音MAD Advent Calendar、22日目です。
現在2021/12/21の21時35分。記事を書く気力が沸かずに直前まで放置してしまったので慌てて書いています。間に合うと良いな。
■前書き
台詞合わせ。楽しいですよね。
私の周辺のサンプル数n=10未満の環境では「DTMを始めると音程合わせが億劫に感じられる」のようなニュアンスな声を時折耳にします。*1 *2 *3
私もどちらかと言うとその声に似た考えを持っていて、「どうせ音MADを作るなら音MADでしか出来ない部分に拘りたい」と常々感じています。断じて音程合わせをするのが面倒で隠れ蓑にしている訳ではありません。*4
ということです。*5
■そもそも譜割りとは?
そもそも譜割りって何やねん!という話ですよね。
譜割りについて端的に説明している良い感じの記事が見つかったので見てみましょう。
譜割とは音符に対して、歌詞の一音一音をどういう配分で置いていくかを考えていく作業です。基本は、メロディラインの音符ひとつに対して1文字。ですが、それに限らず音便(発音上、語中・語尾の音が他の音に変化すること)によっては2音、ときには3音流し込んだほうが気持ちいい場合もある。
……言葉の意味を説明するために引用したんですけど、言いたかったことこの記事に概ね書いてますね。もうこの引用元記事読んでくれればOKです。対戦ありがとうございました。
だわけねぇだろぉえええええ!!
失礼しました。思わず松岡修造さんになってしまいました。
当たり前ですが作詞における譜割りと音MADにおける譜割りでは工程が異なる*6 *7 *8 *9ため、音MAD独自の「譜割り」について考えていきましょう。
■音MADにおける譜割りの基礎
昔どなたかのブログ*10 で見かけたのですが、台詞合わせの文字構成を4文字ごとに区切って表記する方法が提案されていました。
例として、「一つの所に命を懸ける」という台詞であれば
ひとつの|ところに|いのちを|かける○
と言った感じです。(※休符に該当する部分は「○」で表現します)
何だかんだで音MADにおける台詞合わせの基礎は16分or8分での配置です。原則としてこのルールを守ってさえいれば自然に気持ちよく聞ける配置が出来るはずです。
丁度いいタイミングで松岡修造さんになれたのでサンプルを収録してみました。
譜割りはシンプルに
「ひとつの|ところに|いのちを|かける○」
「ユニナノ|ダイヤで|べん[きょ]う|がんばれ」
です。([きょ]は1拍扱い)
※「頑張れ」の部分以外はすべて16分、「頑張れ」の部分は32分で拾っています。
■【崩し】 拍をズラす
同じ台詞でも人によって組み合わせ方が異なる。台詞合わせの面白い点です。
文字で説明しづらいのでまずはサンプル動画を見てみてください。
※急に始まります / 1フレーズにつき2回ループします
①【王道】[しょ]うがや|きてい[しょ]|くなんだ|よ○○○
②【先食い】[しょ]う|がやきて|い[しょ]くな|ーんだよ|○○○○
③【遅延】○○[しょ]う|がやき○|てい[しょ]く|なんだよ
それぞれパターン別に見ていきましょう。
①【王道】[しょ]うがや|きてい[しょ]|くなんだ|よ○○○
シンプル・イズ・ベスト。作りやすくて聞きやすい。
基本に忠実に作るとこうなります。崩しが多いと聞きづらくなるので変に凝りすぎずシンプルな台詞合わせ箇所を多めに残しておくのも大切。
②【先食い】[しょ]う|がやきて|い[しょ]くな|ーんだよ|○○○○
「しょう」の部分で前の拍を先食いしています。
主な用途として、
・イントロの疾走感を付ける
・前の台詞の後半部が空いてしまった時の穴埋め
・拍に対して台詞の文字数が多い時の調整
と色々便利に使えます。
もちろん崩しとしての効果も有用なので、作っている音MADの台詞合わせが単調に感じられる時とかに取り入れるといいアクセントになります。
③【遅延】○○[しょ]う|がやき○|てい[しょ]く|なんだよ
②とは逆に拍の頭を抜くパターンです。用途も②とそのまま逆で、
・タメを作る
・拍に対してのセリフの文字数が足りない時の調整
等の効果があります。
後述の3連符、6連符を使わずとも、基本の8分/16分配置を良い感じに組み替えるだけで台詞合わせは大きく化けます。台詞を音節ごとに切り分けるのが面倒ですが色々試してみると良い感じになる……はず。
■【崩し】 3連符・6連符の使い方
3連符。オシャレですよね。
要所要所で入れ込むといい感じのアクセントになります。
①【1拍3連符】3(しょうが)|3(やきて)|3(いしょく)|なんだよ
②【半拍3連符】しょう 3(がやき)|ていしょく|なんだよ|○○○○
③【半拍3連符+遅延】○○しょう| 3(がやき) ○○|ていしょく|なんだよ
④【1拍6連符】6(そこのきみだ)|6(そこのきみだ)|6(そこのきみだ)|[そこ][のき]み○
⑤【複合】[そこ][のき][そこ][のき]|そこのき|6(そこのきみだ)|[そこ][のき]み○
……順番に見ていきましょう。
①【1拍3連符】3(しょうが)|3(やきて)|3(いしょく)|なんだよ
一番シンプルな3連符。このBPM帯だとねっとりしちゃうので音MADで使うのは難しいけどラップではよく使われるリズムです。
より際立たせたいワードを強調するのに使えます。
②【半拍3連符】しょう 3(がやき)|ていしょく|なんだよ|○○○○
③【半拍3連符+遅延】○○しょう| 3(がやき) ○○|ていしょく|なんだよ
比較的音MADで使いやすいリズム隊。割とどこでも使えるし何ならみんな無意識のうちに使ってると思います。
16分で刻もうとすると1文字多いんだよな~~って時に使うとGood。
④【1拍6連符】6(そこのきみだ)|6(そこのきみだ)|6(そこのきみだ)|[そこ][のき]み○
6連符。決まると嬉しい。
※「半拍3連符 x 2」と「1拍6連符」はほぼ同義と思ってOKです。
ハキハキとした6文字の発声を見かけたら是非狙ってみてください。
⑤【複合】[そこ][のき][そこ][のき]|そこのき|6(そこのきみだ)|[そこ][のき]み○
32分との複合型。
このくらいのBPMなら32分まで刻めますが、発声がハキハキしてないと聞き取りづらくなるので使い所は選びたいところ。
……そうして出来たのがこの焼肉定食です。
しっとりやわらか焼肉定食*11 の作り方講座、いかがだったでしょうか。
どうぞ皆さんも美味しい焼肉ライフ*12を。
*1:もっとも、サンプラー等を駆使してむしろ効率化を図って積極的に音程合わせに臨む人も同じくらいいるのですが……
*3:1クールに1回くらいの頻度でたまに日記を書くのですが、その際によく(この注釈のように)連接させて脳内で一人会話を繰り広げることがあります。思ったことをそのまま文章に起こせるのでオススメです。
*4:この思想の半分は「音程合わせ面倒だな」の気持ちで出来ています。
*5:改めて言語化するのが面倒だからって過去の自分の発言を引用して何かを書いた気になるな
*6:作詞であれば音符の成約はあるものの言葉は自由に選べます。同じ意味でも違う言い回しをすることで文字数をある程度調整出来るんですね
*7:音MADではあくまで既存の限られた素材から曲に合う譜割りを考えなければならないものの、歌モノと違ってメロディライン等に乗せる必要もないため自由な配置が出来ます
*8:音MADの譜割りは言うならば「ラップ的な譜割りを既存のワードを上手く組み合わせて配置するパズル」みたいなイメージですね
*9:キメラ的にワードを作り出すのはまた別口として……
*10:恐らく今では消えているようで探しても見当たりませんでした……
*11:声に出して読みたい日本語
*12:焼肉ライクっていう一人焼肉専門店が安くて気楽なのでオススメです