夏といえば、お祭り、そして、盆踊り。

ところが、今や盆踊りを知っている若者は少数派に。
日本の文化が、存続を危ぶまれる事態となっている。

東京・杉並区のお祭り会場。
やぐらを囲んで踊っているのは、盆踊り。

新型コロナウイルスの影響で、お祭りは3年ぶりの開催に。
なので、盆踊りを初めて見る子どもたちも。

ただ、こんなふうに盆踊りに参加したことがある若い世代は、今や少数派となっている。

渋谷で、盆踊りについて聞いてみると...。

20代「お祭りがないから踊らないです」、「学校行事でも盆踊りがなくなったから、それでやらなくなった」

15歳から29歳を対象に行ったインターネットのアンケートでは、盆踊りをしたことがない人が、およそ6割もいることがわかった。

理由は、盆踊りの相次ぐ廃止。

盆踊りに長年携わってきた稲葉朱美さんは、場所を確保する難しさを指摘する。

東京太鼓 鼓紡会・稲葉朱美さん「盆踊りができる場所がないっていうことは問題になっている」

廃止の理由は、近隣からのクレームの増加。

盆踊りの音楽や太鼓の音にクレームが入り、廃止になったところも多いという。

減り続ける盆踊りを復活させようという動きも出ている。

愛知・西尾市で開催された、盆踊りの実行委員会の深津雄司さん。

この場所では、37年前に盆踊りが廃止されたという。

「やるじゃん! 米津」の会・深津雄司会長「自分が子どものころの盆踊りの楽しい思い出が強く残っていて、盆踊りを復活させたいと」

盆踊りがなくなった理由は、人手不足。

元米津青年団・板倉団長「当時、青年団が(盆踊りを)主催していた。ところが、青年団そのものが人口が減って」

今回、深津さんは、同じ思いを持ったスタッフを45人集めたが、次に立ちはだかったのは、費用。

計算すると、音の設備に15万円、照明に23万円、ちょうちんなどに10万円と多額の費用がかかる。

そこで活用したのは、クラウドファンディング。

資金を募ったところ、80万円以上が集まり、開催にこぎつけた。

37年ぶりに開催された盆踊り。
多くの若い人たちが、初めて盆踊りに参加した。

10代「楽しかったです! 踊ったらイエーイ!」
20代「みんなで輪になって踊るのが楽しい」 
20代「知らない人と仲良くなるから」

失われつつある日本の文化を、次世代につなぐ難しさがそこにはあった。

この街は、2023年以降も盆踊りを続けたいとしていて、誰でも盆踊りを運営できるように、ノウハウのマニュアルを作るという。