古文の参考書には様々なものがあります。
でも他方で、色々とあり過ぎて悩んでしまうこともあるでしょう。
特に古文が苦手な人からすれば尚更です。
例えば
- 参考書のレベルがイマイチわからない
- 有名な参考書だが自分に合うか不安である
- 初心者や苦手な人向けのものは、内容的に足らないような気もするし…
- かといって分厚い定番ものは、とてもついていける自信がない
などです。
確かにレベルと分量のバランスは微妙なところがあります。
ですが、最終的には良質な参考書で確固たる古文の基礎力をつけられるかどうかがポイントです。
それさえクリアできれば、それこそあとは時間と分量の問題になってきます。
そこでこの記事では、古文が苦手な人を念頭に、おすすめ参考書7選と勉強ルートを徹底解悦していきます。
古文に目覚めることうけあいです!
- 古文の参考書の選び方
- 古文の参考書の勉強ルート
- 古文のおすすめ参考書7選
古文の参考書の選び方

参考書の選び方は重要です。以下でそのポイントを示しておきます。
- 参考書・問題集が自分のレベルに合っているか
- 基本的なこと(動詞の活用等)から解説されているか(特に古文が苦手な人)
- 解説が詳し過ぎて情報過多になっていないか(特にインプット用参考書)
- 現代語訳だけでなく品詞分解や係り結び等の文法補足がされているか
上で挙げた通りですが、参考書との関係で少しだけコメントしておきます。
苦手科目の勉強によくありがちなのですが、古文についても、最初のインプット時点で色々と手広く習得したくなるものです。
気持ちは分かるのですが、 グッと抑えましょう。
色々読み漁っても(特に古文は)おそろしいほど、知識が実践(読解)で生かされません。
ですので、単語学習では基本語300個を完璧に覚えることを目指しつつ、文法についてはインプットとともにドリル演習を繰り返してみてください。
また、(初期の)読解演習書については、現代語訳の他に品詞分解や係り結びの補足がついているものを選びましょう。
これがないと、現代語訳だけが頼りになってしまい、結果的に勘で意味をすり合わせるだけになってしまいます。
古文の参考書の勉強ルート<苦手な人向け>
今回紹介する参考書の中から必要最低限のものを厳選の上、特に古文を苦手とする人向けに最も基本的な勉強・参考書ルートを設定してみました。
読んで見て覚える 重要古文単語315
望月光の古文教室 古典文法編
ステップアップノート30古典文法基礎ドリル
古文上達 基礎編 読解と演習45
富井の古文読解をはじめからていねいに(補足)
各長文問題集
共通テスト・旧センター試験過去問集
和歌の修辞法―荻野文子の特講マドンナ古文(和歌対策)
ルートはベーシックなものとしつつ、参考書はどれも定番ものを選びました(下記で個別にレビューしています)。
少ないように思えるかもしれませんが、とにかく読解につながるような基礎作りを最優先にしています。
ここで最も力を入れてほしいのは、文法のドリル演習です。知識(インプット)と読解演習(アウトプット)の橋渡しとなる箇所です。
またインプットの段階で、必要に応じて文法の教材を追加してもよいでしょう(ただし、あまりインプットばかりに労力を傾けないように)。
期間としては、このドリル演習を終わらせるまでに1~2か月、毎日2時間はかけてください。
また、その期間で、併せて古文単語を300ほど完璧にインプットしていきます(その後、残った単語を攻略していきます)。
なお、読解演習に進んだ段階で、助詞・助動詞等の基本的な文法事項で頻繁につまずくようなら、躊躇なく、文法ドリルの演習の段階に戻りましょう。
苦手な人向けに厳選!古文のおすすめ参考書
【古文単語】
読んで見て覚える 重要古文単語315
レベル | 易~やや難 |
メリット | ・網羅性に優れ、この一冊で古文単語は足りる(敬語や慣用句も含む) ・古文常識や和歌の修辞法、さらには識別までも収録されている ・簡潔な解説や例文、さらにはイラストも掲載されている |
デメリット | ・やや情報過多ぎみ(古文が苦手な人は見出し語に絞ることをすすめます) |
単語帳の中でも定番中の定番です。必要な情報が網羅されています。
単語だけでなく、古文常識や和歌の修辞法等に関しても収録され、ちょっとした古文の総合辞書としても使えます。
古文学習のどの段階でも手放せません。
また、単語の意味だけでなく、コンパクトで分かりやすい解説と例文が載っており、しかも随所にイラストも描かれています。
とても工夫されており、覚えるのに助かります(このイラストはイメージしやすく、とても有難いです)。
単語を覚える際の注意点としては、語呂合わせでの暗記はあまりお勧めできません。
語呂に無理があったり、語呂自体を忘れるとそれでアウトだからです(しかも複数の意味を覚えづらいです)。
なお、マイナス点としては情報量がやや過多であること。ですので、初学者や古文が苦手な人は見出し語315語に絞って覚えるとよいでしょう。(この見出し語の絞りもまた👍)。
【古典文法】
望月光の古文教室 古典文法編
レベル | 易 |
メリット | ・とにかく古文が苦手な人に寄り添った作りになっている ・基本中の基本から解説しており、分量的にもコンパクトにまとめられている ・情報を必要最小限に絞り込んでいる |
デメリット | ・網羅性という点では弱く、難関校対策としては足りない |
古典文法の参考書では最もベーシックなものに位置づけられます。
内容も基本中の基本に絞られ、しかもコンパクトに分かりやすく解説されています。
上では、一応デメリットとして非網羅性を挙げましたが、さらなる学習において情報不足を感じる場合は、別の参考書で補えばよいとお考え下さい。
とにかく、情報を必要最小限に絞っている点が評価できます。
古文が苦手な人に徒に情報提供しても、知識を読解で生かすことができず、結果的にマイナスの効果しかありません。
ですので、とりあえずこれを完璧にして、あとはドリル演習に進むのが良いかと思います。
望月光 古典文法講義の実況中継(2分冊)
レベル | 普~やや難 |
メリット | ・文法書の中では網羅性に優れ、難関校対策のためのインプットにも使える ・例題や問題も豊富で文法演習もできる(ただし初心者のドリルとしてはやや難) ・解説が分かりやすく丁寧 |
デメリット | ・初学者や古文が苦手な人にとっては情報過多(実践で使いこなせないのでは) ・細かく難易度の高いものが含まれている(人によってはここまでは不要) |
こちらは先の「古文教室」と同じ著者です。
「古文教室」とは逆に網羅性に優れ、難関校向けのインプットにも使えます。
しかも例題や問題がついており、単なる文法解説書ではありません。
解説は丁寧ですが、メリハリ良く項目ごとにまとめられており、使い勝手もいいです。
結局これも使い方の問題で、全てを隅から隅まで読むのではなく、辞書的に活用していくことも考えられます。
要するに先の「古文教室」やドリル等で足らないところを感じたら、ここで補っていく感じです。
ただし、問題等の中にはややレベルの高いものが含まれているので(私大や国立2次向けを含む)、古文が苦手な人は、先ずは先の「古文教室」に絞って徹底的にやり込むことをお勧めします。
ステップアップノート30古典文法基礎ドリル
レベル | 易~普 |
メリット | ・ 古典文法の知識を読解で生かせるようになる(最重要) ・ 最初にポイントがコンパクトに整理されている ・ 巻末の敬語や助詞・助動詞の一覧表も整理や確認に使える ・ 分量がちょうどよい |
デメリット | ・「基本ドリル」の問題には現代語訳がない(私は見つけられなかった) ・文法の詳しい解説はない |
おそらく文法参考書の中では一番ポピュラーなものだと思います。
文法の基本的な演習書であり、文法知識を本格的な読解演習につなげるための橋渡しとなるものです。
分量的にも難易度的にも殆ど申し分ないのですが、使う人によって学習上の苦労の度合いが異なってきます。
基本的な文法ドリルとしては結構手強い問題があります。
特に、助動詞絡みでは、接続、活用形、そして意味について立体的に考えていかなければなりません。
実は、古文といえども、言葉のつながり方は大方決まっていて、それがスッと頭に入ればよいのですが、それができないと文法的にゼロからこの思考をしていかなければなりません。
これがキツイ。ホントにキツイ。
一つの文で1時間近く唸り続ける、なんてことも…。
ここで古文が得意になるか苦手になるか分かれてしまいます。
ですが、なんとかここを踏ん張って頑張れば(最低でも1ヶ月、毎日2時間)、やがて典型的な一連の言葉 (識別問題含む) や言い回しに頭が自然に反応してきます。
ですから、古文を得意にしたいと本気で考えている人は、本格的な読解演習に入る前に、辛抱強くここを繰り返し頑張ってみてください。
【読解・解釈】
古文上達 基礎編 読解と演習45
レベル | 易~普 |
メリット | ・最初に文法事項が整理されており、問題もそれに即したものとなっている ・文法の勉強を終えた人が読解・解釈の演習を始めるのにとても適している ・現代語訳に沿って適宜、助動詞等の文法事項や係り結びの補足が施されている ・設問でも文法から内容まで広く問うており、総合的な古文の学習ができる ・本文は右1ページに収まっており、読解初心者には程よい分量である |
デメリット | ・問題数が45題とやや多い |
初心者向けの読解演習書の中では最も定番のものといえます。
特徴は、文法学習を意識した読解演習書となっていること。
各文法項目と連動する形で問題が配置されています(設問もそれを意識した文法問題が揃えられています)。
内容や文章のレベルも最初のうちは易しく、徐々に難しくなっており、読解初心者を念頭にした作りになっています。
また、設問は文法事項にとどまらず、内容面についても問われており総合的な古文学習ができます。
本文はそれほど長くないので、できれば現代語訳を書き出してみてください。
一点注意したいことがあります。最初の方の問題は易しいので(文法について厳密にならなくても)なんとなくストーリーから意味が分かってしまいます。
ですが、ここでは(いくら時間をかけても構いませんので)あえて助動詞などの文法をしっかり確認した上で現代語訳を考えてみてください。
この参考書は、読解サイドから文法事項と本格的な読解との橋渡しをしていくれるといえます。
富井の古文読解をはじめからていねいに
レベル | 易~普 |
メリット | ・古文の読解の仕方と古文常識の両方を同時に学べる ・イラストとともに対話形式で解説しているので、わかりやすく親しみやすい ・細か過ぎない、詳し過ぎないところが良い(特に苦手な人にとって) ・本文の内容が別冊にてビジュアル的にまとめられている |
デメリット | ・本格的な読解演習書ではないので、別の問題集等で実戦演習は必要 ・読みやすいが、一読では身につかないので繰り返すこと |
解説は先生と猫(?)の対話形式で進んでいきます。
しかも漫画チックなイラストをふんだんに用いているのでわかりやすく親しみやすいと思います。
また、適度な量で必要な情報を伝えているところも評価できます。
特に古文が苦手な人が消化不良をおこなさないようになっています。
内容は、前半は主語の明確化を重点的に、後半は古文常識に力を入れています。
敬語や古文常識の勉強も兼ねて読解の仕方を学びたい人に特に向いているでしょう。
ただし、文法や単語の知識は事前にしっかりマスターしておいてください。
本書はあくまで読解が中心です。
また、この参考書を使う以上、しっかり繰り返して読み込むこと。
一読だけではあまり意味がないように思えます(サラッと読めてしまうのですが…)。
【和歌(修辞法)】
和歌の修辞法―荻野文子の特講マドンナ古文
レベル | 普~やや難 |
メリット | ・和歌の修辞法を基礎から学べる ・単に修辞法の紹介だけでなく、和歌特有の読解・解釈の仕方を教授している ・和歌に対して自信を持てるようになる |
デメリット | ・和歌や修辞法のため(だけ)に果たしてここまで労力をかけるべきか(志望校等による) ・繰り返してやらないと意味がない(だからやる以上は相当の時間がかかる) |
和歌に特化した数少ない参考書の中の一つです。
和歌というと(修辞法を中心に)なんとなく敬遠しがちですが、この参考書をやり込めれば、和歌に対して相当の自信が持てると思います。
ただし、その分、やるとなると相当の時間と労力をかけることになります。
つまり、一読では意味がなく、中途半端にやるくらいなら、この本以外で修辞法だけサクッとインプットした方が効率的です。
あと、和歌の勉強をしてみるとわかるのは、和歌では古文の総合力が求められるということ。
古文単語から助動詞等の文法知識、さらには修辞法や和歌特有の解釈の仕方まで幅広く絡んできます。
しかも、その和歌には物語の登場人物たちの心情が反映されてきますので、当然ながら文脈やストーリー展開を把握する力も求められてきます。
要するに、実際は、和歌単独の問題ではないのです。
この参考書は、和歌を通じて古文を総合的に勉強できるようになっています。
ですので修辞法だけでなく、和歌を通じて古文を総合的に復習したい人にも向いていると思います。
大学入試センター試験過去問(参考)
センター試験の古文の過去問についてコメントしておきます。
センター古文は、年度により難易度に差があり、特に難しい年ですと、源氏物語が出題されたり、和歌が4つも5つも出題されたりしました。
20分という試験時間も踏まえると、相当厳しい年度があったことは否めません。
そんな、既に終了してしまったセンター試験ですが、設問も含めて問題自体からは、色々と多くを学ぶことができるのではないかと思います。
特に設問の完成度が非常に高く、単語や文法はもちろん、それらを正確に踏まえた上での文脈把握や登場人物たちの心情把握をしっかり確認する内容になっていました。
ですので、先ほどの「古文上達」を終了された方が、過去問に入る前に何か演習書を挟むつもりでしたら、センターの過去問をご利用されることをお勧めします。
解説書は、大手予備校等のものを使うとよいでしょう(河合塾の黒本が詳しくてお勧めです)。
古文のおすすめ参考書と勉強ルート:終りに
古文の参考書について勉強ルートも交えて解説してきました。
古文が得意になるか否かは、結局、最初の基礎力養成の段階で決まってしまいます。
そういう意味では、初心者や古文が苦手な人がゼロから基礎を学んでいくのは、ある意味、古文を得意にする絶好のチャンスです。
今回ご紹介した参考書と勉強ルートは、まさにその役割を果たしてくれるものといえます。
ですので、これまでの記事内容をぜひ参考にしていただき、良質な参考書を通じて古文を得意科目にしてもらいたいと思います。
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