東京都庁って、新宿区にあるけど、都庁で働く人と、新宿区役所で働く人はどう違うの?
特別区公務員ってあるのかな?
特別区は人気のある公務員試験のひとつですが、最初はどんな試験なのか混乱しますよね。
本稿では、特別区採用試験の内容や対策について解説しますので、ぜひ参考にして混乱を解消してください。
目次
令和4年度(2022年度)「特別区」I 類【一般方式】試験日程
出願開始 | 3/18 |
出願締切 | 4/4 |
一次試験 | 5/1 |
一次発表 | 6/24 |
二次試験 | 7/5~14 |
二次発表 | 8/3 |
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特別区とは?
特別区職員採用試験とは
東京都にある23の特別区とは、市町村と同様の地方公共団体のひとつで、特別区で働く公務員は、地方公務員となります。
特別区の公務員になるためには、特別区人事委員会が実施する試験を受験し合格する必要があります。
この試験に合格しただけでは特別区の公務員になれるわけではありません。
合格後は候補者名簿に記載され、名簿をもとに区から提示があり、区面接等を経て内定となります。
採用までの流れ
願書提出(この時に就職を希望する区を第三希望まで書ける)
↓
特別区人事委員会が実施する1次試験(筆記試験)に合格
↓
特別区人事委員会が実施する2次試験(面接試験)に合格
↓
名簿に登載され、区からの提示※1に応じて、区の面接を受ける
↓
合格すれば内定※2
※1 国家一般職の官庁訪問のように、受験生が希望する区を訪問するのではなく、区からの提示を待ちます。
※2 この段階で採用内定が得られなかった場合には、「提示」に戻り、再度違う区から連絡を待つことになります。
提示は7回予定されています。途中で諦めない限り、ほぼ採用漏れはないようです。
特別区の仕事とは(東京都庁との違い)
東京特別区は、一般の市役所と同様に、生活保護、児童福祉、保育園の整備、証明書の発行、ごみ処理やリサイクル関連業務など区民の生活に直結する事務を担当します。
また、議会対応や地元活性化のための企業誘致、他の自治体との連携による施策なども行なっています。
これに対して、東京都庁は市区町村を超えたインフラ整備、都市計画、教育、治安維持、危機管理など広域的な事務、市区町村や国、企業との連携や調整業務を担当しています。
採用予定人数と倍率(2021年結果)
試験区分 | 採用予定数 | 申込者数 | 第1次試験 | 第2次試験受験者数 | 最終合格者数 | 合格倍率 | |
受験者数 | 合格者数 | ||||||
事務 | 1,297名程度 | 13,426 | 10,601 | 5,346 | 4,073 | 2,660 | 4.0 |
合格倍率は、4.0倍と地方公務員の中では倍率は低めです。
この意味では難易度は決して高くないといえます。
区からの提示は、必ずしも第一希望の区から来るとは限りませんし、1回目の面接で決まらない場合もあります。
それでも、諦めるたりしなければ、採用漏れはほぼないようです。
特別区の試験はどんな試験?
特別区の採用区分
特別区の採用区分は、Ⅰ類(大卒程度)、Ⅱ類(短大卒程度)、Ⅲ類(高卒程度)、経験者(社会人経験者)、就職氷河期世代に分類されます。
試験区分は、他の市役所同様、事務、技術、福祉、心理などに細かく分かれています。
本稿では、受験者の多いⅠ類行政事務について解説いたします。
特別区Ⅰ類事務の受験資格
22歳以上〜32歳未満の人
※学歴制限はありません。あくまで試験のレベルが「大卒程度」というだけで、大学を卒業していなくても受験ができます。
試験日
特別区の1次試験は例年、5月第1日曜に東京都と同時に実施されるので併願ができません。
ですが、他の地方上級や市役所、国家公務員とは日程が異なるうえに、試験科目が類似しているので併願しやすく、この点からも人気職種となっています。
試験科目
試験 | 内容 | 解答時間 | |
1次試験 | 教養試験 (択一式) |
48題から40題選択解答 ①知能分野(28題必須解答) ②知識分野(20題から12題選択解答) |
2時間 |
専門試験 (択一式) |
55題から40題選択解答 憲法、行政法、民法(総則/物権)、民法(債権/親族/相続)、ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学、経営学、政治学、行政学、社会学(全て5題ずつ出題) |
1時間30分 | |
論文 | 課題式(2題中1題選択解答) 字数は1,000字以上1,500字程度 |
1時間20分 | |
2次試験 | 面接試験(個人面接) | ― |
専門試験は、問題選択なので、各科目から自由に問題数を選んで解答できます。
特別区の具体的な対策は?
特別区の択一試験(教養+専門)の合格ラインは5割程度で、足切りラインも低く、これに対して、小論文と面接試験のウェイトが非常に高いのが特徴です。
特別区の問題は、公開されているので入手しやすく、徹底的に過去問を潰すのが各科目をマスターするための最短ルートです。
教養択一対策
一般知能の配点が非常に高いので、一般知能の対策に重点を置くべきです。
専門択一対策
1科目あたり5題の出題なので、40題選択解答するには、最低でも8科目は勉強して置かねばと考えるのが通常です。
確かに、万全を期すためには、他の職種と共通する8科目を勉強しておくべきでしょう。
憲法、行政法、民法(総則/物権)、民法(債権/親族/相続)、ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学、経営学
これら8科目を勉強しておけば、併願に困ることもありません。
もっとも、満点を取る必要はなく、合格には5〜6割を目指せば十分なことは、すでにご説明いたしました。
しかも、専門科目はさらっと目を通す程度なら、時間の無駄で、百害あって一利なしです。
本試験までに、どれくらいの勉強時間を確保できるかにも左右されますが、先ずは確実に6科目をマスターし、その後スケジュールと相談しつつ1科目ずつ増やしていきましょう。
論文
何と言っても合否におけるウェイトが高い面接に次いで、重要科目です。
論文の成績だけで、順位が数百番も変わるほどです。
論文試験の出題形式は、
【制限時間】:90分
【文字数】:1,000~1,500文字
【課題】:2題提示され、1題選択して論述
です。
出題は、例年、社会的に話題になったこと、問題を取り上げて「○○について、特別区の職員として取り組むべきことは?」という形で問われます。
したがって、論文対策としては以下の4点に取り組みましょう。
- 時事対策(問題点や原因を文章にまとめておく)
- 特別区の施策を調べる
- 実際に答案を自分で書く
- 添削を受けて何回でも書き直す
面接
特別区は、内定をもらうためには、特別区人事委員会の面接と区面接の2つをクリアしなければなりません。
面接対策は、早め早めに準備しておきましょう。
→特別区の人事院面接対策についての詳細は、特別区の面接対策をしよう!をご参照下さい。
特別区で働くメリット
なんと言っても、「フットワークが軽く、レスポンスが早い」のが特別区で働く醍醐味ではないでしょうか。
大都市東京の中心にありながらも、ひとつひとつは小さい自治体で住民との距離が近く、反応をダイレクトに受け止めることができます。
また、23区はそれぞれ、街並みや人柄にまで個性があります。
なので、個性に合わせて創意工夫に飛んだ街づくりに起動性を持って取り組むこともできます。
小さいけど、大きなことができそうな特別区に魅力を感じたなら、チャレンジされてみては如何でしょうか。
最後に
いかがでしたでしょうか?特別区の仕事、特別区試験の概要、特別区の魅力等がお判りいただけたのではないでしょうか?
アガルートアカデミーでは、過去問等を徹底的に分析した上で、特別区対策を万全にしたカリキュラムをご用意しております。
特別区の最短合格を目指される方はぜひご検討ください。