初音島の悪虐皇帝   作:帰ってきた

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悪虐皇帝と企て

昼食を終え作戦会議を始める俺たち、今は杉並からの渡されたリストに目を通していた。

 

 

「さて、今渡したリストに目を通してもらいたい」

 

 

「ふむ。要注意人物リストか。」

 

 

杉並が全員に渡したのは杉並がピックアップした要注意人物を載せたリストであった。ざっと目を通してみたが主に生徒会のメンバーが大半を占めていた。

 

 

「んっ、なあ。杉並名前の横に書かれてるこのマルとか三角ってなんだ?」

 

 

「あっ、本当だ会長は○で副会長は◎」

 

 

(音姉ぇと高坂先輩二人とも◎か、これってもしかして)

 

 

「それは危険度を表している、◎が一番警戒しなければならない人物だ。それから○、△、バツという順番だ」

 

 

「あれ?杉並君、この磯鷲って人だけ名前の横になんのマークも付いてないよ?」

 

 

茜の言葉に何名が再びリストに目を落とす、磯鷲涼芽『いそわし すずめ』生徒会の書記の役職に就いている人物であるが・・・。

 

 

「ああ、そいつは気にしなくていい。気にするだけ無駄だ」

 

 

「いや、でも生徒会の書記をしてる人なんだろ?それなりに気を付けてないといけないんじゃないのか?」

 

 

杉並の言葉に理由が分からず杉並に質問する義之、だがこれは杉並の言う通り彼女は気を付けるだけ無駄だ。

 

 

「安心しろ義之、彼女は警戒するに値しない人物だ。俺も調査したが生徒会に所属しているのが不思議なくらいな人物だ。」

 

 

「それはそれでどんな人なのか逆に気になるんだが。」

 

 

「無駄話をしている暇はないぞ同志桜内よ、時間は有限なのだからな」

 

 

杉並の言葉に納得したのか義之も口を閉じる、全員の視線が杉並に集中すると杉並が話し始めた。

 

 

「当然だが花火を打ち上げるためのこの打ち上げ装置が見つかってしまえば我々の計画もご破算となる、なので先ずは役員の目を上から反らすことが大事だ。」

 

 

「確かにな、本命はこれだけだしな。ダミーも幾つか用意して置いた方がいいだろう」

 

 

「既に、ダミーは幾つか作ってある。」

 

 

「いつ頃仕掛ける?」

 

 

「まだ仕掛ける時ではないな、競技の合間合間に仕掛けるしかないな。」

 

 

「仕掛けるとしたら・・・此処や此処が最適だと思うんだがどうだ?」

 

 

杉並が持ってきた学園の地図の数ヶ所に指を指しながら言う。

 

 

「悪くないな、打ち上げるにも良い場所を押さえられている。仮に発見してもパッと見ては分からないくらい精巧に作っている」

 

 

「素人目には簡単に判断できないようにして生徒会の動きを鈍くさせる為の策か、抜かりないな。」

 

 

「当然だ、これくらいしなければやり甲斐がないだろう?」

 

 

「ふっ、確かにな」

 

 

「ははっ、そうだろう?」

 

 

そう言うと俺と杉並は互いに笑みを浮かべる、自分で言うのもなんだが今の俺は目の前にいる杉並同様悪い笑みを浮かべているのだろう。

 

 

「なんかルルーシュ君と杉並君だけで話が進んでるね」

 

 

「そうだねぇ〜、それにルル君楽しそうだね。」

 

 

「相変わらず策を考える時のルルーシュは生き生きしてるわね。」

 

 

「会議とか言ってたけど話し合っているのってルルーシュと杉並だけだよな。」

 

 

「いーじゃねぇか、難しい事は彼奴らに任しとけばよ。」

 

 

他の五人が何か言っているが気にしないでおこう。

 

 

「さて、後は随時連絡する。諸君の健闘を祈る!!」

 

 

杉並の言葉を皮切りに全員が「おっー!」と声を上げる。さて、午後の競技はグラウンドで行われる。

 

 

つまり、午前よりもハードな競技が目白押しな訳だ。午後の競技が終わるまで俺の体力が持つ不安であるがやるしかないな。

 

 

昼休憩が終わり俺たちもグラウンドに集まる、グラウンドでやる競技は懸垂や50メートル走、ハンドボール投げや走り幅跳び。そして最後には長距離走の計5種目だ。

 

 

「さて、先ずは何からするか」

 

 

人があまりいないものを探していると。

 

 

「50メートル走か、致し方ないか」

 

 

若干テンションが下がってしまう、走る競技なんかは俺にとって一番の難関だ、腕力を必要とする競技なんかも難関ではあるんだが。

 

 

「次の人レーンに並んでください。」

 

 

そうこうしているうちに俺の番が回ってきた、係りの人に言われレーンに立つと。

 

 

「よーい」

 

 

銃声が鳴り俺は走り出した、横に居た男子生徒がぐんぐん俺と差を作り遠ざかって行く。そして先を走る生徒はゴールする所を俺は見ながら走る。

 

 

そして遅れながらも俺もゴールする、タイムは平均より遅いが何とか走り切ることが出来た。しかし。

 

 

「はぁ、はぁ。ぐっ、ああぁぁ。」

 

 

「だ、大丈夫か?」

 

 

「あ、ああ。も、問題無い。こ、これ、くらい。」

 

 

「いや、息切れも激しいし汗も凄いですよ」

 

 

結局係りの生徒の肩を借りながら俺は日陰へと運ばれて行った。

 

 

「おいおい、大丈夫かよルルーシュ。」

 

 

俺が運ばれて行くのを見た渉と義之が様子を見にやって来た。この二人は俺の後で50メートル走をやったらしい。

 

 

「ああ、もう大丈夫だ。」

 

 

多少の倦怠感はあるがまだやれる、だが出来るなら1500メートル走は後回しにしたい。今の状態では以前の様に途中でリタイアしてしまうのが落ちだ。

 

 

残る競技は懸垂と走り幅跳びハンドボール投げそして俺にとっての鬼門である長距離走つまり1500メートル走だ。

 

 

懸垂の後にハンドボール投げは無理だ、なので自ずと残りの競技の順番は決定する。

 

 

「さて、そろそろ再開するか」

 

 

「おっ、もう良いのか?」

 

 

「心配無用だ、もう大分楽になった」

 

 

そう言って俺は立ち上がる。

 

 

「そうか、でも。無理はするなよ?」

 

 

義之の言葉に軽く頷くと俺たちは懸垂の場所、鉄棒の所に向かった。

 

 

「あっ」

 

 

鉄棒の前まで来ると義之が何かに気付いた様に声を出した、その視線の先には小恋がいた。

 

 

「あれ、月島じゃん。」

 

 

渉も気付いたのか斜め懸垂をしている小恋を見る、端から見ていても分かるというか感じるが。

 

 

「なんか月島ってさ頑張ってるって感じがあるよな?」

 

 

「ああ、杏や茜が気を許すのが分かる気がするな。」

 

 

隣にいる義之も小恋から視線を外していない、しかも無意識なんだろう手を強く握りしめどこか小恋を応援している様にも見える。

 

 

しかし、結果は届かずに終わってしまう。

 

 

「なんかさぁ、月島って可愛いよな」

 

 

「そうだな。」

 

 

俺は素直な感想を口にした。

 

 

その後義之と渉と別れた俺は走り幅跳びを済ませ、ハンドボール投げの場所に行こうとした時。

 

 

「そろそろだぞ同志ルルーシュ」

 

 

「杉並か、例の物が届いたのか」

 

 

後ろから気配なく杉並が声を掛けてきた、此奴が気配無く現れるのはもう慣れた。俺は冷静に対応する事が出来た。

 

 

因みに例の物とは打ち上げる為の六尺玉である。杉並の伝で用意した物らしいのだが此奴にはどんな伝が有るのか気になる所だ。

 

 

「六尺玉はルルーシュに受け取って貰いたい、その間に俺と板橋はダミーを設置しておく。」

 

 

「了解だ、杏達は?」

 

 

「雪村には桜内達で生徒会の陽動を任せた、生徒会の大多数の人間は競技や測定なんかで出払っている。」

 

 

「更に!本部に残っている僅かな役員を翻弄させることにより俺たちが動き易くなる。」

 

 

「計画も遂にクライマックスという事か、楽しくなってきたな。」

 

 

「ああ、では六尺玉は頼んだぞルルーシュ。」

 

 

そう言って杉並は去って行った、作戦も遂に佳境を迎えた。柄にも無くワクワクしている自分を感じながら俺は受取の為に指定の場所へと歩き出した。




次回がto you最終話です。

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