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短編小説NOVEL
SHORT

のぞむは明か時

相原は暢気な様子であった。富山行きの北陸新幹線の車内、駅で買った弁当を口に運びつつ、咀嚼とともに知り合いの経営者の言葉を薄く反芻する。まだ暖かくなりきらない気温を感じさせるひやりとした車窓からの景色は、普段の通勤時のそれとは違う緑の多さで、自分が今東京から離れていっていることを実感させた。そこで出会ったのは澤田という創業72年を誇る食品製造・流通会社の三代目社長だった。

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