福島原発事故裁判「手術しないと23歳までしか生きられない」と言われ…原告の20代女性が悲痛な訴え
今年1月、2011年の福島第1原発事故の影響で甲状腺がんが発症したとして、県内に住んでいた男女6人(当時6~16歳)が東京電力に計6億1600万円の損害賠償を求めた。この「311子ども甲状腺がん裁判」の第1回口頭弁論は5月26日、東京地方裁判所で行われている。
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原発事故をめぐる裁判は全国各地で起こっている。7月13日には東京地裁が、東京電力の旧経営陣4人に事故後に支払ってきた費用など13兆円を会社の損害と認め、元会長ら個人が会社に賠償するよう命じた。
一方、6月17日に、原発事故で全国各地に避難した人らが国と東京電力に損害賠償を求めた4件の集団訴訟では、東京電力への賠償責任は確定しているものの、国の責任は認められなかった。そして今年裁判が始まったのが「311子ども甲状腺がん裁判」である。裁判では弁護士らが陳述し、原告の20代女性が法廷に立った。
女性は、高校生の時にがんが見つかり、手術後に近県の大学に進学したものの、再発と転移によって中退。現在も治療中だという。法廷では、〈医師は甲状腺がんとは言わず、遠回しに「手術が必要」と説明しました。その時、「手術しないと23歳までしか生きられない」と言われたことがショックで、今でも忘れられません〉などと話している。
1986年4月に原発事故が起こったチェルノブイリ周辺では、事故から20年後に4000人以上の甲状腺がんが発症したとされる。