ようこそ正反対の二人がいく教室へ   作:ゆうき35

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ルール説明回です。『よう実』読者は読み飛ばしてもらっても大丈夫です。
今回いつも以上に見切り発車です。


混合合宿①(8巻) ※ルール説明回

3学期か始まって間もない木曜日の朝、高速道路を複数のバスが連なって走行する。バスには1年生だけでなく、2年生や3年生も乗車している。つまり全生徒の大移動だ。この学校に入学して2度目のバス移動。今の段階でわかっている事は、全員がジャージを着用するよう指示されている事。また、出発前には予備のジャージや替えの下着も複数用意することを強く推奨された事だけだ。しかし、少なくとも旅行というわけではないだろう。

 

「盛り上がっている最中に悪いが、静かにしろ」

ハンド形のマイクを手にした茶柱先生がクラスメイトに向かいそう声をかけた。

 

「このバスがどこに向かっていて、これから何をするのか、そろそろ知りたい頃だと思ってな」

「これから新たなる特別試験を行うことになっている。だが安心してくれて構わない。無人島試験に比べれば生活そのものは極めてイージーなものだ」

「これからお前達Cクラスの生徒に行ってもらう特別試験の概要を説明する」

「これからお前達をとある山中の林間学校へと案内する。恐らくあと1時間もしないうちに目的地にたどり着くだろう。説明に割く時間が短いほど、お前達にあたえられる『猶予』も大きいことになる」

「普段の学校生活では上級生と触れ合う機会…特に部活をしていない生徒は接触が少ないだろうが、今回の林間学校では学年を超えての集団行動を7泊8日で行ってもらう。行われる特別試験と名称は『混合合宿』。口頭だけの説明では不安が残るだろうから、これから資料を配っていく」

 

茶柱先生が自ら歩き出し、席の先頭に資料の束にして渡す。資料は比較的厚く20ページほどにも及んだ。特に先行して見てはいけない指示もなかったので、パラパラとめくってみる。資料には合宿地と思われる場所の写真もしっかり掲載されていた。

程なくして全員の下に資料が行き渡ったようだ。それを確認し終えた茶柱先生が話を再開する。

 

「混合合宿について説明を始める。資料はバスを降りるときに回収するので、ルールはしっかりと把握するように。質問は最後に受け付けるので黙って聞くこと。もう理解できているな?」

「今回の特別試験は、精神面での成長を主な目的とした合宿になる。そのため、社会で生きていく上でのイロハを始め、普段関わることのない人間とも円滑に関係を築いていけるかを確認し、そして各自、それを学んでいくこととなる。」

 

(終わったな。ここで退学か…)

(バカ)

 

「まず、お前たちには目的地に辿り着き次第、男女に別れてもらう。そして、学年全体で話し合いを持ち、そこで6つのグループを作ってもらうことになっている」

「一つのグループには人数の下限と上限が決められていられる。手元にある資料5ページに書かれてある人数パターンにしっかりと目を通しておけ」

 

『1つグループを形成する上で、その人数には上限と下限が定められている。その人数は学年及び男女を分けた総人数より算出される。仮に同一学年の男子生徒が60人以上であれば8〜13人。70人以上であれば9〜14人。80人以上であれば10〜15人。ただし、60人を下回る場合は別途参照』

 

「もう分かっていると思うが、男女別で6つということは、他クラスの生徒が混合した中でグループを作るということだ。そして、林間学校の間はそのグループで特別試験を乗り越えてもらう事になる。一蓮托生ということだ。」

「また、1つのクラスだけでグループの形成をすることは『ルール上』認められていない。グループは人数の範囲内であれば、どのクラスの誰と組んでも自由だが、最低でも2クラス以上の混合でなければならない。何より、グループの結成は話し合いにより満場一致の、反対者のいないものでなければならない。」

茶柱先生の発言は、しっかりと人数分けの項目の下に書かれてある。

 

『グループ内には最低でも2クラス以上の生徒が存在することが条件である』

 

「グループの人数が多いい方がいいのか、少ない方がいいのか。それはこれから説明する『結果』の項目に大きく影響を与えてくれるものだ」

 

「グループは、謂わば林間学校だけの臨時クラスのようなものだ。ただし、臨時とは言えその内容は濃い。グループのメンバー達で一緒に授業を受けることを始めとして、炊事や洗濯、入浴から就寝まで、様々な日常生活を共にすることになるだろう」

 

風呂や寝る所も一緒である事を知り、男女ともに悲鳴があがる。

 

「他所のクラスの連中と共同生活なんて出来る気がしねー…」

 

(いやいや。自クラスでも無理だわ。)

 

「特別試験の結果をどのように求めるかだが、それは林間学校の最終日に行われる総合テストによって決められる。大まかなテスト内容は資料7ページに記載してある。一読しておけ」

そう言われたら、必然全員がチェックする。

 

『道徳』『精神鍛錬』『規律』『主体性』

 

「詳しいスケジュールについては、林間学校に着き次第発表される。最終日にどんな特別試験をどのような順番で行うかも、今の段階では教えることはできない。」

 

「一年生の中で6つのグループを作り終えた後は、時を同じくしてグループを作っている二年生三年生と合流することになる。つまり、最終的に一年生〜三年生を合わせた約30〜45人で構成された6つのグループが出来上がるということだ」

「分かりやすくいえば、同学年で作るグループを小グループ、全学年で作るグループを大グループと考えてもらうといいだろう」

 

「肝心の結果だが、それは6つに分けられた大グループのメンバー全員の試験結果の『平均点』で評価される。他学年の良し悪しも大きく影響すると言うことだ」

 

「ある程度概要は伝わっただろう。それでは最後に一番重要なことを説明する。それはこの試験の結果がもたらすものだ。」

「平均点が1位から3位の大グループには生徒全員にプライベートポイントを支給するとともに、クラスポイントが与えられる。4位から最下位の大グループになった場合には減点されると思ってくれればいい」

 

『基本報酬』

 

・1位:プライベートポイントを1万ポイント

 クラスポイントを3ポイント

・2位:プライベートポイントを5000ポイント

 クラスポイントを1ポイント

・3位:プライベートポイントを3000ポイント

 

以上の報酬を、生徒1人1人に配布する

 

・4位:プライベートポイントを5000ポイント

・5位:プライベートポイントを1万ポイント

 クラスポイントを3ポイント

・6位プライベートポイントを2万ポイント

 クラスポイントを5ポイント

 

以上のポイントを1人1人失うものとする

 

「小グループ内でのクラス数に応じて報酬が倍に増えていく仕組みだ。更に小グループを構成する総人数が多いと、更にその後倍率が増加する。これらは1位〜3位までに適用されるルールであり、4位以下のマイナスには適用されないので安心しろ」

 

「それから最下位になった大グループには、大きなペナルティがある」

 

「ペナルティ…ってまさか」

 

「そうだ。『退学』だ」

 

「とは言え、最下位のグループ全員を退学にするわけではない。退学となるかの基準は、学校側の用意した平均点のボーダーラインを小グループの平均点が下回ってしまった場合に限る」

「ボーダーを下回った時には、小グループの『責任者』に退学してもらう事になる」

 

「その責任者はどのように決められるのですか」

 

「予め小グループで話し合ってもらい、選任しておく。それだけだ」

 

「んなの、退学するかもしれないのに誰が好き好んで責任者なんてするんだよ」

 

進んでやらせてくれと申し出る生徒がどれだけいるんだろうか。

 

「大きなメリットもある。責任者と同じクラスの生徒は報酬が2倍となる仕組みだ」

「責任者は小グループ結成後、そのグループ内で話し合いをもってもらい明日の朝までに決めてもらう。もし、グループ内で責任者を決めることが出来なかった場合、その小グループは即失格。つまり全員強制退学してもらうことになるだろう。もちろん、過去責任者を決めれず退学になった間抜けなグループなど存在しないがな」

「また、責任者が退学することになってしまった場合、グループ内の1人に連帯責任として退学を命じることができる。道連れとも言えるな」

「もちろん誰でも好き勝手連帯責任に出来る訳ではない。ボーダーを下回った原因の『一因』だと学校側に認められた生徒しかその対象にすることは出来ない。わざと赤点をとったり、試験をボイコットしなければ問題はおきないということだ」

 

「以上で説明を終わる」

 


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