『TERFと呼ばれる私達 ~トランスジェンダーと女性スペース~(仮)』を編集するためのwikiです。当面は公開にしていますが、今後荒らしなどが入るようになれば非公開にする可能性があります。

 ここでは性と性的マイノリティに関わる言葉について、様々なソースから定義を持ってきて紹介する。
 これを見ると分かるが、定義する主体によって定義の内容はややズレがある。特に「トランスジェンダー」などはかなり定義の幅があることが分かると思う。
 また、TERFは中傷語、TRAは蔑称とされている。これらはネット用語として使われ、説明が載っているのもネット辞書が中心だ。しかし、ネット辞書は誰もが編集を行える性質上、「そっちが使っているのは中傷だ!」「そっちこそ蔑称として使ってるだろ!」とネット辞書の編集自体がお互いのレッテルの貼り合いに成りがちでなかなか客観的な表現にはなりづらい。書籍からの引用であれば客観的かというと、ネットよりはマシとはいえやはり著者や編者の思想からは自由たりえない。言葉の定義づけの時点で既に言論における闘争の場なのである。
 ここではこの本の編集者の考えに沿わないものであっても引用するように心がけたが、それでも完全に中立とはならないだろう。この表を見る際はそういうバイアスがかかっている表現をそのまま引用しているという点を考慮しながら見てほしい。
セックスセックスは生物学的性別、つまり遺伝子、染色体、細胞(レセプター)、組織・器官(内分泌腺など)の様態のありようによって多様な組合わせが存在する連続的な差である。(図表の解説に関する記述を略)ジェンダー研究の分野では、現象として表れている二項対立的区分を問題にしつつ、少数者とされる部分を捨象せず研究対象の中に包摂して人間研究に挑もうとする。(原ひろ子『ジェンダー、セックス、セクシュアリティをめぐって』)
生物学的な性別。内性器、外性器、染色体などによって決定づけられる。インターセクシュアルの例でもわかるとおり、この分類でも、人間を「男」と「女」の2つにはっきりと区分することはできない。(米沢泉美『トランスジェンダリズム宣言』)
性染色体や、外性器・内性器の状態、ホルモンの量など、からだの性のつくりのこと。女性にも男性にもさまざまなからだの状態がある。(薬師実芳他『LGBTってなんだろう?』)
生物学的にもっている体の特徴が男性なのか、女性なのかということです。卵巣や子宮、ヴァギナがあるのが生物学的女性で、精巣やペニスがあるのが生物学的男性です。性染色体がXXなら女性、XYならば男性として分類されます。身体的特徴が判断の基準になることから、「からだの性」と呼ばれます。(遠藤まめた『先生と親のための LGBTガイド』)
セックスというのは、生物学的なものであり、たとえば、染色体(XX、XYなど)、性腺(卵巣、精巣)、ホルモン(エストロゲン、アンドロゲンなど)、内性器(子宮、前立腺など)、外性器(クリトリス、ペニスなど)に関することである。(中村美亜『心に性別はあるのか』)
ジェンダー生物学的な性であるセックスに対し、「社会的・文化的に形成された性別」をジェンダー(gender)と言う。(日本女性学習財団キーワード・用語解説)
研究者によって多少ニュアンスを異にしているが、基本的には、「社会的文化的に規定される性別分類概念」とすることができよう。多くの社会・文化においてこの性別分類概念としてのジェンダーは、しばしば二項対立の形で認識されている。この特集における執筆者たちも、ジェンダーを「男性」「女性」という二項対立の構造および/または、その関係性としてとらえ、各々の論考をすすめている。その理由は、人間のありようや社会現象を理解しようとする際に、近代の学問が、あまりにも「ジェンダー無視」であったことを反省し、批判し、その上で新たな分析手法を構築しようとする姿勢に充ちているからであるといえるだろう。(原ひろ子『ジェンダー、セックス、セクシュアリティをめぐって』)
社会的に決定づけられる性別。意識の上での性別を指す意味でも使われる。いずれの場合も肉体の性別であるセックスと対比して用いられ、セックスでの区分以上に多様な要因が絡み合う。(米沢泉美『トランスジェンダリズム宣言』)
「女らしさ、男らしさ」といった社会的・文化的側面からみた性差のことです。これに対し、生物学的な性差をセックス(sex)といいます。ジェンダーは、男と女という生物学的な違いから必然的に生じるのではなく、社会が求める「らしさ」の教育やしつけによって後天的に形成されます。(青森県男女共同参画センター『http://www.apio.pref.aomori.jp/gender/about/word/l...』)
私たちは、様々な実践を通して、人間を男か女か(またはそのどちらでもないか)に<分類>している。ジェンダーとは、そうした<分類>する実践を支える社会的なルール(規範)のことである。(加藤秀一『はじめてのジェンダー論』
生物学的に男性や女性であること※。男らしさや女らしさに結び付けられた、社会的に構築されたふるまいや役割、行動。自身が男性あるいは女性であるという、個人の内心に深く刻み込まれている認識。(ハンナ・マッケン他『フェミニズム大図鑑』)
ジェンダーとは、心理・社会的なものであり、たとえば、知覚(何を男らしい、女らしいと思うか)、表現(外見や身ぶり)、役割(社会的分業)に関した事柄である。言い換えれば、ジェンダーというのは、セックスと異なり、性器の違いに必ずしも拠らない方法で性を差異化するさいに用いる文化的概念である。(中村美亜『心に性別はあるのか』)
性自認/性同一性/ジェンダー・アイデンティティ性自認は、自分自身の性別について深く感じられ、経験された感覚を反映しています。誰もが性自認を持っており、それは彼らの全体的なアイデンティティの一部です。(国連『Free&Equal』))
自分自身の性別をどう自覚しているか。もちろん、「男性」や「女性」以外にも、「どちらでもない」「変化する」などの多様な形態がある。(米沢泉美『トランスジェンダリズム宣言』
自分の性別をどのようにとらえるかを指し、「こころ」の性別ともいわれます。生まれつきの身体の性とは異なる性別自認で生活をしている人もいます。(青森県男女共同参画センター『http://www.apio.pref.aomori.jp/gender/about/word/l...』)
自分自身の性別をどう認識しているか。(薬師実芳他『LGBTってなんだろう?』)
自分が女性だと感じるのか、男性だと感じるのか、など、どのような性別に帰属意識(アイデンティティ)をもっているかという自己認識のことです。自分の認識が判断の基準になることから、「こころの性」と呼ばれます。(遠藤まめた『先生と親のための LGBTガイド』)
性表現/ジェンダー表現/ジェンダー・エクスプレッションジェンダー表現は、私たちが行動と外見を通して私たちの性別を表現する方法です。(国連『Free&Equal』)
性表現とは、「どのような性を表現したいか」という要素になります。詳しくは後述しますが、自らを男性と表現したい方が男性らしいファッションをするなど、自分が考える性らしい表現をする要素が性表現です。 (自分らしく生きる『性表現とは?身体的性、性自認、性的指向の意味についても簡単にわかりやすく解説。』https://jibun-rashiku.jp/column/column-3782
性表現とは、「見た目や言動などで表す性」(jobrainbow『性表現とは?LGBTを知るための基本概念【オススメブランドも紹介!】』https://jobrainbow.jp/magazine/gender-expression
服装や行動、振る舞いなどからみる社会的性。<表現する性>が<自認する性>と一致するとは限らない。(薬師実芳他『LGBTってなんだろう?』)
性役割/ジェンダー・ロール性別によって社会が求める“役割”のこと。女性に対するおとなしくするべき、子育てをするべきといった要求、男性に対するお金を稼げといった要求のこと。家庭から、学校から、職場からと、さまざまなシーンでこのジェンダーロールをなくそうと求める声が年々強まっている。(フロント・ロウ『「言葉」からフェミニズムを知ろう!ミソジニー、マンスプ、ダブスタ…、その意味って?【特集】』)
性同一性障害/GID /性別不合/GI個人の経験する性(gender)と割り当てられた性別(sex)の顕著かつ持続的な不一致によって特徴づけられる。ジェンダーの多様な振る舞いや好みだけでは、このグループとして診断名を割り当てる根拠にはならない(WHO『ICD-11』))
性別違和をもちながら、それとは異なる性別への同一感を一貫してもつ場合には「性同一性障害」という精神疾患概念が用意されている(佐々木掌子『トランスジェンダーの倫理学』)
生物学的に「正常」な男/女で(intersexualではない)、自分の人格が女/男であると確信し、その確信が「精神障害」から来るものでも社会的な性役割からの逃避によるものでもない状態。日本精神神経学会の答申で「正当な医療行為の対象」であることが確認されている。(米沢泉美『トランスジェンダリズム宣言』
FTM/MTF/FTX/MTXそれぞれ、Female to male、Male to Female、Female to Xgender、Male to Xgenderの略。女性から男性への移行がFTM、男性から女性への移行がMTF、女性からXジェンダー(男女どちらでもないという性自認)への移行がFTX、男性からXジェンダーへの移行がMTXである。(編集者)
トランスセクシュアル自分の持つ、性器をはじめとする性差を意識させる身体特徴に対し、不快感・違和感(「私はオンナなのに、なんで、こんなでっぱりがついてるの?」等々)を持つ人々(米沢泉美『トランスジェンダリズム宣言』)
トランスジェンダートランスジェンダー(「トランス」と短縮される時もある)は、トランスセクシュアルの人々、クロスドレッサー(「トランスヴェスタイト」と呼ばれる時もある)、および第三の性別として識別される人々を含む、性別非定型として認識される外観および特徴の広い範囲のアイデンティティを記述するために使用される包括的な用語である。(国連『Free&Equal』)
トランスジェンダー(またはトランス)の人々は、性自認または性表現が出生時に割り当てられた性別の典型的な期待とは異なる個人です。(アムネスティ・インターナショナル)
トランスジェンダーは、性別の内的感覚が出生時に割り当てられたものと異なる多様な人々のグループを表す包括的な用語です。トランスジェンダーは性自認と性表現を指し、性的指向とは何の関係もありません。(WHO) 自分のジェンダーが出生時に割り当てられた性(セックス)と同じではないあるいは座りが良くないと感じる人達を意味するアンブレラターム(広い概念を含む言葉)(ストーンウォール
自分の生物学的な性別、または社会的に決められたその性別「らしい」振る舞いを求められることに対し、何らかの違和感を感じている人びと。(米沢泉美『トランスジェンダリズム宣言』)
トランスジェンダーは、身体的性と性自認が一致していないセクシュアリティという定義になっていますが、じつは広義と狭義があると考えられているようです。 例えば、トランスセクシュアルは身体的性と性自認が一致していないことに違和感を抱いているセクシュアリティ、トランスヴェスタイト(クロスドレッサー)は身体的性と性自認は一致している中で、それとは違う性の服装を身につけるセクシュアリティ、狭義のトランスジェンダーは身体的性と性自認が不一致であるものの外科的手術を求めていないセクシュアリティとされています。(自分らしく生きる『性表現とは?身体的性、性自認、性的指向の意味についても簡単にわかりやすく解説。』https://jibun-rashiku.jp/column/column-3782
「生物学的な性」と「性自認」が一致せず、自らの性別に違和をもつ人。あるいは、既存のジェンダーのあり方に疑問を感じ、それを超えようとする人。(遠藤まめた『先生と親のための LGBTガイド』)
トランスヴェスタイト・クロスドレッサー別の性別に「変身」するために、異性装(いわゆる女装・男装)を行う人々。ただし、ドラァグクイーン/キングは含まないことが多い。(米沢泉美『トランスジェンダリズム宣言』)
自分の生まれ持った体の性別とは違う装いをする人のこと。たとえば男性でメイクをしていてスカートを履いている人や、女性で「ボーイッシュ」な恰好をする人などがそうだ。社会に求められるジェンダー(男らしさや女らしさ)にとらわれない性表現をする。(ideas for good https://ideasforgood.jp/glossary/cross-dresser/
トランス女性出生時に男性に割り当てられたが、性同一性が女性である成人。(https://www.dictionary.com/browse/trans-woman
トランスジェンダーの女性:出生時に男性に割り当てられた女性(https://www.merriam-webster.com/dictionary/trans%2...
トランスジェンダリズムデフォルトセッティングからの自由、そして社会とのかかわりの中で自己肯定という回路をもって、トランスジェンダーの社会生活・自己主張を行う思考・感覚・生き様を指している(米沢泉美『トランスジェンダリズム宣言』)
オートガイネフィリアオートガイネフィリアという言葉は1998年に私が最初に、性同一性障害とは似ているが混同しないように、鑑別すべき精神医学的概念として日本に紹介しました。その後、このようなマニアックな専門用語がずいぶん知られるようになり、正直驚いています。英語では「autogynephilia」です。「auto」が自分、「gyne」が女性(産婦人科のことを医者は「ギネ」と言います)、「philia」が愛、という意味です。日本語では「自己女性化性愛」などと翻訳されます。男性が自分のことを女性だと想像することで性的興奮を得ることをいいます。(針間克己『トランスジェンダーに、偏った性嗜好である「オートガイネフィリア」は含まれるのか』)
LGBTLGBTは「レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー」の略です(国連『Free&Equal』)
レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(性同一性障害を含む、身体の性に違和感をもつ人)の頭文字を合わせた単語で性的少数者を表す。(日本女性学習財団キーワード・用語解説)
アライ英語のally(アライ)には味方、同盟などの意味があることから、LGBTを理解し支援する立場の人を「アライ」と呼ぶ。(日本女性学習財団キーワード・用語解説)
TERFTERFという言葉は、フェミニストの懸念に基づいてトランスジェンダー運動を批判する人々に対して、トランスジェンダーの活動家とアライによって主に使用されている中傷語です。この中傷語はフェミニストに基づいて懸念を持つ人々に対して使用されるので、主なターゲットは女性する傾向となります。そのため、これは通常、反フェミニスト、性差別主義者、女性蔑視的な中傷語であると理解されています。(Feminist Wiki https://feministwiki.org/wiki/TERF)
「トランスジェンダーに排斥的なラディカルフェミニスト」の略。TERFはトランス女性は「本物の女性」ではなく、ゆえにフェミニズムの枠から除外されると考える。この主張は、一部のTERFのイベントの「女に生まれた女」という開催方針に表れている。(ハンナ・マッケン他『フェミニズム大図鑑』
“trans-exclusionary radical feminist(トランス排外主義的ラディカルフェミニスト)”の頭文字をとったものである。本来は、フェミニストの自己反省の言葉として生まれたのだが、いまは意味を変えてしまったようだ。この言葉はFeminism 101 FAQ blog を運営していたターフィヴ・スミスによって、2008年に生まれた。「私たちとは違い、本人たちがラディカルだと思っているのだけども、トランス女性を姉妹だと思いたがらないフェミニストたちを叙述するための簡略的な表記 ――長いフレイズを何度もキーボードに打ち込む労力をたんに節約しようとしたためにできた(ターフという)言葉は、今現在まさにそうなってしまったのだけれども、私はもうほかのひとがどう使うかをコントロールすることができない。フェミニストによる、フェミニズムの反省の言葉として誕生した この言葉は、もはや創造主の手を離れている。「その意味はすでに、ラディカルフェミニズムに関係のないと思われる、トランス排除的な視点をもつひとを単に言及するためにまで広がってしまった。このターフと言う言葉で呼ばれるひとは、たいていこの言葉を拒否し、それを中傷だと考えている―― ターフと呼ばれるひとのうちには、自分は「ジェンダークリティカル」だと考えているひともいる。このターフという言葉を批判するひとは、ターフという語は、世号や暴力的なレトリックとともに使われていると述べている」。いまや「ターフ」とは中傷の言葉であり、侮辱や暴力的なレトリックとともに使われている(千田有紀(2020)「「女」の境界線を引きなおす」『現代思想 3月臨時増刊号』)
TRATransRightsActivistの頭字語。一般的にトランスジェンダーの人々と区別されるように、TRAは通常、トランスジェンダーの中で最も要求が厳しい、または政治的に極端であると認識されている人々のための蔑称として用いられている。(https://www.urbandictionary.com/define.php?term=Tr...
Trans Rights Activist(トランス権利活動家)の頭文字を取って省略した言葉。ただし女性スペースに関する問題の中で語られる場合には一般にトランスジェンダリズムに基づいてセックス(生物学的な性別)よりも性自認を優先して制度やスペースを設計すべきと考える者を指して使われる(編集者による解釈)

※ジェンダーの定義の中に「生物学的に男性や女性であること。」という表現があることに違和感を持つ人はいると思われる。これは主に英語圏の用法だが単にsexの言い換えとしてgenderという語を使うことがある。
 SDGsの「Gender equality」は「ジェンダー平等」と翻訳されているが実際に条文を読むと生物学的な男女のことが書いてある。このことから「ジェンダー平等」は誤訳だと考える人もいる。

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