ギターの弦についての質問です。ギターはギターはibenez Sシリーズのフロイドローズ・タイプです。スタンダードチューニングから半音下げチューニングにしようとペグを回したら、1弦が切れてしまいました。張ってからしばらく経っているとはいえ、緩めているにもかかわらず切れてしまう意味がわかりません。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。また、切れるのが少なくなるためには、どうすればいいでしょうか。 – (2011/4/30)10~19歳 男性
張りすぎで切れるならまだしも、緩めているのに切れてしまうのは不思議ですよね。その弦がどの地点で切れたのか、そこをチェックすると答えが見えてくるかもしれません。弦の切れ方にはいくつか種類があります。いろいろな弦の切れ方から、それを防ぐ対策を考えてみましょう。
弦が新しいか、そこまで古くないうちは「弦に寿命がある」状態です。普通に演奏しているだけで切れてしまうことはほとんどありません。演奏するうちに金属疲労が蓄積されると、「寿命が切れ」て切れやすくなります。
演奏するペースや環境にもよりますが、張ってから1週間以内は新しい状態、1週間を超えた弦は新しい状態ではないけれど、そこまで古くもない状態です。新しいか、そこまで古くない状態が弦にとっては「寿命がある状態」ですから、この期間内に弦が切れてしまうことはなかなかありません。3~4週間を超えた弦は金属疲労がたまって柔軟性や弾性を失っていますから、何かのきっかけで切れてしまうことが多くなります。
質問者さんの場合、ストリングポストに巻きつけられていた部分は、巻きつけられて曲がった形になっているはずです。古くなって柔軟性が失われてきたので、緩められてまっすぐになるという動きに耐えられず、切れてしまったのではないでしょうか。仮にストリングポストにエッジが立っていたとしたら、巻きつけられていた弦はそのエッジに当たり、わずかなキズがつけられていたことになります。
弦が切れたら、その弦はいつ張ったのかを思い出してみましょう。あまりに時間が経過した弦だったら、「弦の古さ」こそが第一の原因です。この場合、他の原因を探すことにはあまり意味がありません。いつ弦交換をしたか、メモを取っておくといいでしょう。
弦を張ってから | 弦の状態 | 弦の切れやすさ |
1週間以内 | 新しい状態 | ここで弦が切れたら、確実に何か原因がある。 原因を探して対策が必要。 |
3~4週間以内 | 新しくはないけど、そこまで古くもない | 弦が切れるには何かの原因があるはずだが、 少なくとも1週間以上切れなかったので、 そこまで深刻な状態ではない。 |
3~4週間以上 | 古い状態 | 弦が古いので、ちょっとしたことでも切れて しまいやすい。弦が切れる原因があったにせよ、 まずは弦を新品に交換してから。 |
弦の寿命と切れやすさの目安
弦に寿命が残っているにもかかわらず弦が切れてしまうのは、かならず原因があります。
この二つの原因によって、ギターの弦は切れやすくなったり切れにくくなったりするのです。原因が分かってしまえば、たやすく対策を講じることができますね。まずは、弦がどの地点で切れたのかをチェックしてみましょう。いつも同じ所で切れるようであれば、そこに何かの原因があります。
弦が切れやすい場所にはいくつかのパターンがあります。原因となっている箇所を見つけてメンテナンスを施すと、ちゃんと切れにくくなります。
弦が切れる場所 | 原因と対処法 |
ペグやストリングガイドとの接点 | ・ストリングポストの横穴にエッジが立っているかも。 金属用のヤスリなどで滑らかに整えるか、信頼できるメーカーのペグに交換。 ・ストリングポストに巻きついた弦が、途中で交差しているかも。 この場合、交差させない正しい張り方を試してみる。 ・ストリングガイドで摩擦が起きているかも。状態やセッティングをチェック。 |
ナットとの接点 | ナットの溝が狭くて摩擦が起き、金属疲労を蓄積する原因になっているかも。 ときどきナットから「キン!」という音がするようなら、ナットの溝を調整、 またナット部が良く滑るように添加剤や鉛筆の芯を利用する。 フロイドローズの場合は、ここに金属疲労がたまりやすい。 |
特定のフレット | 特定のフレットが若干飛び出ていたり、エッジが立っていたりしているかも。 スチールウールなどで磨くか、フレットのすり合わせを依頼する。 |
ピックアップ近辺 | 弦が振動する際、ピックアップに当たっているかも。 ピックアップの高さをチェック。 |
サドルとの接点 | 弦高が高くて弦が余計に折れ曲がっていることがなければ、サドルと弦との接点にエッジが立っているかも。 滑らかに整えるか、上位機種に交換。 |
ブリッジプレート近辺 | 穴を通る弦がブリッジプレートに触れているのかも。 触れるところを滑らかに整えるか、触れないようにバランスを取るか、 サドルを越えない長さの管に弦を通して保護する (イングヴェイ・マルムスティーン氏のセッティング)。 |
弦が切れやすい箇所とその対処法
「エッジが立つ」という言葉がキーワードになります。金属パーツは加工時にできる僅かな出っ張りが「エッジ」として製品に残され、弦にダメージを与える可能性があります。あまりに安価なギターやパーツは、こうしたエッジが残されたままで出荷されることがあるようです。また長期的な使用により、弦の圧力でエッジができてしまったり、錆びてきた結果エッジになってしまったり、本来ていねいに仕上げられている高級機でも、弦が切れやすいコンディションになることがあります。
「ナットの溝に鉛筆の芯をすり込む」のは、ナットの摩擦を下げるための民間療法として大変有名なメンテナンスです。こうしたナットのメンテナンスによってチューニングやチョーキング、アーミングで「キン!」という音が鳴らなくなったら、ナットの溝は大丈夫です。
弦が切れやすい箇所が分かったら、「後のことはプロに任せる」というのも一つの手段です。
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渾身の力で握りしめたピックを勢いよく深く当てると、弦はピックから逃げられずに切れてしまうことがあります。良い音のためには「力強いピッキング」が必要ですが、弦を切ってしまうほどにパワフルなピッキングは見直す必要があります。巻弦が切れた場合、切れたのが芯線ならば、弦の劣化かピッキングの強すぎがその理由です。楽器の状態が原因なら、最初に外側の巻線から切れるからです。
「弦を切ってしまわない、しかし力強いピッキング」というのは一見矛盾しているようですが、弦に伝える「力」とは何か、というのがポイントです。押し付けるような「重さ」を加えると、弦は切れてしまいます。ピッキングには「手首のスナップが必要」と言われるように、ピッキングで弦に伝える力は「スピード」です。
弦にヒットしたピックが、うまく弦から逃げるのが理想です。1.0mm以上の厚いピックを愛用しているという人は、0.8mm程度のピックを試してみてください。ある程度薄いピックは、ピッキング時に僅かに「しなる」ことで、弦からうまく逃げてくれます。
厚いピックで同じことをしようとすると、ピックの「しなり」を右手の力加減で再現する必要があります。ヒットした瞬間右手の力を抜くことで、手の中でピックが傾いて弦から逃げるわけです。厚みのある硬いピックが弦からうまく逃げるような、スピードだけを弦に伝えるピッキングが理想です。「達人」と呼ばれるギタリストの中には、こうしたテクニックを持っている人が多いようです。これをマスターすれば、蝶が舞うような軽やかなピッキングから弦を切ってしまうようなハードなピッキングまで、一枚のピックでできてしまいます。
ギターピックの種類と選び方
弦交換で古い弦を外してみたらヨレヨレになっていた、ということはありませんか?押さえる力が強すぎて、弦が変形してしまったのです。強く押さえられることが多いポジションには金属疲労がたまりやすく、特に弦が古い状態で演奏する場合、チョーキングしたフレット地点で切れることがあります。
押さえるときには弦をしっかり捕まえる左手の力加減が必要ですが、それ以上の圧力をかけても音が良くなるわけではありません。弦を押さえる圧力が強すぎると、必要以上に力んで演奏することになり、弦を痛める可能性が高まるだけでなく、上達の妨げになる可能性もあります。適正な圧力が見極められるよう、心がけましょう。
以上、弦を切りにくくする楽器の状態チェック、両手の使い方を紹介しました。しかしこれで絶対に弦は切れない、というわけではありません。どんなに有能なギターテックに依頼しているアーティストでも、ステージにはスペアのギターを必ず待機させますよね。ギターは「ピックで弦を殴る」楽器ですから、万全の状態でも弦は切れてしまうことがあります。
普段の練習ではなるべく新しい弦で演奏するようにし、ライブなど本番ではもしもの時のためにスペアのギターを用意しましょう。自分のギターが一本しか無かったら、友達から借りてくるか、弦が切れた時にほかの出演者から貸してもらえるように、対バンの人たちと仲良くなっておきましょう。
ギター博士「慣れてきたらまったく切れないようになるゾ!どんなピッキングをすれば良い音が出るか、力をこめないでも鳴るか、じっくり探ってくれィ!」
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