大植 健司
インデックス事業室
2007年入社
人間・環境学研究科修了
※所属部局は取材時点のものです
入社 日本経済新聞デジタルメディア出向
株価などのデータベース開発を担当。日経の持つ数値データベースに関する知識を身につける。
インデックス事業室
オプションなどデリバティブを使った指数の開発やWEBサイト「日経平均プロフィル」のリニューアル、指数計算のシミュレーション環境の構築などを担当。
東京証券取引所との共同指数の開発に参加。
子供が生まれて、働き方を変えるきっかけになった。
企業の海外売上高比率に着目した内需株指数、外需株指数を開発。
大学では検索エンジンの研究に携わりました。就職活動もIT企業やインターネット企業を中心に見ていましたが、研究で性能評価のサンプルに新聞記事のデータベースを使うことがあり、その経験から「新聞社のインターネット展開で何かできないだろうか」と思うようになりました。
指導教官の知人に紹介された大学OBの日経社員に会い、また、説明会に参加して話を聞くなかで、日経は新聞社の中で最もインターネットで先行していると感じました。経済ニュースは将来的にも優位性があると考え、新聞社なら日経だと思いました。日経平均株価に関するニュースは時折目にしていましたが、その日経平均を算出しているのが日経だということも知り、すごいと思ったのを覚えています。
最後は大手IT企業と日経のどちらを選ぶか悩みましたが、採用担当者に素直に相談すると「日経は何百人も採用する会社と違い一人一人を大切にする」と言われ、それが決め手で入社しました。
「インデックス事業室」に所属しています。日経平均株価をはじめ指数(インデックス)の管理運営を担う部署で、私は新しい株価指数の開発や、既存指数の日々のメンテナンスを担当しています。
株価指数は相場の動向を伝える指標としてスタートしました。やがて投資のベンチマークとなり、インデックスファンドや上場投資信託(ETF)の広まりで、今は投資対象そのものになっています。新しく作る指数のほとんどは初めから投資対象となることを狙っています。マーケットや投資家、資産運用業界の動向は日々ウォッチしています。
指数開発の仕事は多岐にわたります。企画・設計に始まり、金融機関などへのヒアリング、システム実装、指数値を表示するWEBサイトの開発、説明資料の作成、さらに普及活動もあります。私はほとんど最初から最後まで関わっています。
開発した指数はシステムで毎日自動的に計算されます。ただ構成銘柄の経営統合による調整や定期的な銘柄入れ替えといったメンテナンス的な作業も必要で、日々チェックや確認作業もしています。
長く使われ続ける指数を開発しないといけないのが、この仕事の難しさです。数え方にもよると思いますが、世界には数百万の指数があるそうです。その中で実際に使われる指数は限られます。指数を作るにはシステム開発のコストがかかりますし、その後のメンテナンスも欠かせません。簡単にやめることもできません。常にアンテナを張り、ニーズを見極めて慎重に判断し、議論を重ね、試算を繰り返して指数を開発しています。
だからこそ自分が開発に関わった指数が使われるとうれしいですし、それが面白さだと思います。開発のプロセスで行き詰まっている時にふと解決策を思いついた瞬間や、苦労の末に指数の計算が完成した時などに達成感を覚えます。ですが、何といっても一番の醍醐味は開発した指数がインデックスファンドやETFに使われて資産残高が伸びたり、アナリストなどの分析に使われたりした時です。ヒット商品を生み出す力がもっと欲しいと思っています。
これまでは日本株の指数開発がメインでしたが、今後は外国株も含めたグローバル株価指数の開発にも挑戦したいです。日経平均株価は日本株の動向を表しますが、世界と比べてどうなのかという比較は必要です。いろんな国の株を指数にするのは簡単ではありません。国によって休日が異なり、通貨が異なり、日本との時差があります。ケアすべきことは多いですが、開発を通して学ぶことは多いので経験したいと思います。
人工知能(AI)を活用した指数の開発にも興味があります。例えば、開示情報やニュースデータをAIに学習させ、オリンピック関連銘柄やインバウンド銘柄といった特定のテーマに沿った銘柄の選択に利用し、その銘柄で計算する株価指数です。考えてみると、テキストデータから特徴を抽出する作業は、大学で研究していた検索エンジンに近いところがあります。今の自分の仕事が大学時代の興味からつながっているのだと改めて気がつきました。