旧統一教会に家族を破壊されたという経緯から、その母体である韓国に対して、「母を唆した韓国人によってかけられたオレのこの呪い」というほどの強い憎悪を彼は抱いている。そのため[韓国・北朝鮮]への憎悪度は、[統一教会][家族]に次いで高くなっている。
しかも統一教会は、かつて日本が韓国を植民地支配していたことへの贖罪として多額の献金をするよう、日本の信者に求めてきた。そのため彼には、日本は戦争責任を認めて韓国に謝罪すべきだというリベラルな考え方は、統一教会の集金戦略に沿ったものに見えてしまう。
そこで彼は、謝罪を求める韓国に強く反発し、従軍慰安婦問題や徴用工問題などに触れながら、謝罪を拒否しようとする。しかもその際、「韓国人を許すことはないし、それに味方する日本人を許すこともない」として、謝罪すべきだと訴えるリベラル派にも反発を向ける。
また、外交・防衛問題への関心から、彼は北朝鮮を危険視し、敵視しているが、そこにも韓国への憎悪が写し込まれている。さらにそうした敵意は、朝鮮学校問題などにも関連し、在日コリアンにも向けられる。彼は言う。「従兄弟は在日韓国人と結婚するという。何故オレをこれ以上苦しめようとするのか?」
こうした彼の考え方は、しかしリベラル派の立場からすれば、嫌韓、歴史修正主義、排外主義に当たるものだ。そのため彼はネット右派、いわゆるネトウヨとして扱われてしまうことになる。とりわけ反差別運動からすれば、その一部の言動は「ヘイト」であり、彼は差別主義者、レイシストとして扱われてしまう。
しかしそうした扱いに彼は強く反発する。自分が嫌韓的な立場を取らざるをえないのは、統一教会の被害者だからだ。歴史修正主義的な考え方を持たざるをえないのは、日本は韓国に贖罪すべきだという教会の教えに従いたくないからだ。そうした事情があるにもかかわらず、なぜ一方的に「ヘイト」などと言われなければならないのか。つまり本来は被害者である自分が、なぜ加害者扱いされなければならないのか、というわけだ。
そこで彼は反差別運動に矛先を向け、そうした事情を「単なる差別問題にすり替える事がどれほど罪深いことか」と、その姿勢を強く非難する。そのため[差別・ヘイト]への憎悪度は、[韓国・北朝鮮]と並ぶ水準で高くなっている。さらに「差別」という語が頻出語の上位に来ているのも、彼のこうした問題意識によるものだ。
こうしたことから彼は、ネトウヨのレッテルを貼られることに反発しながらも、しかしそれゆえのリベラル派への反発から、結果的にかえって「ネトウヨ堕ち」し、嫌韓、歴史修正主義、排外主義へと傾斜していくことになる。だとすれば彼は、いわば「ネトウヨにならざるをえなかったネトウヨ」だと言えるのではないだろうか。
そうした事情を踏まえてのことか、自らを追いやっていったリベラル派への恨みをほのめかすようにして彼は言う。「ネトウヨとお前らが嘲る中にオレがいる事を後悔するといい」。