りの金額で
頑張ろうってことにしたんで。
主人ね 自分のほうが
収入が上になったせいか
「俺が頑張って稼ぐから
お前は自分の目指す
ライターになればいい」とか
上から目線で言うんですよ。
とか言いながら
うれしそうですね。
何だか 家の中も清潔になって
気持ちがいいし。
今まで忙しさにかまけて
手抜いてたんで
掃除とかも
ちょっと頑張ろっかなって。
何だか 吹っ切れたみたいで
よかったです。
どうかしました?
何か 知恵が近頃 元気がない
っていうか ふさぎ込んでて。
具合でも悪いとか?
そういうことじゃないみたい
なんですけど
こっちが いくら聞いても
はっきり言わなくて。
先生 それとなく
聞いてみてもらえますか?
分かりました。
(ドアが閉まる音)
どうしたの? 知恵ちゃん。
元気がないって
ママも心配してたわよ。
(中村知恵) 先生
ママも いつか死んじゃうの?
どうして?
そっか。
この本を読んで心配になったんだ。
ねぇ どうしよう ママが死んだら。
今から 心の準備を
しておくしかないわね。
特別なことがない限り
ママもパパも
知恵ちゃんより先に死ぬんだから。
やだ! 2人がいなくなったら。
(泣き声)
それでも
頑張って生きて行くしかないの。
それに 知恵ちゃんと違って
最初から
ママもパパもいない子だって
たくさんいるのよ。
今から メソメソ心配するより
ママたちと毎日一緒にいられて
幸せだなって思わないと。
(はなをすする音)
そうだね 知恵 そうする。
知恵ちゃんは 随分強くなったわね
会った時より。
先生のおかげだよ。
ねぇ 先生のママとパパは
お元気ですか?
パパは 先生が知恵ちゃんよりも
小さい頃に
天国に行っちゃったの。
じゃあ ママは?
知らない。
えっ?
(上原 守) 母親が死んだら
どうするかなんて
考えたこともなかったな。
あ~ ほら あの人
殺しても死にそうにないし。
(上原里美) ≪♪~ 私は今≫
≪♪~ 生きている≫
♪~ 私は今 タッタラッタ~
(里美)♪~ 生きている
♪~ 私は今
すいません 勉強中に
うるさかったかしら?
今日は一段と ご機嫌ですね。
だって 守の成績が
また上がっちゃったから。
見てくださいよ 先生。
C判定が2つもあるんです!
ママの言ってた通り
やればできる子なんですね。
(里美) 先生のおかげですよ。
そうだ 何かプレゼントしようと
思うんだけど 何がいいかしら?
別に結構です そんなの。
(里美) 遠慮せずに
何でも言ってください。
洋服とか バッグとか。
じゃあ
ママと養子縁組していただく
っていうのは?
えっ?
守君と姉弟にもなれるし
いずれ遺産も
たくさん頂けそうだし。
あっ いや それは…。
ヤダ 冗談ですよね? いつもの。
ウフっ ええ。
今 親が死んだらどうするのか
って授業をしてたものですから。
(里美) あぁ…。
安心して 母さんは殺しても
死なないって結論に達したから。
な~に? それ
褒めてんの? けなしてんの?
あ~ でも 父さんが死んだら
遺産のこととか
考えちゃうんだよな。
俺って幾らもらえるの?
その場合 妻であるママに半分で
残りの半分を
子供で3等分することになるわね。
最低でも 資産は
10億を下らないだろうから
ママに5億 子供たちに
1億6000万ずつって感じ。
ウッソ! そんなに!?
愛人のままだったら
一銭も入らなかったし
よかったですね 本妻になられて。
あ~ 私は別に お金とか全然…
主人を愛してるだけで。
ちなみに 父さんより先に
母さんが死んじゃった場合は?
守君には10億の3分の1の
約3億3000万が入るけど。
ウッソ!
そっちのほうが全然お得じゃん!
な~に? その できれば
先に死んでくれないかな
…みたいな顔は!
いえ 決して そんなつもりじゃ。
それに ママがもらえる5億は
いずれ
守君のものになると考えたら
結局 損になるけど?
母さん
父さんより先に
絶対 死なないで お願い!
(福田福多)
親が死んだらどうするかって
子供なら いつかは考えなきゃ
いけない問題だけどさ。
高志君 大丈夫かな?
しっかりしてるけど
まだ小6だし。
そういう あんたはどうすんの?
里親だけど ホントの子供以上に
かわいがってもらったんでしょ?
そうなんだよなぁ。
結構 年だし
死ぬ前に 孫の顔は見せてやりたい
とか思うんだけど。
じゃあ
頑張って相手 見つけないとね。
なぁ トラコ。
何?
一度 うちの親に
会ってくれないか?
何で?
いや ほら お前のこと
親友だって話したら
ぜひ 家に連れて来いって
しつこくてさ。
無理。
分かるよ
そっちが会いたくない気持ちは。
あの時
もしかしたら俺じゃなくて
お前が里子として もらわれるかも
しれなかったんだから。
でもさ ホントに温かくて
いい人たちなんだ。
きっと お前も
心が安らぐっていうか
優しい気持ちになれると思うから。
何で こっちが そんな気持ちに
なる必要があるわけ?
だって 最近 お前 やることが
どんどん過激になってるから。
今回は 定食屋の女将さんの命に
関わることだし
万が一
ヤバいことになったら心配で。
殺しちゃうとか?
えっ!?
「サクセス」
(中村)原田さん。
(原田)んっ?
成長するって どういうことなんですかね?
今の自分に 満足しないことかな。
お~。
まだまだ これからも
成長していきたいって思ってるよ。
これからもですか?
うん。
(2人)ハハハ…。
<髪にだって 成長期はある>
<髪の成長期を保ち
抜けにくい強い髪を育む>
<「サクセス薬用育毛トニック」
トニックの前にはシャンプーも>
(智代) あれから 幾らあるか
確かめたんだけど
定期だ何だかんだで
187万円しかなくて…。
固定資産のほうは?
不動産屋に聞いたらね
うちは借地で 店は古くて
ガタが来てるから
売っても
二束三文にしかならないって。
これは?
あ~ これはね
お父ちゃんが入ってた
店の火災保険。
ちなみに お幾らですか?
4000万。
でも まさか
燃やすわけにはいかないし
これ解約しても
幾らにもならないんだって。
なるほど 絶望的ですね。
でしょう?
だってさ
この187万円っていうのもよ
「イヤナ」って読めるでしょ。
やっぱり私 もうダメなのよ。
あ痛っ 痛て…。
いや~ どうしよっか もう
このままじゃ
高志に
何にも残してあげられない。
こうなったら…。
別れたご主人に
相談するしかないですね。
えっ!?
あの人に言うの? 病気のこと。
もしものことがあったら
高志を引き取ってもらう
可能性が高いんだし。
そうだけど…。
早く手を打たないと
高志 うすうす気付いてますよ。
女将さんが何か隠してるって。
そうなの?
(下山満男) あの子は
知ってんのか? このこと。
言おうかどうか迷ってて。
どうしたらいいと思う?
言わないほうがいいんじゃないか
まだ子供なんだし。
そうかな…。
とにかく 高志のことは
俺とお袋に任せて
お前は治療に専念しろ。
(下山潤子) そうよ。
悪いことばっかり考えてたら
体に良くないし。
ありがとうございます。
あの 甘えついでに
もう一つだけ お願いがあって。
何だ?
高志がね
中学に入って 大学出るまで
必要なお金を計算したらば
ざっと 4630万円が
かかることが分かって
それで あの…。
分かった 金のことは心配するな。
ホントに?
それぐらい何とかなるから。
お袋も高志のために
学資保険に入ってるし。
そうと決まったら すぐにでも
高志をよこしなさいな うちに。
(満男) 入院だって
長引くかもしれないし
その間 高志を 一人にしておく
わけにいかないだろう。
まぁ そうだけど…。
でも 高志もツイてないわね。
受験なのに
母親が こんなことになるなんて。
(満男) でも そのへんは俺たちが
カバーしてやればいいじゃないか。
(潤子)
そうね 高志の部屋 明日にでも
模様替えしとこうかしら。
(満男)
あっ 今のうちに転校のことも
調べておいたほうがいいかもな。
ちょっ… ちょっと
ちょっと待ってください。
あの 2人とも 私が死ぬっていう
前提で話 進めるの
やめていただけますか。
いや 俺たちは
別に そういうつもりじゃ…。
そうよ
あなたに もしものことが…。
なら ご心配なく!
ガンといっても
ホントに軽いもんですから。
それに私 ここに来るまでに
デッカい虹 見たんですよ!
ハハハハ…。
でも 金が必要なんじゃ?
あれ? もしかして
私 お金借りに来たって
勘違いしてない? ハハハハ…。
そんな とんでもナイジェリアよ~
ホホホ…。
4630万円
もう ちゃんと用意してあるから
大丈夫って言いに来ただけ!
ホントか?
そんなわけで お2人こそ
どうぞ お体 気を付けて。
何か困ったことがあったら
頼ってください 私を。
じゃあ お邪魔しました
失礼します!
(智代) ハァ~。
何やってんだろ 私。
(猫の鳴き声)
ハッ!
♬~
四つ葉のクローバーなんて
今まで見たことないけど。
フゥ~。
ハッ! ビックリした~!
どうしたの? そんな怖い顔して。
母さん ガンなの?
ヤダ 何言ってんのよ あんた。
とぼけても無駄
さっき父さんから聞いたから。
(小声で)
高志には言わないほうがいいって
言ったくせに。
何で 俺より先に
父さんが知ってんだよ?
おかしいだろ そんなの。
それは あんたが まだ子供だから。
でもね ガンっていっても
全然 大したことないのよ。
ちょちょいって手術すれば
すぐ治るから。
もし ひどかったら
どうすんだよ?
最後まで俺に
ウソつくつもりだったわけ?
今日 それよりも帰りにさぁ
四つ葉のクローバー見つけたの
母さん ほら… ちょっと待ってよ。
四つ葉のクローバー…。
もう ふざけんの やめろよ
こんな時に!
高志 高志!
(階段を駆け上がる音)
(戸を閉める音)
先生…。
どうしよう?
前のご主人から借りられなかった
みたいですね お金。
だって~
親子で 私のほうが 死んだほうが
いいみたいなこと言うんだよ。
じゃあ どうするんですか?
4630万。
先生 何か
いいアイデア ありません?
ん~ 無理ですね。
えっ…。
女将さんの手持ちは
187万しかないから
何かに投資しても
簡単に大きな利益は出せないし。
宝くじとかで
1億円とか当たんないかな。
それかさ 裏庭で
石油が湧いちゃうとか…。
そんな夢みたいなこと
言ってる暇あったら
もっと現実的なことを考えないと。
今からでも入れる保険を
見つけるとか。
はい そうですよね。
高志のほうは
私が何とかしますから。
やめといたほうがいいかもな
それは。
えっ 何で?
夜 爪を切ると 親の死に目に
会えないっていうから。
ウソ 何で?
「夜爪」が「世詰め」。
すなわち 命を縮めるに通じる
…っていう
迷信みたいなもんだけど。
先生 どうしよう?
もし 母さんが死んだら。
高志の場合 選択肢は3つだな。
1 お父さんの所に行って
何不自由なく暮らす。
2 女将さんのわずかな遺産と
この店を売った金で
1人暮らしをする。
3 私立受験を諦めて
中学を卒業したら
この店を継ぐ。
そうか…。
普通は お父さんと暮らすしか
ないけどな。
高志は まだ未成年だし。
いい機会だから
真剣に考えてみたら?
いずれ 親は先に死ぬんだし
今の時代
何が起きるか分からないから。
(智代) えっ そうなんですか?
申し訳ないんですが
ガンと診断された方が
加入できる保険は
200万までしか
保証されないんです。
そこを何とかなりませんか?
ガンだけど 軽いと思うんですよ。
すぐ健康になって
保険料 ガンガン払いますから。
(智代) うちの店の
角煮定食の秘伝のタレなんです。
先代の父が 死に物狂いで作って
それを守り続けて 30年
味は絶対に保証いたしますから
これ 4630万円で
買っていただけないでしょうか?
寅の日は 虎の黄金色の縞模様が
金運の象徴とされる
大変縁起のいい日です。
この機会に ぜひ宝くじを…。
1億当たるのください!
えっ?
あっ 冗談です。
10枚 頂けますか。
いや 5枚でいいかな フッフ…。
こんなことしてる場合じゃ
ないんだけどな 私。
(智代) どうぞ。
何ですか? 相談って。
あぁ…。
あの~ 実は…。
ガンになっちゃって…。
え~! 大変じゃないの それは。
大丈夫なんですか?
入院しなくて。
私じゃないですよ
友達の話です 友達の。
あ~ 何だ。
ビックリさせないでよ。
それでね その友達が
もし死んじゃったら どうしよう
…なんて言って
落ち込んでるから
どうやって励まそうかなって
2人にご相談したくて。
そんなに ひどいの? その方。
もう手遅れとか?
いや 手遅れなのはガンじゃなくて
お金のほうみたいで。
保険にも
入ってなかったみたいだし。
あ~ ダメですね
それは社会人として。
よっぽど うっかりした性格なのね
そのお友達。
いや~
そんなことはないと思いますよ。
彼女は 一生懸命 働いてたから
そんなこと考える余裕が
なかっただけだと思います。
ちなみに
どれくらい お金が必要なの?
4630万です。
はぁ~。
あぁ~。
彼女に 貸してあげたりとかは?
私は フリーライターに
なったばかりで
こっちが貸してほしいぐらいで。
上原さんは?
この店を担保に
ご主人の銀行から
お金 借りたりできません?
あら でも
ここは あなたの店じゃ?
あっ あの こういう食堂をですね
やってるんですよ 彼女も。
あぁ… なら
無理ね。
えっ。
うちの主人 回収できる
見込みのないものに融資するの
一番嫌がるから。
そこを何とかなりません?
ごめんなさい
お友達に謝っといて。
でも その代わり
いいお医者さん
いつでも紹介するから。
くよくよしないで 周りに
相談したほうがいいですよ。
…って これ 私が トラコ先生に
言われたんですけどね。
やっぱり
一番頼りになるのは家族だし。
うちの息子もね この前
「これからは 母さんを
喜ばせるために頑張る」
…なんて言ってくれたんです!
そういえば いつか読んだ本に
こんな一節があったんです。
「不安になった時に
おろおろする人じゃなく
しばらくの間 闇に耐えられる
ような人になりたい」。
(里美) あら ステキな言葉ね!
その方に教えてあげたら?
あぁ… そうですね そうします。
(里美) あら! もう こんな時間。
ごめんなさい
頭取の奥様と会う約束があって。
私も取材があるんで そろそろ。
すいません お忙しいのに
ありがとうございました。
(里美)
くれぐれも気を落とさないように
伝えてね お友達に。
はい!
何かあれば教えてください また。
ありがとうございました。
じゃあ。
は~い どうも~。
(戸が閉まる音)
ハァ~。
(階段を下りる音)
勉強 終わりました。
あ~ 先生。
高志は?
まだ怒ってるみたいです。
あれから 口も利いてくんないのよ
あの子。
それより
上原さんと中村さんの声が
してませんでした? 今。
あぁ…。
お金のことをね
ちょっと相談できたらいいな
…と思ったんだけど。
何か 2人とも幸せオーラ
ガンガン出しちゃってさ
感じ悪いったらありゃしない
ハハハハ…。
ハァ~ 何で私だけ
こんなツイてないんだろう?
ほら
私だけ 茶柱立ってない。
も~う お手上げ!
も~うダメ!
高志には結局
何にも残してあげられないのよ。
も~う…。
こうなったら
最後の手段しかないですね。
最後の手段って?
あ~ やっぱり いいです
どう考えても むちゃだし。
えっ ちょっ… ちょっと 何よ
言ってよ 気になるじゃない。
この店を燃やすんです。
そうすれば
火災保険の4000万
高志に残せるし。
あぁ…。
ヤ~ダ! 何言ってんの。
そんなことできるわけ
ないじゃない!
ですよね だから むちゃだって
言ったじゃないですか~。
ハハハハ…。
♬~
じゃあ 明日に備えて
今日はゆっくり休んでください。
(智代) はい 分かりました。
そうだ 手術の同意書って
持って来ていただけました?
(智代) あっ はい。
(智代)
あの 家族の欄なんですけど…。
(医師) はい。
(智代) 署名なくてもいいですか?
息子が まだ小学校6年生で
私 他に家族いないもんですから。
(話し声)
いらっしゃいませ~!
ちょっと!
何やってんですか? 先生。
高志が中学受験をやめて
この店を継ぐって言ってるんで
手伝ってるんです。
はぁ?
ちょっと 高志
一体 どういうつもり?
(高志) 俺 決めた。
中学出たら 調理師免許取って
この店 継ぐって。
はい 角煮定食 上がったよ!
はいはい~!
ちょっ ちょっ…。
ちょっと
いいかげんにしてください 先生!
皆さん すいません
今日は もう お店閉めますので
お引き取り 願えますでしょうか
申し訳ございません!
お代は結構なんで すいません。
何すんだよ? 勝手に。
それは こっちのセリフでしょ?
あんたに この店
やって行けるわけないじゃない!
やってみなきゃ分かんないだろ
そんなの。
あんた この間 何て言った?
「もっともっと勉強して
やりたい仕事を見つけて
それが夢だって言えるように
したい」って言ったじゃない!
じゃあ この店はどうすんだよ?
つぶすのかよ?
それは仕方ないわね。
病気がひどかったら。
簡単に言うなよ。
苦労して作った
角煮定食がなくなったら
悲しむと思わないのかよ?
じいちゃんが。
あんたは 自分のことだけ
考えてればいいのよ!
もしものことがあったら
父さんとこ行くしかないんだから。
何だよ それ!
俺なんか いなくても
平気ってことかよ?
あんたはね
余計なことを考えなくてもいい
…って言ってんの
子供なんだから!
ひとがせっかく そっちのために
考えてやったのに!
あんたに心配されなくても
こっちは大丈夫だ
…って言ってんのよ!
あ~ そう 分かったよ!
母さんなんか
勝手に死ねばいいんだ
(階段を駆け上がる音)
高志 お父さんの家まで
送って来ました。
あぁ… すいません
ありがとうございました。
フッ… 笑っちゃうよね。
ガンって言われて
散々 ジタバタした揚げ句
結局 息子に
死ねって言われるなんて…。
あの言葉 信じて
大して おかしくもないのに
笑ってたのに。
何で幸せって長続きしないんだろ。
つい この前
高志に花束をもらって…。
先生のおかげで
高志も明るくなったし。
何か ホントに楽しくって
たまんなかったんだけどなぁ。
先生 いつか聞きましたよね。
昔 夢はなかったのかって。
あの時 恥ずかしくて
言えなかったんだけど
私 マラソンで…
オリンピック出るのが
夢だったんです。
こう見えてね
高校の時は陸上部のエースで
インターハイに出るぐらい
だったんだから。
じゃあ どうして諦めたんですか?
大会の前の日にね
後輩が
階段から落っこちそうになって
それをかばって
足首 骨折しちゃったの。
それで結局 大会では
その後輩が優勝したんだけど。
フッ…
私はそれから成績伸びなくって。
フフっ それで…。
前の旦那と結婚してた時もね
向こうのお母さんと
反りが合わなくて
大変な思いしたんだけど…。
高志が
生まれて来てくれたおかげで
その悩みも消えて。
ホッとしたところに今度は
お父ちゃん
脳溢血で死んじゃって。
私 この店
継ぐつもりはなかったのよ。
でも 旦那に… フフっ。
「あんな店 売っちまえ」
って言われて
それで カッ!となって
離婚。
何で こんなに
ツイてないんだろうね 私の人生。
先生
神様って ホントにいんのかな?
そう信じてますね
たくさんの人が。
じゃあ 何で助けてくんないの?
こんなつらい思いしてんのに。
神様は きっと…。
つらい人や苦しい人を
ほっとくのが趣味なんです。
えっ?
じゃなきゃ
世界中に助けを求めてる人が
たくさんいるのに
何もしないわけないし。
じゃあ
祈っても無駄ってことか。
すいません 長々と…
もう結構ですので。
あっ もしかしたら
契約終了になっちゃうかもな。
あっ 違う。
高志が旦那のとこに行ったら
あの子のこと
助けてやってください。
よろしくお願いします。
分かりました。
ハァ ハァ…。
何やってるんですか?
お願いだから
ほっといてください!
もう こうするしかないんです。
生きてても
いいことなんかないし
こんな人生
終わらせたほうがいいんですよ。
そのほうが
私のこと気にしないで
高志も父親の所に行けるし。
それに 4000万も手に入るし?
先生 それ ちょうどいいんで
高志に渡しといてもらえますか?
ちょっと待ってください。
止めないでください!
いえ 別に そんな気はありません。
えっ?
ただ…。
これは遺書ですか?
ちょっと勝手に…。
♬~
こうするのが 一番いいんですよ。
高志のために。
♬~
やめたほうが。
いいから ほっといてください!
いいけど 食用油まいても
火は付きませんよ。
ウソ…。
(泣き声)
何やってんだろ 私…。
最後までツイてない。
私には嫌いな言葉が4つある。
けど また1つ増えた。
それは…
「ツイてない」だ。
それって結局 自分は悪くないって
言い訳してるだけだろ。
つらいのを全部
神様のせいにしてるだけだろ?
そんな いるかいないか
はっきりしないものを
恨む暇があったら
「あんたなんか いなくても
大丈夫ですから お構いなく」
…ぐらい言ってやれよ。
こんな死に方したら
本当にツイてないのは
高志のほうだろうが。
母親なら
どんなに険しい道でも
胸張って進んで行けよ!
死ぬんなら 子供に最後まで
ちゃんとした生きざま
見せてから死ね
ハァ…。
♬~
取りあえず
遺書 書き直しましょうか。
いずれ必要になるし
こんなんじゃ
全然 伝わんないから
女将さんの気持ち。
えっ?
特別に添削してあげますから。
(高志) ≪いってきます≫
(メールの受信音)
(操作音)
(智代の声)
「今から手術に行ってきます。
頑張ってくるね~」。
(かしわ手)
(かしわ手)
お~! 高志君 久しぶり 元気?
…なわけないか。
自分の親に 死ねとか
言っちゃったんだもんな。
でも まぁ 子供なら誰でも
似たような経験あると思うよ
一度は。
えっ そうなんですか?
まぁ 思春期ってのも
あるだろうけど
心の底では
分かってるんじゃないかな。
結局は仲直りできるって。
親子だから。
でも きちんと
謝ったほうがいいかもな。
このまま死なれたら最悪だろ?
君だって。
じゃあ 頑張って。
お~ 高志 遅かったな。
母さんは?
さっき始まった 手術。
そう…。
あっ… そうだ これ。
えっ?
読まないのか?
先生 読んでくれないかな?
しょうがねえなぁ。
(トラコ:智代のモノマネ) 「高志
母さんはガンと分かってから
今までの人生のことばっかり
考えてました。
12年前…」。
ごめん 何? その読み方。
えっ お母さんのマネしたほうが
気持ち伝わるかなと思って。
いい… 全然似てないし。
(智代の声)
「12年前 母さんのお腹の中から
生まれて来た時
高志はホントに かわいくて
こっちの腕の中で
スヤスヤ眠ってる あんたを見て
不思議で仕方なかった。
どうして世界中の母親の中から
私を選んでくれたのって」。
(智代の声) 「あんたが
どんどん大きくなって
初めて逆上がりができたり
初めて自転車に乗れたり
初めて肩をもんでくれた時
母さん 苦しいこともつらいことも
全部 吹っ飛んだ」。
(智代の声) 「実はね この遺書は
トラコ先生に
怒られながら書いてんの。
一度書いたの見られて
『こんなんじゃ
気持ちが全然伝わらない』って
散々 ダメ出しされたから」。
(智代の声) 「高志みたいに
トラコ先生の授業 受けてる気がして
楽しかったけどさ。
いや~ でも厳しいね あの人。
書いても書いても
直されるんだもん。
でもね
そのおかげで
気付いたことがあるの」。
(智代の声) 「それは
あんたのために お金を残そうと
ばかなまね いっぱいしたけど
ホントに大切なのは
高志のために生きることだって。
毎日 どんなに苦しくても
コツコツ
稼いで行くしかないんだって」。
(智代の声) 「だから
母さん これから
どうなってもジタバタしないよ。
メソメソもしない。
今まで通り 明るく笑って
死んで行く。
それが私の生きる道だから」。
(智代の声) 「でもね 母さんは
やっぱり まだ死にたくない」。
(智代の声)
「高志が私立の中学に受かったら
一緒に万歳したい。
大学に入ったら
正門の前で
並んで記念撮影したい」。
(智代の声) 「高志の結婚式で
花束もらって大泣きしたい。
高志の赤ちゃんができたら
『ばあばだよ パパにそっくりだね』
って抱き締めたい。
これからも生きて
生きて 生きて
毎日 あんたと笑って過ごしたい」。
(智代の声) 「もし 手術の結果が
良くなくても諦めない。
諦めたくない。
どんなに つらくても
病気と闘って勝ちたい。
90か100まで… ううん
あんたに もういいよって
言われるまで生きたい。
生き続けたい
いや 生きてやる!」。
(智代の声) 「だから 高志も
どんなことがあっても
くじけないで生きてね」。
(智代の声)
「人生は どうせ不安だらけで
分からないこと
ばっかりなんだから。
くよくよせずに
面白がったほうが絶対いいよ。
だから 母さんと一緒に
楽しく生きよう」。
(智代の声) 「あ~ 遺書なのに
『生きる』ってばっかり
書いてしまった。
まぁ いっか。
トラコ先生に添削してもらって
OK 出たからさ」。
ったく… ばかだな。
先生 俺…。
ん?
もう絶対 泣かないから。
母さん 分かる?
(智代) うん。
成功だって 手術。
えっ?
ステージ1で
悪い所は全部取ったから
経過次第じゃ
1週間で退院だって。
よかったね。
(泣き声)
母さん ごめんね。
死ねなんて言って。
ヘヘ… 母さんもごめんね。
心配掛けて。
(はなをすする音)
そうだ これ…。
フフっ 読んだ?
学校じゃ 教えてもらえないことを
学んだ気がした。
うれしいとか 悲しいって
本当は こういう気持ちなんだって
分かった気がした。
(はなをすする音)
あんた また賢くなっちゃって。
♬~
先生
母さんが死んだら
どうするかって言われて
3つの選択肢 考えたけど
俺 どれも やだ。
ずっと母さんといたい。
どんなことがあっても
離れたくない。
♬~
♬~ (泣き声)
先生…。
4630万どころか
何億残しても
私 死ぬことできない。
この子と 精いっぱい
一緒に生きて行きたい。
たくさん思い出つくっていきたい。
こんな答えだけど いいですか?
いいんじゃないですか。
(智代) フフ…。
よかったね。
フフフフ。
フフフフ…。
♬~
しかし 今回は
「店 燃やしちゃえ」かよ。
ホントに火が付いてたら
どうするつもりだったんだよ。
その時は その時で。
何だよ? それ。
でも よかったよ。
女将さんのガンも
大したことなかったし。
お前だって
ホントはホッとしてんだろ?
別に。
また そういうこと。
ホント変わんないよな
ガキの頃から。
♬~
♬~ まだ持ってたんだ それ。
♬~
今頃 どうしてるだろうな
お前の母親。
死んでんじゃない もう。
とか言って ホントは
生きててほしいんだろ?
何で 自分のこと捨てたのか
聞きたいし。
そんなことより
そろそろ
次のステップに進むから。
えっ? でも まだ 銀行の奥さんが
終わってないんじゃ…。
この前
8000万 使っちゃったし
次へのリハーサルも兼ねて
今度は いろいろ仕掛けるから。
(里美) かわいい!
着けてみていいかしら?
(店員) はい。
あのおばさんだから 分かった?
(店員) ありがとうございました。
(里美) お邪魔しました。
(店員たち)
ありがとうございました。
行け!
♬~
えっ… ちょっと何するの!?
誰か捕まえて! 私のバッグ!
(男の子) うっ… 離せよ!
いいから 返しなさい。
先生 どうして ここに?
偶然 買い物してただけで。
それより おケガはありませんか?
あぁ… ありがとうございます。
警察に連れて行きますね。
きっと ひったくりの
常習犯ですよ この子。
ほら行くよ。
許してよ! もうしないから!
信じられるわけないでしょ
そんなの。
ちょっと待ってください!
何か事情があるんだろうし
許してあげてください。
優しくしても
つけ上がるだけですよ
こういう子は。
ねぇ
どうして こんなことしたの?
怒らないから言ってみて。
力になってあげられるかも
しれないし。
♬~