これまでの流行語との類似
もっとも「タンピン」のような現象が起きたことはこれが初めてではなく、「タンピン」に近い言葉は、これまでにもあった。数年前から流行していた「仏系」や「喪文化」がそれだ。「仏系」(フォーシー)は「何でもいい」「気にしない」「マイペース」などの意味で、もともとは日本語の「仏男子」に由来する。
「喪文化」(サンウェンホワ)も2017~2018年頃から流行り出した言葉で、「やる気がない」「自分を卑下する」「消極的」などの意味で使われている。これらを実践する若者が増えたときにも、ネット上では「過酷な競争社会に対する反動であり、自分はこんな厳しい社会では勝ち抜けない、といった絶望感が現れているのではないか」といわれていた。今回もその延長で生まれてきた言葉だ、という見方もある。
日本では2013年頃に「さとり世代」(欲がない世代)が、韓国でも2010年頃から「3放世代」(恋愛・結婚・出産を放棄している世代)が流行し、似たような行動を取る若者が増えたが、経済が低迷する日本や韓国に比べて、中国は今年の第一四半期にはGDPが前年同期比18.3%増という大幅な経済成長を達成しており、状況は異なる。
しかし、躍進する中国で、その恩恵にあずかれたり、他人と比べて恵まれた人生を歩める人はごくわずかしかいないのだということも、「タンピン」の流行によって露わになり、「タンピン」への共感がこれほど広がっている所以だろう。