教団との関係を問題視しながら、統一教会総裁に賞賛メッセージ送った安倍氏を国葬とは

 しかも、これだけの具体的な氏名があがっている反訴状を、世耕氏は受け取っている。当然、その中味を知っていなければおかしい。「反社会的な組織」と自民党議員との距離を「点検」するのであれば、率先して利用できる。むしろ、調査することによって、自身の裁判にも役立つはずだ。

 すでに裁判でここまで示されている統一教会と政治家の関係。とはいえ、統一教会との距離も近く、その影響力からもっとも太いパイプで結ばれていたのは、他ならぬ安倍氏だったはずだ。

 安倍氏は、2005年には祝電を送っていた教団の関連団体「天宙平和連合」が昨年9月に開いたイベントにビデオメッセージを送っている。このNGO団体の総裁は、統一教会の創始者である文鮮明の妻で、現在では教団の頂点に君臨する韓鶴子だ。その名を呼んでこう明言しているのだ。

「韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」

 これを見た山上容疑者が殺意を抱いたということからも、影響力が知れる。

 岸田首相は統一教会と自民党議員の関係を「点検」して「適正な形に見直す」としながら、そんな安倍氏を「国葬」にするという。その辻褄が、私にはどうしても理解できずにいる。「国葬」の前に、安倍氏との関係をまず「点検」して「適正な形に見直す」必要がある。そこは惚けて済まされる話でもない。(文中一部敬称略)