山上徹也容疑者の全ツイートを計量分析して見えた、その孤独な政治的世界

伊藤 昌亮 プロフィール

ただしそこで唯一特徴的な点を挙げるとすれば、関連度が高いテーマが多いことだ。[自民党][憲法・安保][中国][左派・リベラル][アメリカ][統一教会]と、一連の政治的な議論の中で、最も多くのテーマに関連して語られているのがこのテーマだ。

いいかえればこのテーマは、彼の政治的世界の中で最も広範に語られ、最も多くの話題に結び付けられていたものだった。だとすればそこを破壊することで、彼は自らの政治的世界そのものを破壊し、そこから脱出することを図ったのではないだろうか。

 

ここで最後に考えてみよう。彼が生きていた政治的世界は、もちろん統一教会という存在を軸に作り出されたものであり、特殊なものではある。しかしそこに現れてくるさまざまな問題意識を通じて見てみれば、今日の日本の政治的風景そのものでもある。だとすれば、同じような迷路の中に誰が迷い込んできてもおかしくはないだろう。

われわれは、彼の政治的世界をわれわれ自身のものとして引き受け、なぜそこに出口が見つからなかったのか、どうすれば見つけることができたのかを、残されたツイートとともに考えていく必要があるだろう。

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