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コラム
そうぞくドットコムは大丈夫?良い評判ばかりの理由を司法書士が解説
【2022年7月時点】
格安の相続登記サポートサービスとして
今一番”評判”らしい『そうぞくドットコム』
最近は故人の預金解約代行のサービス(そうぞくドットコム預貯金)も新たに始まり、全国的に多くの方がご相談されているみたいですね。
(一度資料請求したので、私もDMもらってます笑)
(なお、弊所の預金解約は1銀行44,000円(税込)です。)
そんな大変お得で便利と「評判」の「そうぞくドットコム」ですが、
司法書士の視点からみると、色々と、これ本当に大丈夫?と思える点があるので、解説したいと思います。
良い評判ばかりなのは、利用者の多くがその問題点に気付いていない(気付けない)だけかも!
当記事は、格安サービスを利用する際に、依頼者がリスクを正確に把握した上で、選択できるよう、その一助となることを願って書きました。
(当記事記載のサービスに対して、誹謗中傷する意図は一切ございませんので、事実と異なるなど、記載内容に問題がございましたら、ご連絡ください。)
弊所は、一定条件で他県のお客様でもそうぞくドットコムと同額でご依頼いただけます。
司法書士が解説、そうぞくドットコムの5つの疑念
1.完全定額じゃない場合もあるかも?
そうぞくドットコムの最大のメリットは、相続人が何人でも、不動産が何件でも、完全定額であることでしょう。
これは司法書士は誰一人行っていないサービスなので、分かりやすくお得に思えて、利用する決め手となるみたいですね。
なぜ、司法書士は完全定額サービスができないのか。
完全定額の相続登記サービスはとても分かりやすく魅力的なので、司法書士としても、できるならご用意したいサービスです。でも、実際のところは、完全定額の相続登記サービスを用意している司法書士事務所は全国で一つもありません。
戸籍だけで3万円を超える可能性もあるから
戸籍は1通650円で、100通とれば役所に支払う定額小為替だけで65000円分になります。50通でも32500円。この他、郵送料や、戸籍以外の住民票、戸籍附票、不在籍証明、不在住証明などの、必要書類の取得費用、郵送用のレターパックや通常郵便などの送料も必要になるので
だいたい戸籍実費が2万円を超えると、手間の方がかかる、赤字に近いお仕事になってしまいます。
本当にそうぞくドットコムは完全定額なの?
完全定額76,780円(税込)だと赤字になる場合もあり得ることを司法書士は経験上よく知っています。
だからこそ、そうぞくドットコムのホームページや送付資料の注釈にあるような、「不動産があまりに多い場合など」といった場合だけでなく
- 相続人が多すぎる場合
- 必要な戸籍が多すぎる場合
- 必要な戸籍が古すぎる場合など
何らかの理由で、利用を断られる場合も、意外とあるのでは?と危惧しています。
利用規約上は「本サービスのご利用が適切でないと当社が判断した場合」と書いてあるだけなので
具体的にどういった条件で定額対応できないのかは、利用規約からは読み取れませんでした。
利用規約8条3項4号
その他、第1項で定める本サービスの内容に照らして、本サービスのご利用が適切でないと当社が判断した場合
また、相続登記手続きに必要な書類というのは、実際に戸籍を集めて、色々と調査を進めていかないと明確にならない場合も珍しくありません。調査した結果、サービス利用ができないと発覚した際にどういった対応になるのか?、払った料金はどうなるのか?といったことが、ホームページや請求資料からは全く分からないので、そういった点は確認した方が良いように思います。
弊所は、完全定額ではありませんが、戸籍費用が2万円以内など、一定の条件を付けたほぼ定額制です。
(今のところ全てのお客様が定額対応できるケースでした。)
2.他相続人への連絡はすべて自力
そうぞくドットコムと郵送や電話でやり取りできるのは、依頼者一人に限ります。
つまり、依頼者以外の他の相続人(依頼者の兄弟や子どもなど)への連絡は電話、郵送問わず、一切行ってくれません。
利用規約8条2項1号
当社が相続人間の交渉・折衝に関与すること、その他利用者以外の相続人へ当社から連絡すること。
一般的な司法書士にご依頼いただくと、他の相続人への電話や郵送での連絡を行ってもらえるのが普通です。(どの程度の内容だと追加料金が生じるかは事務所ごとに異なりますが、一般的に電話一本かけるのに費用を請求する司法書士はあまりいないように思います。)
必要に応じて、他の相続人への手続きの説明や、疎遠な場合の封書でのご挨拶など、相続登記手続きが順当に進むよう、依頼者の希望を合わせて、これまでの経験も生かし、手続きを進めていきます。
そうぞくドットコムに依頼する場合は、他の相続人への連絡は全て自分でやる、他の相続人の印鑑が必要な書類は自分でレターパックなどを買って郵送する。もし印鑑が不鮮明などで法務局から再提出を求められたら、法務局にも自分で持参するか、レターパックプラスなどで郵送する。などなど、司法書士に依頼しておけば必要なかった手間がかかる可能性があります。
ネットの格安サービスで手続きするから、この遺産分割協議書に実印を押して、印鑑証明書を取って、こちらに送り返してください。
このような説明を受けて、ご家族は安心して手続きを進められるでしょうか。
3.節税アドバイス一切不可
そうぞくドットコムは、税金関係の相談は一切応じてもらえません。利用規約にも書いてあります。
8条2項4号
相続に伴う税務に関する相談、遺産分割等における相続紛争に関する相談、その他本サービスの内容や利用方法に関するものに留まらない相談
この点は、たとえ司法書士に依頼したとしても、司法書士は税務相談には応じられないので、違いはないとも言えます。(司法書士、税理士が両方いる大手法人の総合サービスを利用する場合を除く)
ただ、事務員がマニュアル通りの対応をするため一切税務相談ができないと思われる
そうぞくドットコムと比較して
直接司法書士に相談をした場合、そこまで厳密に何も教えてもらえないかといえば、可能な範囲でご協力する司法書士が多いように感じます。(もちろん、税理士法2条に反しない範囲に限ります)
例えば、一般論として、相続税関係の制度を紹介したり、その遺産分割内容だと、相続税が余計にかかるかもしれない、○○控除が使えないかもしれないといった話。
弊所においては、この内容なら税理士に相談した方が良いといったアドバイスや、該当しそうな控除制度の情報ぐらいは、あくまで税の専門家ではないという前置きをした上で、参考までにお伝えしています。
相続税は、手続きを間違うと○百万円と損するのも珍しくない手続きですので
そういったリスクを減らし、安心感を得られると考えると、
あえて数万円の違いで、格安サービスに依頼するメリットは大きいのか?と疑問に思います。
4.相続登記に関する相談一切不可
そうぞくドットコムは、相続登記に関する質問、相談には一切答えられません。
サービスの内容や、利用方法に留まらない相談はできないと、利用規約もしっかりと書いてあります。
利用規約8条2項4号
相続に伴う税務に関する相談、遺産分割等における相続紛争に関する相談、その他本サービスの内容や利用方法に関するものに留まらない相談
なぜ、相談登記に関する質問に答えられないのかといえば
司法書士又は弁護士以外が登記関係の相談に応じることは、たとえ無料であっても司法書士法違反になるからです。
(詳細は当記事下部に記載)
相続登記の相談が一切できなくても問題ないと思う方もいらっしゃるでしょうが
司法書士が確認することで、依頼者の予想外な問題点を発見することは
実はそれほど珍しい話ではないので、できたら一度相談してほしいと思います。
司法書士に限らず、専門家に依頼する最大のメリットは、気付いてない問題点も発見できる可能性があることです。
相談登記に何一つ疑問点がなく、やるべきこと、必要な手続きは完璧に分かっているが、自分で戸籍請求をするのが難しく、日中役所に行くのは無理だし、どの役所でも郵送で戸籍請求できるのは知っているけど、郵送請求する時間はないので、7万円ちょっと払って戸籍を集めてほしい。といったレアなケースですと、そうぞくドットコムを利用するのもありかもしれませんね。
5.問題が起きても(手遅れ、責任は自分)
そうぞくドットコムは、相続登記の申請サポートサービスで、相続登記の手続きの代行サービスではありません。
利用規約にも、登記申請書類の作成等を支援するサービスと書いてあります。
利用規約8条1項
当社が提供する本サービスは、利用者による登記申請書類の作成等を支援するサービスです(必ず登記手続きが完了することを保証するものではありません。)
そうぞくドットコムが行うのは、戸籍等の公的書類の代行取得と、自社の専用システムを利用した、登記申請書や遺産分割協議書などの作成支援サービスです。
司法書士のように登記手続きの一切を委任に基づいて代理するサービスとは、そうぞくドットコムのサービス内容は全く異なります。
この点問題なのが
・法務局に提出する登記申請書はあくまで申請者に全責任がある。
ということです。
万が一、サービスを利用して作成した登記申請書の内容が誤っていたとしても
それにより登記結果や、その後の税金や不動産権利関係に不利益が生じたとしても
申請するのはあなたで
そうぞくドットコム側に一切責任を追求することはできません。
(厳密にいえば、利用料金76,780円を上限とした保証はあります。(裁判で故意又は重過失を証明するのは困難でしょうし、弁護士費用の方が高くつくので、泣き寝入りすることになるでしょうが。)
利用規約14条
当社は、本サービスが利用者の特定の目的に適合することを保証するものではなく、また、本サービスに関して利用者に生じた損害について、当社に故意又は重過失が認められる場合に限り、利用者が当社に対して支払った利用料金を上限として損害賠償責任を負うものとします。当社に故意又は重過失が認められない場合には、当社は一切の損害賠償責任を負いません。
ネットや本の申請書の見本を使って、それを使って申請したとしても、掲載サイトや出版社を訴えられないのと一緒です。
さらに、内容が誤っていること、問題があることが判明するのは、手遅れになってからの場合が多いです。
法務局は、たとえ、申請者が本当にしたい手続きと実際の手続き(申請書類の記載内容)が異なっていても、一切教えてくれません。法務局は、書き方が正しい、必要書類が揃っていることは、確認しますが、申請する人の希望のとおりの内容になっているのか、それぞれの事情は何も知りません。
・提出された申請書の内容が、ルールに従って書いてあるか。
・必要な書類が揃っているか
こういった、登記手続きをする上での最低限を確認するのが法務局の仕事なので、たとえ登記が終わったとしても、依頼者にとって、求めた内容になっているかは、わかりません。
依頼者の事情を完璧に把握した司法書士が書類を作り、揃え、法務局に提出し、手続き完了後の登記内容を確認して問題ないと太鼓判を押した上で、依頼者に納品する。
それと比較して、格安サービスを使った手続きはどうでしょうか。安心できるでしょうか。
安心感はありますか?
そうぞくドットコムは非司行為(法律違反)?
非司行為とは?
弁護士しか許されない行為をすることを非弁行為というように、司法書士しか許されない行為をするが非司行為といいます。
登記手続きに関する相談を受けることは、たとえ無料でも、司法書士法73条違反の非司行為となります。
そうぞくドットコム側は、あくまで、自社サービスの利用方法の説明しかしていない、登記手続きの質問には、一切応じていないと弁明すると思われますが、相続登記の申請サポートサービスであるのに、相続登記の相談、疑問には一切答えないというのは、現実的に可能なのか? 相続相談の現場を知る司法書士からすると非常に疑問です。
司法書士法抜粋
第七十三条 司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
(業務)
第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。
三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。
四 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。第八号において同じ。)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
五 前各号の事務について相談に応ずること。
そうぞくドットコム不動産 利用規約(2022年3月1日改定)の重要事項抜粋
そうぞくドットコム(正式名称:そうぞくドットコム不動産)
の利用規約について、特に重要と思われる規約を抜粋します。
(太字、黄色マーカーでの装飾は弊所にて)
(2019年10月28日制定、2022年3月1日改定版より抜粋)
8条(本サービスの内容)
1 当社が提供する本サービスは、利用者による登記申請書類の作成等を支援するサービスです(必ず登記手続きが完了することを保証するものではありません。)
具体的な内容は以下のとおりであり、このうちの(2)を除く形での利用はできません。
(1)戸籍謄抄本、改製原戸籍謄抄本、除籍謄抄本、住民票の写し、除票、戸籍の附票、不在籍証明書、不在住証明書、名寄帳、評価証明書、不動産登記情報、又はそれらに類する書類ないし情報の取得代行
(2)登記申請書類作成支援オンラインサービスの提供
※本サービスで作成いただける登記申請書類は、不動産の所有者について、登記原因を「相続」、「遺贈」又は「贈与」とする登記の申請書類に限られます。
※動作環境……(略)
(3)登記申請書類の法務局への発送代行
2 本サービスの内容は前項の範囲に限られ、以下の内容は本サービスの範囲外です。
(1)当社が相続人間の交渉・折衝に関与すること、その他利用者以外の相続人へ当社から連絡すること。
(2)裁判所の手続きが必要になった場合のその手続きの代行
(3)日本国外の機関が発行する戸籍・住民票、又はそれらに類する証明書の取得
(4)相続に伴う税務に関する相談、遺産分割等における相続紛争に関する相談、その他本サービスの内容や利用方法に関するものに留まらない相談
3 次の各号のいずれかに該当する場合には、本サービスはご利用いただけません。本サービスの利用開始後に以下に該当する可能性が生じた場合には、本サービスの利用をお断りすることがあります。
(1)事実と異なる内容の登記の作出のために本サービスを利用する場合
(2)利用者が当社に申告したものと異なる事実関係が存在する場合
(3)不動産の権利関係について相続人等の間で争いがある場合
(4)その他、第1項で定める本サービスの内容に照らして、本サービスのご利用が適切でないと当社が判断した場合
14条(免責及び損害賠償の制限)
当社は、本サービスが利用者の特定の目的に適合することを保証するものではなく、また、本サービスに関して利用者に生じた損害について、当社に故意又は重過失が認められる場合に限り、利用者が当社に対して支払った利用料金を上限として損害賠償責任を負うものとします。当社に故意又は重過失が認められない場合には、当社は一切の損害賠償責任を負いません。
そうぞくドットコム不動産 利用規約全文(PDF)
弊所は福岡県外のお客様でもご依頼いただけます
弊所サービス、福岡”ほぼ”定額相続登記パック (LINE割)については、サービス名に福岡とありますが、「福岡県外のお客様」かつ「福岡県外の不動産」の場合も、ご依頼いただけます。
さらに、下記の(1)から(4)に、全て当てはまる、お客様は
そうぞくドットコムと同額(税込76,780円)でご依頼いただけます。
(もちろん、税金以外の実費コミです。)
(1)LINEで文章及び写真のやり取りをしていただける方
(2)不動産の名義変更のみの遺産分割協議書の内容で問題ない方
(3)他の相続人とのやり取りは全てお客様ご自身で行っていただける方
(4)内容によっては追加料金を要することをご承諾いただける方
※ そうぞくドットコムと同額対応ができない場合は、事前にご説明させていただきますのでご安心ください。
(その時点でのキャンセル料は無料です。)
※ 他相続人とのやり取りをご希望の方は+11,000円(税込)
※ 遺産分割協議書(将来売却、預金、株券等のコンサル付きオーダーメイド)をご希望の方は+11,000円(税込)
※ その他オプションサービスは、遠隔地の来店による銀行口座解約など、お引き受けできないものもございます。
※ YoutubeCM割引、つぐなび割引、LINE割引など、各種割引サービスはご利用いただけません。
本サービスのご相談のLINEは24時間、定休日なしで受付しております。
ぜひ、お気軽にご相談ください。
福岡”ほぼ”定額 相続登記パック (LINE割)のサービス案内ページ(内容、手順、QA等)はこちら
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