司法書士試験における会社法・商法について
アガルートアカデミー司法書士試験講座の竹田篤史講師が、会社法・商法の勉強法について動画でもわかりやすく解説しています!
会社法・商法とは
会社法とは、会社の設立、組織、運営及び管理の一般について定めた法律をいいます。
商法とは、個人・法人を問わず商人の営業、商行為その他商事について定めた法律を言います。
会社法・商法は、民法と同じ私法の実体法です。
ただし、会社法・商法は、民法の特別法であるため、民法と会社法・商法の規定が抵触したら、会社法・商法の規定が優先的に適用されるという関係に立ちます。
具体的には、金銭の貸借について,民法上の規定が適用される場合、利息の有無、その額について別途定めなければ、無利息での貸借となります。
一方、商人間の金銭の貸借に当たり、民法に代わって商法が適用される場合、上記の民法の規定は適用されず、利息の有無、その額について別途定めなくても、法律で定められた額の利息を支払わなければならないというような関係に立ちます。
出題形式と配点
司法書士試験では、午前の部の多肢択一式試験で会社法8問、商法1問の計9問が出題されます。
多肢択一式試験の配点は1問3点ですから、会社法・商法で27点分出題されることになります。
これは午前の択一式試験では、民法に次ぐ出題数です。
司法書士試験では、民法、会社法・商法、不動産登記法、商業登記法の4科目を主要4科目と呼びます。
司法書士試験に合格するためには、会社法・商法の攻略は必須であると言えます。
会社法・商法はなぜ難しいのか?
司法書士試験の学習者には、会社法・商法に苦手意識を持つ方が非常に多いです。
ほとんどの方にとって、学習を開始して最初に直面する壁が会社法・商法と言っても良いでしょう。
なぜ会社法・商法は難しく感じられるのでしょうか?
まず一つ目の理由としては、内容が身近ではない点が挙げられます。
一般的に司法書士試験の学習は、はじめに民法、不動産登記法を学習し、その後に会社法・商法を学習します。
民法は、売買契約や婚姻、相続といった日常生活に身近な内容が多く、イメージが掴みやすい科目です。
不動産登記法も、一部に難しい内容はあるものの、民法の知識をベースとして学習する科目であるため、やはり具体的なイメージが掴みやすい科目と言えるでしょう。
それに対し、会社法・商法は、株式や社債の発行、取締役会の設置、事業譲渡、組織再編といった、多くの人にとって日常的とは言い難い分野について学習します。
そのため、具体的なイメージを持ちづらく、学習の糸口が掴めないと感じる方が多数いらっしゃいます。
二つ目の理由は、とにかく細かい知識が問われる科目であるという点です(特に会社法)。
会社法は、条文の知識をそのまま問う問題が出題されますが、その条文が非常に細かいです。
例えば、株主総会の決議には、普通決議、特別決議、特殊決議とあり、必要となる決議が決議内容によって異なります。
また、決議に反対する株主による株式買取請求、債権者保護手続きといった各種手続きについて非常に細かく内容が規定されています。
条文ベースでの出題が多いものの、その内容が決して簡単ではなく、知識を定着させるためにはかなりの学習を要します。
以上2つの理由により、会社法・商法は多くの司法書士試験学習者を悩ます一つの壁となっています。
では、会社法・商法はどのような学習方法が効果的なのでしょうか。
会社法・商法と一括りに言っても、対処方法が異なりますから、ここでは会社法と商法を分けて考えてみましょう。
会社法の勉強法
①丁寧に条文を読む
上記のとおり、司法書士試験における会社法は主として条文から出題されます。
条文が頭に入っていれば満点を取ることができる科目と言われています。
そのため、条文に強くなる必要があります。
とはいえ、基本的な知識が無いまま条文を素読したとしても効果は得られません。
まずは講義を視聴し、ある程度テキストに書かれている内容を理解した上で条文にあたるのが良いでしょう。
条文にあたることは、はじめのうちは面倒に感じられますが、スポーツの型と同じように、やがて土台となり、力となります。
②制度の趣旨を理解する
会社法は法律としては比較的新しい法律です。
会社法上の制度の一つ一つが、きちんとした理由があって存在しています。
例えば、会社法上の公開会社は取締役会の設置義務があります(会社法327条1項)。
これは、公開会社は株主等の利害関係者が多く、一人の取締役による独断の業務執行では経営上安全とは言えないためです。
取締役会という取締役の合議体を設けることで、独断を排除し、取締役を相互に監督する機能が備わります。
こういった制度の趣旨が理解できるようになりますと、会社法が身近となり、学習に一層の楽しさが加わります。
商法の勉強法
商法は司法書士試験では1問しか出題されません。
そのため、受験対策として商法を捨てるという方もいらっしゃいます。
しかし、多くの受験者が手を付けていない分野ですから、ここで1問得点することができれば、それだけで他の受験者に差をつけることができます。
とはいえ、手を広げすぎるのは宜しくありません。
対策としては、やはり過去に出題されている内容を抑えるのが良いでしょう。
会社法が制度趣旨を理解することが向上の鍵であることに対し、商法はどちらかと言えば暗記が中心となる科目です。
暗記すべきことは暗記し、過去に出題されている内容が再び出題されれば確実に取る、マニアックすぎる内容は捨てるというのがポイントです。
以上、司法書士試験における会社法・商法の学習方法について解説いたしました。
会社法・商法は、はじめの内はとっつきづらい科目ですが、理解が深まってきますと大変面白い科目となります。
私も最終的に最も好きな科目でした。
ぜひ会社法を大好きになっていただきたいと思います。
本コラムが、今後司法書士試験を志す皆様のお役に立てば幸いです。
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