消防関係者らが参加した現場指揮本部の会議=26日午後7時、足利市西宮町

 栃木県足利市の山林火災で発生から6日目となった26日、14消防局・本部の消防隊員が県内外から駆け付け、連携して消火活動にあたった。この日は円滑な情報共有などを目指し、別々だった指揮本部と対策本部を同じ場所に移し、指揮機能を統轄した。和泉聡(いずみさとし)市長は「特に応援部隊のコントロールに成果を発揮している」と評価した。最前線では初めて顔を合わせた消防隊員たちが一丸となり、人的、住宅の被害阻止に全力を尽くした。

 「白煙、たまに火柱を確認。空中消火できるか確認をお願いします」

 足利市大岩町で午前11時50分ごろ、鹿沼市の消防隊員が山肌から立ち上る煙を発見した。現場との連絡役を担う足利市の隊員が指揮本部に連絡し、地上と消火ヘリとの情報共有を図った。

 火災の拡大に伴い、新たに避難勧告が発令された足利市本城2丁目の防衛線を任された足利、小山、佐野の消防隊員たち。「東側に残火を確認し処理中。西側に延焼が拡大。ホースを追加したい」と小山の隊員が呼び掛けると、足利の隊員が西側で活動していた佐野の隊員に伝達し、一体となって消火活動をした。

 現場で各隊員の連携を見守った同所、馬場邦夫(ばばくにお)さん(72)は「消防は動きが速いね。頼もしい」と話した。

 現場からの情報が集まる指揮本部では、東京消防庁の統括指揮支援隊、宇都宮市消防局、足利市消防本部などの代表者が一堂に会し、リアルタイムで情報共有した。前日までは対策本部と指揮本部が別な場所にあったため、現場への指示に時間のロスが発生していたという。

 この日は消火ヘリと地上部隊との連携も深まった。ヘリからの散水時には指揮本部から現場に「ヘリが行きます。足場が悪くなるので注意してください」などの指示が飛んだ。

 この日の記者会見で足利市消防本部の大美賀裕(おおみかゆたか)消防長は「これだけ大きくなると簡単には鎮火には持って行けない。しかし、けが人を出さず住家に被害を絶対に与えないよう一丸で対応したい」と述べた。