統一教会の被害者救済に取り組んできた全国霊感商法対策弁護士連絡会が公表しているところによると、統計を取りはじめた1987年から昨年までの34年間の被害件数は3万4537件、被害総額は1237億3357万5406円にのぼる。ただ、これも窓口に寄せられた被害実態であって、明らかになっていないものや、本人が納得して献金しているものは含まれない。

 ここまでくると宗教法人の笠を被った「反社会的組織」と呼んでもおかしくはない。

原理研や統一教会は「反社会的な団体との印象」

 いや、実際に統一教会を反社会的な団体として提訴している自民党の幹部がいる。世耕弘成参院幹事長だ。安倍派に所属し、安倍氏の最側近のひとりとして、第1次安倍政権で首相補佐官、第2次政権で経済産業大臣を務めている。

 世耕氏は、統一教会の学生組織である「原理研究会」の出身であるような書き込みをツイッターにした相手を、2019年8月に訴えている。訴状には「原理研や統一教会に対して、反社会的な団体であるとの印象を抱く者が少なくない」と明記し、社会的評価を低下させるものであるとして、名誉毀損に基づく損害賠償などを求めている。

 訴えられたのは青山学院大学の中野昌宏教授。ところが、中野教授は事前に訂正や削除の要請もなく、いきなり提訴されたことを「スラップ」(権力者による恫喝訴訟)と主張して、2020年9月に世耕氏を反訴したのだ。いまも東京地裁で係争中だが、ここで中野教授側が反訴状の中で指摘しているのが、「反社会的な団体」と世耕氏が呼ぶ統一教会と自民党の関係だ。あえて「自民党と統一教会の密接な協力関係の歴史」とする項目を立て、証拠も添えて主張を展開している。