地球の磁気のことを地磁気といいます。 35億年前の岩石にも地磁気のなごりが残されていることから、地磁気は地球の歴史(46億年)のかなり早い時期からあったことがわかります。人類が地磁気の様子を詳しく調べるようになったのは大航海時代になってからで、ヨーロッパの人たちが地球の各地に出かけそこの地磁気の向きを調べて航海に役立てました。そのような資料から、地表の地磁気の向きは、地球の内部に棒磁石のようなものがある場合とそっくりであることがわかり、地磁気の原因は地球の内部にあることがわかってきました。ただし、棒磁石のような永久磁石は数百度に熱すると磁石の性質をほとんどなくしてしまいますが、地磁気は高温の地球の内部で作られているわけで、地磁気の原因を永久磁石で説明することはできません。地磁気の原因がなんとかわかるようになったのは、地球の内部の様子が明らかになってきた20世紀中頃になってからのことです。
地球は地殻、マントル、核という部分から作られています。核は鉄やニッケルから作られていて、外側は外核といって流体、内側は内核といって固体です。そして地磁気を作っているのはこの外核の部分だと考えられています。
外核はとても電流を流しやすい性質をもっています。電流が流れると、右ネジの法則で磁場が作られます。これが地表までしみだしていくと、地磁気として観測されるわけです。ではどうして電流が流れるのでしょう。それには外核が流体であることが深くかかわっています。磁場の中を流体が動くとフレミングの左手の法則で電流が流れるわけです。電流や磁場は最初は小さなものであっても、お互いに強めあってしだいに大きな電流や磁場になります。流体の運動、電流、磁場(地磁気)は互いに影響を及ぼしあうので非常に複雑です。この様子を研究するのが電磁流体力学という分野で、これを地磁気の成因に応用したものは特にダイナモ理論と呼ばれています。
地磁気の成因はとてもむずかしい問題で、今でも100%解明されているわけではありません。ダイナモ理論に基づく研究が、スーパーコンピュータを活用するなどいろいろな方法で、現在も取り組まれています。
磁束密度で約46,000nT(ナノテスラ。テスラは磁束密度の単位、ナノは十億分の一を表します)。この値は現在の日本でのおおよその地磁気の強さです。
しかしいきなり数字を並べてもピンと来る方はあまりいないと思いますので、以下このことについて、簡単に説明しておきます。
まず始めに、地磁気は方向を持つベクトル量であり、さらに強さも向きも場所によって違うだけでなく、時々刻々変化しています。
地球上での地磁気の分布(図2-1)を見ますと、大まかに言って極地方で大きな値を示し、赤道付近の低緯度地方で小さな値を示す傾向があり、だいたい25,000nT(南米大陸中心付近)から、65,000nT(オーストラリア南方の南極大陸海岸付近)ぐらいになります。
地磁気の一日の変化は通常数十nT程度です。つまり磁気嵐等の特別な現象が発生した場合を除けば、一日の地磁気の変化は、地磁気の強さの0.1%程度と言うことになります。
これに対し地磁気の最も変化の大きい擾乱現象である磁気嵐は、太陽フレアーによって起こると考えられており、その大きさは、数百nTになります。しかしそれでも変化の割合としては地磁気全体の1%程度です。但し、これらは日本等の低緯度における値です。
最後に地磁気の大きさを、身近に利用されている人工の磁場の大きさと比較してみます。例えば、血行を良くして肩こりにきくと言われる磁気健康器の類は、だいたい千数百ガウスの磁束密度を持っています。1ガウス=100,000nTですから地磁気の2,3千倍の強さになります。また磁石の反発力を利用して、数十トンの車両を浮上させるリニアモーターカーは、数Tもの磁束密度を発生させることができます。これは地磁気の実におよそ十万倍にもなります。
違います。とは言ってもちょっと事情が複雑です。なぜなら、地磁気の極には「磁極」と「地磁気極(または磁軸極)」という2つの極があるからです。
さて、現在の日本では方位磁針のN極(通常は赤いほう)の指す方角は「真北」ではなく、少しだけ西の方に偏ります。実はこれと同時に方位磁針のN極は下を向いているのです(実際の方位磁針はこのことを考慮して針の重量バランスを取っているのでほぼ水平になります)。真北から偏る角度を「偏角」、下を向く角度を「伏角」と言います。この偏角の方向、つまり方位磁針のN極の指す方へ向かってずっと進んで行くと伏角は次第に大きくなり、ついには方位磁針のN極が真下を向くところにたどり着きます。この地点を「北磁極」と言います。逆に、方位磁針のS極の指す方へ向かってずっと進んで行くと、今度は方位磁針のS極が真下(N極が真上)を向く地点にたどり着きます。この地点を「南磁極」と言います。この2点が「磁極」です。 1980年には、「北磁極」はカナダ北方のN77.0°、W102.0°、「南磁極」は南極大陸近傍のS66.5°、E139.09°にあったとされています(図3-1)。
ここで簡単な問題を1つ。「南北2つの磁極はどちらがN極でどちらがS極でしょうか?」。勘違いしやすいのですが、北磁極はS極、南磁極はN極というのが答です。磁石のN極はS極に引かれます。方位磁針のN極を引きつけるので、北磁極はS極なのです。
ところで、地球上の各地で地磁気の観測(偏角や地磁気の持つ力の観測)をすると地磁気の分布図ができます。ここで地球内部に1つの棒磁石(正確には磁気双極子)があると考えましょう。この棒磁石が存在することによって計算される地磁気の分布が観測された分布図と同じになるよう棒磁石の方向を設定します。こうして考えられた棒磁石の長さ方向への延長線が地表面へ出てくる2地点をそれぞれ「地磁気北極(北磁軸極)」、「地磁気南極(南磁軸極)と言います。この2点が「地磁気極(磁軸極)」です。 1990年現在、「地磁気北極」はN79.1°、W71.1°、「地磁気南極」はS79.1°、E108.9°にあるとされています(図3-2)。
「磁極」と「地磁気極(磁軸極)」の定義は上述のとおりです。ここまでに気付いた方もいると思いますが、「地磁気極」は地球の中心に対して対称な位置にあり、一方、「磁極」は対称な位置にはありません。地磁気極が対称な位置にあるのは定義から明らか。では磁極が対称になっていないのはなぜか。これはれっきとした観測事実なのですがその原因は地磁気の成因とも深い関わりがあり、まだよくわかっていないのが現状です。
終わりにもう1つ。上の説明の中で「◇○年現在、極の位置は・・・とされています」という表現にしているのを疑問に思った方もいるでしょう。地磁気の観測が始まって200年近くになりますが、その歴史の中で図3-2のように「磁極」が移動していることが判明しました。さらに、岩石の生成過程で岩石中に閉じ込められた磁気(残留磁気)を分析するという手法で過去に遡ってみると、磁極は移動どころか「逆転」している時代もあり、その逆転も何度も繰り返されていることがわかっています。そのため、このような表現になってしまうわけです。
地球の中心には大きな磁石があります。もしも地球のまわりに何もなくどこまでも真空ならば、地球の磁力線は遥か彼方まで棒磁石の磁力線同様の形をして伸びているでしょう。しかし、太陽からは常時ガスが吹き出しており地球周辺では速さ数百km/sec、粒子密度数個/cm3の電気伝導度の高いプラズマ(ほぼ同量の陽イオンと電子を主体とする電荷を帯びた粒子の集まりで全休としては中性である)の流れとなっています。この流れを「太陽風」と呼んでいます。太陽風は太陽の磁場を引きずるような形で運びます。その磁場は、地球の周辺では数nT程度の強さになっています。太陽風の中には陽子、電子のほかにもヘリウムや酸素、炭素などのイオンも含まれています。
地球の昼(太陽に面している)側では地球に向かってきた太陽風が地球の磁場によって進路を妨げられます。見方を変えれば、図4-1のように、太陽風は地球の磁場の圧力とちょうど釣り合う位置まで地球の磁場を圧縮し、そこから四方に分かれて地球を包み込むように後ろへ流れており、それに伴って地球の磁力線が吹き流されています。それはあたかも彗星の如く長い尾を引いて見えることでしょう。全体としては太陽風の中に細長い空洞(磁気圏)が出来ることになります。磁気圏と太陽風との境界(磁気圏界面)には電流が流れ、その電流は磁場が太陽風側へ漏れ出るのを遮ります。地球の夜(反太陽方向)側の長く伸びた部分は磁気圏尾部と呼ばれ、赤道面を境に、南半球では地球の南極付近に端を発した磁力線が太陽と反対方向にのび、北半球では太陽方向に向いて北極付近に集まっているような形をしています。
磁気圏の広がりは昼側では地球の半径(約6、380km)の10倍(6万km)程度です。尾部は最近の人工衛星の観測では地球の半径の3,000倍(2,000万km)以上もあることが確認されています。尾部であることの認定は磁場の方向が地球と太陽を結ぶ直線の延長上にほぼ沿っていることなどによります。
磁気圏尾部の中心付近には、反対向きの磁場が接していて磁場が極めて弱い場所(磁気中性面)をはさむプラズマ・シートと呼ばれる領域があります。そこにはエネルギーの低い(1 keV程度)プラズマが分布しています。オーロラ粒子はこのプラズマ・シートからやってきます。磁気圏内で様々な現象を起こすエネルギーの源は太陽風のエネルギーです。このエネルギーを磁気圏内に取り込むための過程のひとつとして、太陽風内の磁力線が南向きとなったときの磁気圏内の磁力線(北向き)との再結合が上げられます。再結合が起こると太陽風の動きに伴って、地球の磁力線が夜側へと運ばれるようになり、その結果プラズマ・シート内の磁場エネルギーが増大します。この磁場エネルギーの蓄積がある限界を超えるとそれがプラズマの運動エネルギーヘと転換し高速のプラズマ流を生じさせることになります。
このように磁気圏も惑星間空間も絶えずプラズマや磁場の分布が変化しており、様々なドラマを演じています。それらの様子は、地上からの観測、ロケット、人工衛星などの観測手段の発達に伴って少しずつ明らかにされています。
地球の磁気圈は、磁場が荷電粒子の動きをくいとめる作用によって、地球を太陽風からまもっています。でも、秒速数百kmの激しい太陽風の流れの中にあるわけですから、太陽風の状態に変化があるとその影響を受けて、磁気圈の中に波紋が生じます。磁気嵐は、太陽風の影響を受けて生じる、磁気圈内全体にわたる電磁気的擾乱です。
磁気嵐のことを説く前に、磁気嵐を引き起こすエネルギー源である太陽風の故郷、すなわち太陽に目を向けましょう。太陽と磁気嵐とのかかわりの中で必ず登場するのが太陽黒点です。太陽黒点は、太陽内部の磁場が太陽表面にまで出てくる部分にあたります。磁場の作用でそこの温度が下がっていて周囲より暗くなっているため黒点といわれます。太陽黒点では、磁場のエネルギーが蓄積され、あるところで爆発的にエネルギーが解放される現象、太陽フレアー(フレアーは炎の意味)が起こります。太陽フレアーで放出された荷電粒子は磁気嵐を起こす大きな原因の一つとなっています。ちなみに、太陽活動という言葉をよく耳にされると思いますが、太陽活動は太陽黒点数によって表されます。太陽黒点が多くなればなるほど太陽フレアーの発生数も多くなり、太陽が活発になるので、太陽の活動を示す指標として用いられています。
さて、太陽フレアーによって放出された高速荷電粒子の集団が地球の磁気圈まで到達すると、それまでの太陽風よりも強い圧力がかかり、磁気圈は少し縮んでしまいます。しかし磁気圈の磁場の圧力により持ちこたえて、完全につぶれるということはありません。その状況は、地上(日本等の中低緯度)でも地磁気水平分力の増加として観測されます。ところがこの時に、太陽からの荷電粒子の集団が、地磁気と逆向きの南向きの磁場を帯びていると、このままではすみません。太陽風の磁場と磁気圈境界の磁場が中和するような働きによってディフェンスカが弱まり、太陽風のエネルギーが磁気圈に入り込みやすくなります。その結果、磁気圈夜側の荷電粒子が加速されて、磁気圈内を地球の方に向かう大きな荷電粒子の流れが生じます。この時、高エネルギー放射線の量が増えたりして、静止衛星(例えば「ひまわり」)の機器が損傷を受けたりすることがあります。
磁気圏内を地球へと進む荷電粒子は、地球に近付くにしたがって磁場が強くなってくるので、ドリフト(漂勤)という性質により、正(十)と負(-)の粒子が逆に動き、そのため、見かけ上電流が流れます。その電流は地球半径の数倍程度の半径をもつ巨大なドーナツ状のものであり、主に赤道面内を流れます(赤道環電流)。電流が流れれば磁場が生じます。赤道環電流の作る磁場というのは、その電流環の内側では南向きで、地磁気とは逆向きです。したがって、磁気嵐になると、地上(日本等の中低緯度)では、地磁気水平分力が減少します。
磁気嵐は激しく時間変化します。ただし 時間スケールでいえば、数分~数時間のゆっくりした変化です。柿岡で、磁気嵐の時にどんな変化をするかを図に示します。図には、参考のため、地磁気変化の少ない日(地磁気静穏日)の変化も示してあります。毎日、モニター記録を見ていて、磁気嵐かどうかは、単に地磁気水平分力が減ったというだけでなく不規則で激しい時間変化があるということで、一見してそれとわかります。なお、不規則な変化の一つ一つが赤道環電流の消長だけでなく、極域の現象一オ一ロラーとも関係していることもわかってきています。
端的にいいますと、太陽は磁場を持っていますが、月は磁場を待っていません。
もう少し詳しく説明しましょう。太陽の磁場が最初に観測されたのは、1908年のことです。ヘイルというアメリカ人が、黒点の付近で3、000ガウス(1ガウス=100,000nT)に及ぶ磁場を発見しました。その後、いろいろな人によって太陽の磁場は詳しく調べられて来ました。
太陽の磁気分布のモデルは少し複雑です。太陽面のすぐ内側で、磁力線が束になった「磁束管」が太陽をぐるぐると取り巻いていて、時々表面に現れたりします。その磁束管が太陽表面に現れたのが、黒点等の太陽面現象に該当すると考えられています。
一方、太陽には地球のような形の一般磁場(天体が全体として持っている磁場で、局所的な磁場と区別している)も存在します。黒点の磁場よりは弱いものの、太陽の極付近には安定した1ガウス程度の磁場が観測されています。その磁場の形は地球のものに似ており、極性(NとS)は22年周期で逆転する事が知られています。
これらの太陽の磁場は太陽系全体に影響を及ぼしています。太陽フレアーが発生するのも太陽の磁場があるからだと言えます。
次に月についてですが、月表面の磁場は、かつてアポロ宇宙船が月に着陸した時等に測定が行われています。その結果、月表面の磁力の値はたいへん弱く一般磁場が存在しないかまたはあってもごく弱いことが分かっています。一説では月の中心の磁石の強さは地球のそれの100万分の7以下と言われています。ダイナモ理論(地球磁場発生の原因についての仮説)を基に考えますと、磁場の出来る条件として内部に導電性流体核の存在と、その核の大きさに応じて決まるある値以上に速い速度での自転が必要であると考えられます。月は、全体の大きさに対する流体核の大きさの比率が0.20弱ですが、それに対して28日強の月の自転周期では遅すぎて、磁場が存在できないことになるのです。
では、太陽系の他の惑星はどうなのでしょうか。実は惑星の磁場が直接測定され始めたのは、意外に新しく、1970年代に各種の惑星探査機が飛ばされるようになってからです。現在では、冥王星を除く各惑星について、磁場の有無や大きさが分かっています。その結果から、金星と火星を除く惑星には磁場が存在することが分かりました。
金星は自転周期が遅過ぎるために、火星は核が小さすぎるために磁場が存在出来ないか、または存在しても弱いと考えられています。水星は惑星が小さく、自転同期も59日と比転的遅いため、地球の100分の1程度の小さな磁場しか存在していません。逆に強い磁場を持っている惑星は、地球を除くと、木星型惑星と呼ばれる惑星ばかりです。木星型惑星は内部に大きな核を持っていて、自転周期も速い(一番遅い海王星でさえ0.7日弱)のが特徴です。なお、木星の衛星イオにも磁場の存在が確実視されていることを付け加えておきます。ボイジャーが観測した木星のオーロラは、イオの磁場の影響が発生の原因と考えられています。また、NASA(米国航空宇宙局)のハッブル宇宙望遠鏡による遠紫外線観測で、土星の北極中心付近にカーテン状オーロラが観測されたことがあります。そう、オーロラは地球以外に木星や土星でも観測されているのです。
皆さんは理科の時間に、コイルに磁石を近づけたり遠ざけたりすると、電気が流れるという実験をやったことはないでしょうか。これは電磁誘導という現象です。物体の周りの磁気が時間変化すると、その物体に電気を流す力がひき起こされ、その力は磁気の変化が激しいほど大きくなります。そしてその物体が電気を流すようなものの場合には磁気の変化に応じた電流が流れます。磁石を近づけたり遠ざけたりすることによって、その金属の周りの磁気が変化して電磁誘導が起こったわけです。
これと同様に、磁気嵐が発生したときも地磁気が激しく変化して、地球やその上に乗っている私たちの周りのものすべてに電気を流す力が生じます。そしてそれが金属のように電気を通すものの場合には電流が流れることになります。 私たちが身につけているくらいの小さな金属にとってはこの電流は全く無視できる量ですが、大陸をまたぐ様な大きさになると思わぬ大きな電流となることがあります。例えば北極圈で原油や天然ガスを運ぶためのパイプライン、大陸間の通信用ケーブルのように長大な金属には、それに沿って磁気嵐の時に大きな電流が流れることがあり、障害が発生することもあります。また電気を流すために張り巡らしている電線も、地磁気の変化を大きく受けることがあります。1989年3月の大磁気嵐の時にはカナダのケベック州で大規模な停電が発生しました。この原因は送電線に沿って大きな電気を流す力が働いて送電設備が故障したためであると考えられています。
磁気嵐の影響は宇宙空間では地上よりもさらに大きくなります。地球の周りを回る人工衛星は、常に自分の位置や姿勢をチェックして、必要とあれば調整をしてやる必要があります。正確にアンテナや測定が本来の機能を発揮するためには常に目的の方向を向いていなければならないからです。人工衛星が自分の姿勢を制御するためによく使われる方法の一つに、地磁気を利用する方法があります。地磁気は普段はだいたい一定の方向を向いているため、上も下もない宇宙空間では格好の方向の基準となるからです。ところが磁気嵐の最中は地磁気の向きや強さは激しく乱れているため、人工衛星の姿勢を正確に制御することが難しくなり、大きな磁気嵐の場合は人工衛星を使った放送や通信に支障をきたす場合さえあります。
また磁気嵐の時には電気を帯びた粒子が宇宙空間を弾丸の様な速度で飛び交っています。この粒子の流れが人工衛星を直撃して、搭載している機器が故障することがあります。例えば1991年3月の大磁気嵐の時には日本の放送衛星ゆり3号aに積んでいた太陽電池が故障するというトラブルが発生しました。将来人間が宇宙で活動するときには、磁気嵐による被害をどう回避するかが大きな問題となるでしょう。
大いにあります。地磁気は、美しいオーロラを光らせる演出家です。また、オーロラを光らせる元となる資源やエネルギー源を調達し舞台設定もします。つまり、オーロラを光らせるための全てのお膳立てをします。しかし、その報いはというと、極磁気嵐(後出)という激しい地磁気擾乱です。手塩にかけて美人女優を育て上げたあげく、逆にその女優から翻弄されて身もだえる・・・そんないじらしい演出家が地磁気なのです。冗談はさておき、地磁気がどうやってオーロラ発光に貢献するかは、Q4で述べられた磁気圈の形に鍵があります。
磁気圈は、太陽風によって、夜側は彗星の尾のように引き延ばされています(尾部)。尾部の北側と南側が合流する部分は、磁気中性面とよばれ、磁場が弱くなっています。そこに、太陽風から磁気圈の中に入りこんできた荷電粒子などがたまっています。この荷電粒子(電子や陽子)がオーロラを光らせる元(オーロラ粒子)です。つまり、磁気圈の尾部の形が、オーロラ発光のための資源を集めるのに役だっているのです。
次はエネルギーの調達です。ある条件の元で、太陽風の作用により、尾部に磁場のエネルギーが蓄積します。エネルギーの蓄積が限界に達した時、オーロラ粒子がエネルギーを得て、一気に地球方向へと加速されます。このエネルギー獲得メカニズムも、磁気圈尾部がなければ起こらないでしょう。なお、オーロラ粒子が加速される際、磁気嵐を起こす荷電粒子の加速も生じて磁気嵐が発生する(Q5参照)ことがあります。一般に、磁気嵐発生時にはオーロラもよく起こり、大きな磁気嵐の際には、通常より低緯度でオーロラが観測されます。最近では、1989年10月21日と11月18日に、北海道でオーロラが見られました。実際に発光していたのは、北海道より少し北方の上空でしたが、日本で視認できるぐらいの低緯度にオーロラが出現したのは、その時大きな磁気嵐が起こっていたからです。
オーロラ粒子が地球に近づくにしたがい、磁力線は北極または南極の方に曲がってゆきます。一般に、荷電粒子は磁力線方向には動きやすいので、オーロラ粒子も磁力線を伝って極地方に向かいます。これも磁気圈の(形の)重要な貢献で、もし磁力線のガイドがなければ、オーロラ粒子は地球に到達できないでしょう。
オーロラ粒子が元々いたところの磁力線をたどると、約60~70度の比較的狭い範囲の緯度領域にたどり着きます。そのため、オーロラ粒子がこの領域に集中して降り込んできて、輝かしいオーロラを光らせるのです(オーロラ帯)。このように、オーロラ粒子が、磁力線によりある領域に集中させられることが、明るいオーロラを光らせるポイントとなります。磁気圏の形が、オーロラの輝度や舞台設定にも貢献しているのです。
オーロラが極域で光る時、荷電粒子が極域の電離層に降り込むわけですから、そこに強い電流が流れます。その電流による地磁気変化は非常に大きくなることがあり、オーロラの真下では、時には方位磁針が数度も振れてしまうことがあります。これを極磁気嵐といいます。極磁気嵐が発生した時、柿岡でも特有の地磁気変化が観測されます。また、明るいオーロラが光り始めるちょうどその時に対応して、地磁気脈動という現象が起こります。これは磁気圏の磁力線がギターの弦のように振動する現象で、その弦の根元は、光っているオーロラの場所にあたります。周波数はずいぶん低くて(0.02~0.006Hz程度)可聴域ではありませんが、華麗なオーロラの出現を祝う地球規模の楽曲だと想像しながら、極の夜空を焦がしているオーロラに想いを馳せることができます。地磁気はオーロラの情報伝達から伴奏までしているのです。
鉄鉱石や石油などの地下資源は地下の特定のエリアに固まって存在します。これを鉱脈、または鉱床と言います。
鉱脈を発見する方法は、地質調査や各種物理探査、ボーリングなどいろいろありますが、地磁気も物理探査の一分野として大いに利用されています。ある調査地域において、地磁気の強さや方向の分布を調べて鉱脈や地下の地質構造を推定する手法を、一般に磁気探査と言います。
磁気探査は鉄鉱石として品質の高い磁鉄鉱床の発見に非常に有効です。磁鉄鉱は鉱物の中で最も強い磁性を有しています。すなわち磁鉄鉱はそれ自体強い磁石になっているわけですから、磁鉄鉱床が地下に存在する地域の地磁気は大きく乱されています。極端なケースでは地球磁場を上回る擾乱磁場が観測されることもあります。この時、方位磁針は北を指さなくなり、東や西を指す場合もあります。一般に地下にある磁性体の影響で地上の磁気分布が大きく乱される現象を磁気異常と言います。磁鉄鉱床の存在する地域では大きな磁気異常が観測されるので、鉱床の周囲の磁気分布を調べることによって、鉱床の存在する位置や深さ、規模などを推定することができます。磁気測量用の磁力計としては、地磁気の強さを測定するプロトン磁力計が最もよく使われています。
また、磁気探査データから地下の地質構造を推定することも可能です。これは岩石によって磁性の強さが異なるという性質を利用します。たとえば、堆積層中に貫入岩体がある場合、貫入岩のまわりに磁気異常が形成されるので、貫入岩が存在することを推定できます。推積層が磁性を有する場合、堆積層中の断層や摺曲構造を推定することもできます。一般に金属鉱床や燃料鉱床(石油、石炭など)は地下の地質構造と密接な関わりを持っているので、地磁気は磁鉄鉱以外の鉱床の発見にも利用されています。
実際の鉱脈探査では一つの探査方法だけが用いられることはあまりなく、複数の手法を用いて総合的な調査がなされています。
鉱脈ではありませんが、地下に埋没している鉄でできた人工物の探査にも地磁気は利用されています。たとえば、第二次世界大戦中に投下され現在もそのまま埋没している不発弾の発見や、どこを通っているのかよくわからなくなった水道管の調査などがあります。防衛目的では埋設地雷の発見や侵入する潜水艦の探知などに応用されています。
鉱脈探査のための地磁気の測定は地表でも行われますが、近年、短時間に効率よく広い範囲を調査できる航空機を利用した磁気測量(航空磁気測量)が一般的になっています。航空磁気測量は測定の効率だけでなく、地表から数百~数千mの高度で磁場を測定するので、地表付近の小規模な磁気異常の影響は無くなり、地下深くに起因する大規模な磁気異常を捉えられるという長所があります。
「本当です。」
78万年前N極とS極は逆転しており、また少なくとも過去360万年の間に11回は逆転したと考えられています。では、そんな大昔にN極とS極が逆転していたことをどうやって知ることができたのでしょうか?
富士の樹海では方位磁針が狂ってしまうという話を聞いたことがあるでしょう。これは、富士山が噴火したときに流れ出た溶岩が冷えて固まるときに、その時点の地磁気によって磁化され、規模の大きな磁石になっているからです。このようにして出来た磁石は長期間安定しており、そのため溶岩をしらべると噴火した当時の地磁気の向きがわかります。また、海底などの堆積物中にも小さな磁石(磁鉄鉱粒子など)が含まれており、溶岩と同様に堆積した当時の地磁気の向きを知ることができます。
そこで、いろいろな場所の岩石をしらべてみました。するとどうでしょう。現在の地磁気と反対方向に磁化されたものが、世界各地で数多く発見されたではないですか。この反対方向に磁化された岩石は、地質年代第四紀前半(約70万年より前)に集中していました。1960年代には放射性同位元素による年代決定が実用化され、それによって近い年代値の岩石は同じ向きに磁化していることが確認され、地磁気は過去360万年で11回も逆転していたということが明らかになりました。
そして、これらの逆転を指標として色々なことがわかってきました。 極移動(北極、南極が移動する)や大陸移動、プレート・テクトニクスのもととなった海洋底拡大説などがそうです。では、なぜ地磁気のN極とS極は逆転するのでしょうか。Q1でもふれられているように、地磁気の発生原因としてダイナモ理論というものがあります。例えば、力武モデルでは、N極とS極が逆転することが示されていますが、実際の地球内部ではどのようになっているかいまだ解明されていません。
このように、地磁気は色々な科学的知見と共に、発展してきましたが、すべて解明されたわけではありません。
宇宙飛行士が無重力の中で長く生活していると、骨のカルシウムが失われていくそうです。私達の体は環境変化に伴い、思わぬ変化を引き起こすもののようです。
地球は、地磁気という磁場環境で包まれており、全ての生物はその中で進化してきたわけですから、「何かしら地磁気の影響を受けているはず?」と考えるのは当然です。しかし、人間には見ることも感じることも全くできないものだけに神秘的であり、夢と不安とを抱える課題でもあります。
一口に磁場と言っても、一様に存在する自然磁場(地磁気)と、電磁石のように狭い範囲に非常に強い人工磁場とがあるので区別が必要です。
特に最近は、病院の検査で使用される核磁気共鳴診断装置(MRI)やリニアモーターカー等、身近にも強い磁場を受ける機会が増え、この問題への関心も高まっています。
自然磁場との関係では、『生態(生活)への関与』と『生体(からだ)への影響』に分かれます。
『生態への関与』の話には、伝書鳩は磁気嵐の時や磁石を付けられると飛行方向が乱れるということが実験で知られており、「渡り鳥も地磁気を利用しているのでは?」と推測されていたのですが、実際に鳩の頭部から体内磁石-マグネタイトーが発見されるに至り、磁気感覚器官というものは存在すると考えられるようになりました。
この体内磁石は、ミツバチやイルカ等にも確認されています。中でも、走磁性バクテリアという細菌には体重の2%もの体内磁石があって、地磁気のN極やS極に向かって泳動するという、面白い特徴を持っています。
このように、地磁気が見えて地磁気と共に生活している生物もいるのです。
『生体への影響』については、病気や体質等いろいろな事象と地磁気活動との対比で調べられています。中には子供の成長や体格等に相関が見られたとの報告もあります。
数千年数万年単位の話となると、地磁気の変動や逆転が気候変動を招いたり、生物種の変遷や恐竜絶滅の引き金になったと考える人もいます。私達祖先の現世人類(ホモ・サピエンス)や、それ以前の原人発生も、地磁気逆転の時期と一致するという見方も示されています。次回の地磁気逆転の時には、いよいよ私達人間の次の新人類種の登揚となるのでしょうか?
しかし、このようなセンセーショナルな話は、地磁気だけで説明するには少し無理があるようで、他のいろいろな環境要素や要因に地磁気も関与したと考えるのが一般的です。
人工磁場との関係では、『細胞レベル』と『個体レベル』の話に分けられます。
『細胞レベル』の話には、磁石を土に挿しておくと根の発育が良くなったとか、枝に磁石を付けておくと果実の糖度が増したといような話もありますが、実際に非常に強い磁場をかけておくと植物の根は異常生長を起こすことが、実験で確かめられています。
このような強い人工磁場の中での実験では、細胞分裂や細胞呼吸の減少、タンパク質構造の変化、酵素活性化への影響、さらにはDNA合成の抑制、遺伝子暗号エラーの増加等、数多くの結果が報告されています。
がん細胞の生育抑制や退縮への関与もあるらしく、検査や治療での応用が期待されるものもあります。
『個体レベル』の話には、例えば磁石が肩こりをほぐすという話がありますが、そのメカニズムはよく解っていません。それは、いろいろの要因が重なり合い、同じ条件下での実験が難しく、生命体の適応力や個性の問題も含まれてくるためです。
よく興味を持たれる、「磁場の精神活動への影響」というような問題も実証するのはさらに難しく、まだまだ謎の多い分野です。
大変です。ハイキングで山に登った時やヨットで海に出た時に西も東もわからなくて迷います。太陽の位置を頼りにするしかありません。日が暮れた後だったら翌日の日の出を待たねばなりません。・・・でも、こういったことはまだ楽しい経験ですむかも知れません。
人類にとって脅威となり得るものとして、まず、太陽風が考えられます。太陽風については、Q4、Q5などで説明されてきましたが、風といった穏やかな表現よりもむしろ放射線といった方があたっているかも知れません。太陽風は、広い宇宙空間に散らばるため地球近傍では希薄になっていますが、風速毎秒数百キロメートル以下の「超高温の暴風」であり、エネルギー的には太陽宇宙線という方が実状に即しているといえます。 もし地磁気がなくなったとしたら、これが直接地球の大気にぶつかってきます。
過去におきた地磁気逆転(Q10参照)の時期には、ある種の放散虫が突然、絶滅することが確かめられています。このような例は他にもあり、このことから地磁気逆転と生物の進化・生存に関係があるという説があります。地磁気がゼロに近い状態になると、太陽風や宇宙線は、磁場に妨げられることなく地表に達して生物に対して影響を与え、結果として生物を死滅させたり突然変異を起こしたりする、という考えです。恐竜の絶滅を地磁気の逆転で説明する人も似たような考えです(M.アラビー/J.ラブロック「恐竜はなぜ絶滅したか―進化論のミステリーに挑む―」等参照)。
しかし実際には、地球大気は充分な厚みがあるので、太陽風のほとんどは地表へ届く前に吸収されることでしょう。 したがって、このようなメカニズムが適切かどうか少し結論を待ちたいところです。でも、超高層大気の組成が変わったりする可能性の方はかなり信憑性がありそうです。高層大気の微量成分が損失を受けたりすると、オゾン層破壊のようなことにはならないまでも、地上の生命に悪影響を及ぼす可能性は大いにあり得ます。
気候変動への影響も一考の必要があります。エネルギー的には大きくなくても、気候変動に太陽活動がそれなりに影響しているというのは確からしいとされています。人工衛星による観測の積み上げにより、太陽活動の変化にともなって太陽定数が変化することはわかってきています。でも、その他に、地球のまわりに存在する電離層での電流の影響も無視できません。地球の磁気圏と電離層とは密接なつながりがあり、ことあるたびに電流が行き来していますが、この電流のために電離層では熱が発生しています。この熱が地球の大気の運動に影響を与えているという説もあるのです。地磁気がなくなったり大きさが変わったりすると電離層の性質が変わり、これが気候変動の原因の一つであると考える人もいます。
人体への直接的な関与も考えられ、いろいろな研究がなされています。「Tech Mag 磁気と生体」には、生体と磁気の関連性についての様々な研究事例が紹介されています。その中で、地磁気が弱くなった場合の人体への影響についても以下のようなことが述べられています。
『鉄筋建築物や電車・車など鉄でできたものの中では地磁気が弱められる。そういう中で生活することの多い現代人には、磁気欠乏(不足)症候群ともいうべき病的状態が存在すると唱えている医学研究者たちがいる。』
『人為的に地磁気をシャットアウトした場合、中枢神経系や日周リズムなどに明らかに異変がみられるという。』
『代謝能力の低下や白血球の減少などさまざまな生体機能の乱れが、長期間潜水艦に乗り組んで潜水航行した乗組員に起こるという報告もある(鋼鉄製で気密性が高い潜水艦が、海洋という磁気シールドの中で潜水航行していれば、艦内の環境はかなり磁場が弱い磁気遮断状態となる。)』
これらの事例からすると、もし地磁気がなくなったら、多くの人が身体の変調をきたすおそれがあるわけです。湿度、気圧、温度などの気象条件同様、地磁気も、病理学的に見て、人体に何らかの影響をおよぼしている可能性が高いと思われます。
生物の進化の始めから地磁気は存在し続けてきました。生物はその進化の過程で、他の環境要素(大気、水圏、重力、太陽光など)同様地磁気にも適応してきたのであり、地磁気は生物にとって大切な地球環境の1つなのです。
地震活動は、現在ではプレート運動によって地殻にたまったひずみが解放されるときの変動であると考えられています。これを日本に当てはめれば、太平洋プレートやフィリピン海プレートが押し寄せてきて日本列島にぶつかり、これを下に引きずり込もうとして変形を与えます。この変形に耐えられなくなって、地殻が破壊や反動をおこす運動が地震となります。ですから、地磁気と地震活動との関係とは、これら一連の運動によって地磁気がどのような影響を受けるか、と言うことになります。
1965年~1967年にかけて長野県松代で群発地震が起こったときには、松代やその北方6kmにある保科で全磁力観測が行われました。その結果、一部で地震活動が活発な時期にあわせて2つの観測点で地磁気が変化したことが確認されました。他にも、アメリカ西海岸カリフォルニア州にある大断層、サン・アンドレアス断層の何カ所かで同じく全磁力観測が行われました。 1966年前後の結果を見ると断層が横ずれした時期と同じくして地磁気に異常があらわれるということが確かめられました。
これらの地磁気の変化は「ピエゾ磁気」によると考えられています。ピエゾ磁気とは岩石に圧力がかかったときに発生する磁気を言います。玄武岩や安山岩に圧力を加えていくと、帯磁率は圧力方向で減少しますが、それと直交する方向では増加するということが、実験的にわかりました。圧力によって地磁気が変化するのなら、地震でなくても例えばダムの水圧でも変化するはずです。このことは、1971年~1972年のオーストリアのスノウィ・マウンテンのタルビンゴ・ダムの周辺で磁気測量が行われた結果、全磁力に2~8nTの減少があることが示されました。ピエゾ磁気の考えにたてば、地磁気の変化の大ささは、地殻にかかる圧力の大きさ・範囲・帯磁率・そこでの地磁気の大きさによります。断層のモデルに、これらの結果をあてはめてみると場合によっては、地磁気が10nT~100nT程度に変化することが予想されます。この量は現在の地磁気観測測定器で充分に検出可能な大きさであると言えるでしょう。地殻に徐々に圧力が加わるに従ってピエゾ磁気が増加していきますが、地震によって今までの圧力が一度に解放されて同時にこのピエゾ磁気もなくなるので、それだけ地磁気が変化するように見えることになります。
さて、地磁気は常に変動していますから、普通に地磁気の測定をすると地震による影響分と地磁気の自然変化を加えたものを測定していることになります。この場合は地磁気の自然変化分がノイズ(邪魔もの)となりますから、なんとかしてこれを分離する必要があるので厄介です。しかし逆にこれを利用して地球内部を調べる方法があるのです。地磁気の変動の中で、5分~100分程度の周期をもつ水平成分と鉛直成分の変化分の比をとります。柿岡のデータを用いてこの値を調べてみると、1900年頃には0.6ぐらいであったのが、1923年の関東大震災の起こった頃には0.5以下となり、以後は増加していき1940年頃には0.8になったという事実があります。この値は、実は地下の電気伝導度を反映する量なのです。ですから、これが変化すれば何らかの影響で地下の電気伝導度が変化したことを推測することができます。このことと地震活動との間には何らかの関係がありそうですが具体的なメカニズムはまだ、はっきりとはしていません。
火山活動に伴い、地磁気が変化したという話は聞いたことがあると思います。 1990年から始まった雲仙普賢岳の噴火、伊豆大島(1986年)や三宅島(1983年、2000年)の噴火の際にも地磁気の変化が観測されました。
火山活動の静穏なときの火山体は、図14-1のように地磁気の方向と同じ向きに磁化されています。これは、火山を構成する岩石には、磁化しやすい強磁性鉱物が含まれており、火山活動が終わりマグマや火山ガス等により温められていた山体や、マグマその物が冷えていく過程で、地磁気の方向に磁気を獲得する(熱残留磁化の一種)ためです。
しかし、火山活動が活発化すると、マグマや火山ガスの上昇に伴い、山体の温度が上昇し山体の磁気は弱められます。温度上昇が更に進み、山体を構成する岩石のキュリー点(物質が磁気を失う温度で、物質によって異なります。火山を構成する岩石のキュリー点は、おおよそ300~500℃と言われています。)に達すれば磁気を失います。これを熱消磁といいます。仮に、山頂直下で熱消磁が起きたとすると、その部分に図14-2に示したような地磁気と逆向きの磁化が生じたことと等価であると考えることができます。地上で地磁気の観測を行うと、南側Aでは地磁気と逆向きの磁力線によって弱められ小さく、北側Bでは逆に強められ大きくなります。
また、岩石の磁気は圧力変化によっても変化します。これをピエゾ磁気効果といいます。圧力を受けた方向に磁気は弱まり、それと直交する方向には磁気が強まります。従って、火山体でマグマの上昇等による圧力変化が起これば、地磁気の変化として観測することができます。
では、どの様に観測をするのでしょうか。地磁気の強さ(全磁力)を測定するプロトン磁力計を、火山活動の変化(活動期の熱消磁あるいは終息期の熱残留磁化)が大きく観測できる火口の南側と北側に設置し観測を行います。観測されたデータには、火山活動とは関係の無い地球外部の影響による変化が含まれているので、これを火山の影響の無い地点で観測したデータで補正します。 火山活動が地磁気に与える変化は、それぞれの火山ごと、また観測場所によっても異なりますが、数nTから数百nTになります。
地球物理学の中に地球電磁気学という分野があります。地球規模での観測データが得られるようになった19世紀後半頃から、欧米の学者の研究活動を中心に学問体系が形成されてきました。日本でも、明治時代頃から研究活動が行われ続け、戦後間もなく日本地球電磁気学会(現 地球電磁気・地球惑星圏学会)が設立されました。近年、発展著しい惑星圏科学と合同して学会規模も拡充し、地球中心から宇宙空間を経て太陽や惑星までと実に広い範囲にわたっての電磁気現象が研究されています。その中で、地磁気観測データは研究対象としてだけでなく重要な環境パラメータとして利用されています。また、空中電気や雷など大気電気現象を研究する大気電気学会も関連のある学会です。
地磁気の調査・研究の理論的基盤となるのは、プラズマ物理学や電磁気学です。最近の理論的研究では、コンピュータ・シミュレーションが威力を発揮することが多くなっていますが、大気や海の性質を研究する場合に比べて、力学や流体力学のみならず電磁気的要素も入るので、取り扱いが複雑になるようです。また、3次元グラフィックスが身近になった今、得られた結果の可視化の新しい技術もさらに重要になりつつあります。
地球物理学の基本となる観測については、新しい観測機器によるこれまで未測定の物理量の観測と、新しい場所または多点観測の2種類に分別され、様々な取り組みが成されています。以下では、国際的に高く評価されている日本の研究観測事業(これらは、国内の大学や宇宙航空研究開発機構、国立極地研究所、東京大学地震研究所などが中心となって行っている。)について紹介します。
「未測定の物理量の観測」の例としては、大出力のレーダーや新開発の分光器を用いた、高層大気の電磁気的状態、運動、組成の測定などがあります。例としては、ヨーロッパと共同で北極圏にオーロラ観測のためのレーダーを建設するプロジェクトや、赤道での上層大気観測用レーダーの建設などが挙げられます。
人工衛星による観測は、「未測定の物理量の観測」と「新たな地点または多点の観測」の両方の側面を持つ強力な手段で、これまでにも多くの新しい事実が、世界各国の人工衛星の観測から明らかにされてきました。日本の人工衛星観測でも、様々な成果があげられています。太陽のX線観測で太陽フレアーの微細構造をくっきりと映像化した「ようこう」、可視光による観測も加えて太陽表面の詳細な磁場を明らかにした「ひので」、極域および磁気圏尾部の状態を観測している「あけぼの」、「GEOTAIL」のデータは国際的に高く評価されました。
また、「新たな地点または多点の観測」の例としては、日本付近の経度で、シベリアから日本、グァムを経てオーストラリアにいたる観測網そして南米やアフリカの、赤道帯における観測網を設置して新しい成果を上げています。南極観測に関しては、アイスランドとの地磁気共役点観測や様々なオーロラの観測に力を入れています。その他、電話線を使った地電流観測により、日本全国の地下構造の詳細な解析が行われたり、米国の研究機関と共同で日本(神奈川県二宮)からグァムまでの海底同軸ケーブルを用いて大地電位差を測定するといったスケールの大きな観測もあります。
地磁気観測所は、日本国内における精度の高い地磁気定常観測データを提供して、「新たな地点または多点の観測」の面での貢献をする他様々な調査研究活動を行ってきました。1992年には、世界の地磁気観測点のデータを静止気象衛星やインターネットを用いてリアルタイムで収集配信するINTERMAGNET計画へ参加しました。1995年の阪神・淡路大震災後には、1996年から2001年にかけて淡路島において地震予知手法の開発を目的とした地電流観測を行いました。また、測定器をコンパクトにし、バッテリー駆動できるようにして、草津白根山や雲仙岳などをはじめとする多くの火山で緻密な観測を行い、成果を上げています。
これらの新しい研究観測の一方で、長期間一定の精度で蓄積されてきた地磁気観測所のデータは、大変貴重なものとして今後、さらに有効利用されてゆくと同時に新しい視点に立った解析が行われてゆくものと思われます。データ利用については、1957~58年の国際地球観測年の際に地磁気世界資料解析センター(日本では、京都大学にある)がデータの収集・分配を行って、世界の研究者の調査研究に貢献しています。
気象等の地球物理学に関連した自然現象は、その原因や現象面から見て、地球的な規模が多く、昔から国際的な協力事業として行われて来ました。特に地球電磁気的現象などの観測はその性質上、全球的な視野での国際的な協力を必要とします。
日本の公的機関で地磁気の観測が最初に行われたのは、1883年(明治16年)3月15日で、これは第1回極年観測開始がその契機となりました。
この「第1回極年観測」とは、オーストリアの有名な北極探険家でもあるカール・ワイプレヒト海軍大尉の提案により、1882年8月1日から1年間行われた地球観測事業のことで、極地域における気象や地磁気・オーロラなどの共同観測を最初に行った国際的な協力事業です。この第1回極年に際してフランス政府から要請を受けて、東京の赤坂今井町の工部省電信局用地内に、内務省地理局が電信局と協力して臨時の地磁気観測所を設け地磁気観測が行われました。組織的な気象観測が、本格的に開始されたのが1875年(明治8年)頃ですから、地磁気観測はそれから遅れること約8年後ということになります。
気象庁の前身である中央気象台で本格的に地磁気観測が開始されたのは1897年のことです。その後、東京で電車が走ることになり、1912年(大正元年)12月に現在の柿岡(茨城県石岡市)に地磁気観測所は移転され、その翌年から現在まで観測が継続されています。
現在、諸外国で100を越える地磁気観測所が定常観測を行っていますが、地磁気の観測網が地球規模で展開されその観測が行われ出したのは、第1回極年観測の時代よりも先の約40数年も前にさかのぼります。
しかし、当時開設された観測所の多くは各国の内情等により中止されたり、また新たに開設された観測所も多々あります。この時期に、世界に地磁気観測所が多く作られたのは、かの有名なドイツの数学者で地球電磁気学の父とも称されているガウス(C.F.Gauss,1777~1855)の貢献がひときわ大きかったようです。特にヨーロッパにおいて、その観測所分布も密であり、また由緒ある観側所も多く設立されました。その中でも英国のグリニッジの王立観測所は、1818年に開設され、その後ハートランドに移転され継続されますが、歴史のある観測所としては最古参にはいります。この他にも、ドイツのミュンヘン(1841年~)、オーストリアのプラハ(1830年~近年中止)等々の歴史のある地磁気観測所が設立されてきました。
「地磁気」の歴史は古く、中国では紀元前239年ごろの「呂氏春秋」という書物で、初めて「慈石(磁石の慈が異なる)」のことについて語られ、1600年に英国のギルバート(W.Gilbert,1544~1603)が球形磁石(テレラ)により地球自体が大きな磁石であることを証明しました。
そして、21世紀を迎えた現在、数十万年~数百万年という長い周期の地磁気永年変化を持つ「地磁気原因論」を調べるための長い道のりの第一歩として、ようやく約200年足らずの地磁気観測データが得られたところです。
「磁石は北を指す」。これで分るように、小さな磁石が磁気に敏感な性質を利用して、地磁気の各成分の変化を測定することができます。それが吊り磁石式変化計で、1980年代まで地磁気観測を支えてきました。原理は北を指す方位磁針と同じです。小さな磁石を極めて細い糸(昔は蜘蛛の糸を使った!)で吊り下げて、その動きを鏡で拡大して、写真印画紙に記録し、微小な地磁気変化の様子を測定します。この測定器は、構造が簡単で直感的に理解しやすく、これに代るものが無かったこともあって、100年以上もの長い間使われていました。製作するメーカーが無かったので、地磁気観測所が自らの手で材料の選別・加工・組立てなどを行っていました。しかし、取り扱いが難しい、広い暗室が必要、現像処理しないと記録を見ることができないなどの理由から、現在では利用されなくなっています。近年は全く別の原理を応用した電子機器が用いられています。その代表として、フラックスゲート磁力計があります。この測定器の原理は簡単に説明できないので、ここではふれません。
なお、現代の科学技術でも地磁気の強さと向きの変化を精密にかつ同時に測ることは難しいので、別々の測定器で測っています。
地磁気の強さを全磁力と呼んでおり、その代表的測定器としてプロトン磁力計があります。水晶発振器の周波数を基準としているので、簡単に正確に測定できます。測定器の原理は非常に簡単で、量子カ学でいうラーモア歳差運動を利用します。コイルに電流を流し強い磁場を作り、急激に消失させると、液体中のプロトン(陽子)が地球磁場の方向に戻ろうとして、丁度こまのようにぐるぐると回転します。その回転周波数は地磁気の強さに正確に比例するので、その周波数を測ると全磁力が分ります。といってもコイルに発生する交流電圧は非常に小さく、また、すぐに減衰するので、これを増幅して正確にカウンタ一部で測る必要があります。
強さを測ることはできませんが、向き・方向を測る測定器として、磁気儀があります。原理はフレミングの右手の法則にある交流発電機です。地磁気の中でコイルを回転させると、交流電圧が発生します。コイルの回転軸を変えてゆき、地磁気の方向と一致させると出力電圧が0になるので、その軸に付属する目盛り盤から地磁気の方向が分ります。このように原理そのものは簡単ですが、正確にかつ精密に測ることは簡単なことではありません。発電機(コイル)と目盛り盤、収める建物までも、製作に必要な材料は全て高度な非磁性でなければならず、一般的な常識では困難なことになってしまいます。また精密に測るためには、目盛り盤・回転軸のボールベアリングなどの工作精度、そしてコイルの出力を増幅するアンプの性能までもが影響します。
先に述べたプロトン磁力計、フラックスゲート磁力計は電子機器であるため、測定の自動化は容易です。しかし磁気儀による測定だけは現在でも人手に頼っています。回転する軸など機械的な部分が多いにもかかわらず、その操作が観測に影響を与えない方法で自動化できないためです。
地磁気の方向を示す方位磁針に磁石を近づけると、針の指す方向が変わる。そんな実験を理科の時間にやったことはありませんか? 磁石の代わりに鉄の棒を近づけても、非常に小さな動きですが、同様のことが起きます。これは、鉄の棒が地磁気や方位磁針(磁石になっています)の磁気の影響を受けて、弱い磁石になるからです。磁針の近くに電流を流しても同様のことが起きます。これは、電流を流すことによって磁気ができるためです。
私たちが観測する地磁気は、全地球的に均一な地磁気や火山・地震等の活動に起因する地磁気またはその変化で、鉄棒や電流によって作られる磁気ではありません。鉄棒や電流があると、地磁気が歪められ、正しい観測はできません。
質問に対する答は、「影響を与えます」と言うことになります。自動車は、そのかなりの部分が鉄でできています。 これらの鉄が、前記の理由により、地磁気観測に対して影響を与えるわけです。自動車は、動き回ることが本来の目的であり、地磁気観測をしている場所に近づいたり離れたりします。それによって地磁気観測への影響量は大きくなったり、小さくなったりします。
建物には、その構造によって使用量の違いがありますが、やはり鉄が使われており、この鉄が、地磁気観測に影響を与えます。建物による影響は、自動車の場合と異なり、地磁気観測への影響量は建物ができた後ずっと継続します。
自動車や建物に使われる鉄の重量が大きいほど、距離が近いほど、地磁気観測への影響量は大きくなります。鉄材の形(球状、棒状、板状等)や質によっても影響量は変わります。自動車による地磁気観測への影響量は、車種や距離により大きな違いがありますが、普通の乗用車(1000~1500cc程度)が100m程度の距離に近づくと、1 nT程度の影響が現れます。同じ自動車が50mまで近づくと影響量は8 nT になり、私たちが観測している分解度(0.1nT程度)を大きく越え、何を観測しているか分からなくなってしまいます。
観測所の近くに建物ができる場合も同様です。建物の構造によって使用する鉄材の重量が変わりますが、鉄骨構造の建物は鉄材の使用量も多く地磁気観測への影響量も大きくなります。反対に木造の建物は使用鉄材量も少なく、同じ広さの建物であれば影響量も小さくなります。地磁気観測所では、広い敷地を確保して、自動車や建物等の影響を小さくするようにしています。観測室等の建物は、鉄を使用しない構造にしています。
電車を走らせる電流は、パンタグラフ、モーターを経由してレールに流れます。レールに流れた電流の一部は地面に漏洩し、かなり遠いところまで広がります。周辺に広がった電流が磁気を作り、地磁気観測に影響を与えます。電流には交流と直流があり、漏洩電流の広がりは直流の方が大きくなります。直流方式で運行される電車では、地磁気観測への影響が35km程度にまで及びます。地磁気観測所のある茨城県にはJR常磐線が走っていますが、地磁気観測への影響を避けるために、ある区間(取手と藤代の間)で電化方式を直流から交流に切り替えています。以前は、切り替えのためにこの区間で車内照明が消えていたので、利用者にもよく知られていました。新たな鉄道路線として、つくばエクスプレスが2005年に開業しました。この電車も、東京寄りの方は直流で走りますが、ある区間(守谷とみらい平の間)から北(観測所に近い方)は、地磁気観測への影響の小さい交流で運行しています。
大気中には電気(電荷や電場)が存在しています。この電気を空中電気あるいは大気電気(電場)といいます。大気中に電気が存在していることの証として雷があり、古くはアメリカの科学者フランクリンの雷と凧の話が有名です。彼は避雷針を発明しました。また、セントエルモの火として昔から船のマストや山頂から放電が起こることも知られています。
では、なぜ大気中に電気があるのでしょうか? それはどこかに発電機があって電気を供給しているからです。発電機の役目をしているのが雷だといわれています。地球上ではどこかでいつも雷が発生していて、常に充電しているのです。雷の発生頻度は、アフリカや南アメリカ大陸が他に比べて多いといわれています。
雷雲の中では上部のプラス電荷と下部のマイナス電荷に電気分離され、マイナス電荷は主として地面に落ち、プラス電荷はレッド・スプライトやブルー・ジェットと呼ばれる高々度放電現象によって上空の電離層に運ばれると考えられています。雷雲による発電の結果、電離層は地球に対して約+300kVの電位になっているため、大気中には電位傾度が存在し、晴天域では電離層から地球に向かう電流(空地電流)が流れています。
全地球的にみれば、図19-1のような電気回路が形成されているといってよいでしょう。
普通の大気状態では、地表付近で電位傾度は100V/m前後です。また、大気の安定している状態で、空地電流は1~4×10-12A/m 程度と言われています。電位傾度などの観測を通して大気の汚染状態を知ることができます。煙や塵等の凝結核の量が増減すると、大気の電気の流れやすさ(電気伝導度)が変わります。電気伝導度が変われば電位頻度も変わります。地磁気観測所では柿岡で1929年から2021年まで、女満別観測施設では1949年から2010年まで、水滴集電器や回転集電器を用いて電位傾度の観測が続けられていました。工業の発展やモータリゼーションの発達によって発生した大気汚染物質(凝結核)の影響や大気圏内での核実験で発散された降下性放射性物質による影響が観測されています。このように人間生活環境の変化を監視することができます。
大地には常に微弱な電流が流れており、これを地電流といいます。この電流を直接測定することは困難なので、地理的な東西南北方向に数十~数百mの間隔で電極を埋設し、東西、南北方向の二つの電極間の電位差を測定します。これを地電流観測または地電位差観測といいます。地電流が西から東へ、または南から北へ流れるときプラスの電位と定義されています。測定された二電極間の電位差を電極間隔て割ると電場が得られ、単位としてmV/kmが用いられています。電場の大きさは、おおよそ数十~数百mV/kmです。地磁気観測所では「地球電気の常時観測」の一部として、地電流観測装置を用いて観測を行っていました。
地電流の変化は地磁気の変化と深い関わり合いを持つ自然現象です。しかし、地表で観測される地電流の変化は観測する地域の局所的な地質や地下構造に大きく影響されます。地磁気観測所や大学などの調査・研究機関ではこのような局所性を利用して、地下資源・地下構造の探査、火山活動の評価などを目的とした観測も行われています。これらの観測では地電流という名称はあまり一般的ではなく地電位差、電場、自然電位などの名称が用いられますが、基本的にはニ電極間の地電位差を測定することをベースにしています。観測の目的により、測定対象周波数(数十kHz~DC)、電極間隔(数十m~数十km、時には数千km)、電極配置などが異なります。また、これらの観測では自然の地電流変化ばかりでなく、人工的な電流・電磁場変動を用いる方法(電気探査法、電磁探査法)も行われています。