北アルプス・上高地(松本市安曇)の河童橋たもとにある公衆トイレが今夏から1回「100円程度」のチップ制になった。無料だった昨夏までは、行列ができるほどだった混雑が緩和された。
環境省などによると、上高地にある公衆トイレは8カ所。全体の維持管理や下水処理などの費用を賄うため、上高地バスターミナル近くのトイレには1994年春の設置時よりチップ制を導入。係員が常駐してチップを集めている。
そこから約300メートル先の河童橋たもとのトイレは無料だったため、団体客をガイドが誘導することもあり、特に混雑が目立った。夏の最盛期には貯水タンクの水が終わり、女性用トイレがすべて使えなくなったり、半分を使用不可に制限したりした。
利用者を分散させようと、今夏、河童橋のトイレが2カ所目の「チップ制トイレ」となった。かわいらしいかっぱが描かれたチップ箱を入り口前に置き、善意を求めている。
公衆トイレを管理している自然公園財団上高地支部の若林浩之さん(50)によると、今夏は以前のような混雑はみられなくなった。同トイレの利用者は1日1500~2千人程度。係員は常駐していないが、おおむね理解を得られている感触があるという。
名古屋市から訪れた大脇たか子さん(50)は「上高地の環境維持に協力できるなら、チップ制に抵抗はありません」と話していた。