接頭語のルール
新たな接頭語が誕生するとはどういうことでしょうか。じつは、接頭語もまた、メートル条約の総会において採択されてきました。
次の表は、接頭語の一覧と、それらが採択された年を示しています。併載した十進数による表記と比べると、可読性の良さは一目瞭然でしょう。
なお、これら接頭語は、ラテン語、もしくはギリシャ語の数字に関わる表現をもとにして決められています。
また、1975年以降は、倍数の接頭語は末尾を「a」にして記号は大文字表記にする、約数の接頭語は末尾を「o」にして記号は小文字表記にする、という規則が導入されました。
新たに加わる4つの接頭語
単位はもともと、人間の体の部位(たとえば王様の足など)を基準にしていました。文字どりの「等身大」の世界から、人間はみずからの行動範囲や観察対象を拡張するにつれて、新たな世界に対応する単位と数の概念を拡大してきました。
接頭語の拡張は、まさに人間が扱う世界の拡がりを反映しているといえるでしょう。
そして今年、2022年に開催されるメートル条約の総会において、新たに4つの接頭語が加えられる見込みです。前回の追加から、じつに32年ぶりのことです。
その4つとは──、大きな数では10の30乗を示す「クエタ(quetta)」と10の27乗を示す「ロナ(ronna)」、小さな数では10のマイナス27乗を表す「ロント(ronto)」と10のマイナス30乗を示す「クエクト(quecto)」です。
これら4つの接頭語が加わることにより、プラスマイナス30乗、計60桁に及ぶスケールを視野に入れることになりました。技術の進歩に限りはありませんが、人間の取り扱うスケールは、今後も際限なく拡大していくのでしょうか。それとも、どこかに上限/下限があるのでしょうか。
たとえば、「いったい何桁あれば、宇宙に存在するあらゆるものの大きさを測ることができるか」について考えてみましょう。