■不完全燃焼で解散も、2010年代にまさかの復活
華々しく売り出されたセイントフォーだが、デビュー1年程度で露出が激減する。テレビ出演もなく、新曲のリリースも途切れた。というのも、どちらも今は存在しない所属事務所「日芸プロジェクト」とレコード会社「リバスター音産」が、プロデュース方針の相違やら、契約問題やらでモメにモメ、泥仕合を展開したからである。
その間、おニャン子クラブの大ブレイクもあり、徐々に4人は忘れられた存在になりつつあった。
表舞台に出る機会を失った期間に、メガネキャラの板谷祐三子が脱退。新メンバー(のちの声優・岩男潤子)が加入したものの、新しい展開はナシ。結局、契約トラブルは決着がつかず、セイントフォーは、「メンバーの意思で」という名目で1986年末に解散を表明することになってしまう。岩間は「大人のトラブルに疲れました」と発言した。
1987年1月18日、東京・御茶ノ水の日仏会館という小さなホールで行われた解散ライブにはコアなファンが集まり、異様な熱気に包まれた。なお、解散後に本来は再起のために用意されていた映画『やるときゃやるぜ! ~COME BACK HERO~』がなんとか公開されるが、時既に遅し。これに絡んで岩間は「セイントフォーは不滅です」という言葉も残している。
その後、女優に転向した岩間は、主演級ではないが多くの映画やドラマに出演。やがて、劇団に属して舞台作品にも多数出演した。2016年には『爆報! THE フライデー』(TBS系)に登場し、25歳の頃に舞台共演した某有名俳優との熱愛歴についてカミングアウトして話題を集めた。
時の流れは、いろいろなことをクリアにしてくれるものだ。かつて辛酸を舐めたセイントフォーだが、2018年に途中脱退した板谷を除く3名で本格再結成が実現したのである。最年長メンバーの岩間は2020年11月現在56歳。スレンダーな体型はそのままに、ステージでは側転を披露する。「セイントフォーは不滅です」という言葉を自ら実証したのだ。
(文/ミゾロギ・ダイスケ)