嬉野市が整備している施設園芸メガ団地「スマートアグリ宮ノ元」に、脱サラしてトマト農家を目指す志岐貴彦さん(41)=嬉野町出身=が初めて入植した。新規就農者の仲間に助けられながらトマト苗5千本を植え付けし、夢だった農家の道を歩み出した。
高齢化で農業の担い手が減少する中、新規就農を促すとともに定住者を増やそうと市が主体となって塩田町内に団地を整備している。2023年度末までに約5ヘクタールの敷地に9区画を設ける計画で、事業費は約2億5千万円。環境制御機能の付いた最新の耐候性ハウスはJAが整備してリース方式で入植者に貸与するため、新規就農の初期負担が抑えられる。
入植第1号となった志岐さんは非農家出身で、大学卒業後にケーブルテレビの技術職を10年勤めた後に農家への転身を決意した。岐阜県の農業法人での勤務を経て、鹿島市のトレーニングファームで2年間大玉トマトの栽培技術を学んだ。真新しいハウスでこのほど行われた苗の植え付けには、嬉野市の新規就農者でつくる「うれしの新農会」のメンバーも参加した。
志岐さんは「市やJA、新規就農者の仲間にもサポートしてもらい、やっと本格的な栽培をスタートすることができた」と感謝し、「いいトマトを作り、地域の担い手としても貢献していきたい」と意欲を示した。
団地には今後、関東などからトマトのほか、キュウリ、イチゴの新規就農者が入植する予定。(山口源貴)