どうも、EastMtです。
投稿してました。七尾百合子さん誕生日おめでとうございました&たくさんの広告本当にありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!
どうにか3/18に間に合わせるためこの動画にひたすら注力していたら自分(の気力)が溶けてしまいました。
今回は人力について書きます。映像はまた後日…
映像や音声について詳しいことはとりあえず過去の編集後記を参照してみてください。
今回は音声(人力だけだけど)に3日、映像に10日ほどかけています。各所でブツブツ愚痴ってしまうくらいには難産でした。
まず音域が高すぎる。ピッチシフトするとおよそ声質が潰れてしまい、音素の選定には時間をかけねばなりませんでした。
また映像でも非常に苦労しました。また追々話しますが、これを作るにあたりストーリー性を大事にしたかったため縛りを設け制作していました。この縛りがツラいのなんのって。今回で未熟さを痛感した次第であります。
【人力】
人力です。今回はモモモモ望月杏奈の時同様に切り出しから調声、ミックスまでREAPERだけで全てやっています。
合う音素を切り貼りしフォルマント維持しつつピッチシフトしています。
VocalShifterでちょっといじってもいいかなぁとは思いましたが時間に余裕がありませんでした。それでも自分で納得の出来ではあるので問題ない。
音素を切り出すときはいつもアカペラ音源を全部同一トラックに放り込んで(画像のトラック11)、歌詞をひらがなで書き起こしたメモ帳で検索をかけながら合うものを虱潰しに探す手法をとっています。事前の音素の切り出しはしません。
ほかにいい方法があるのかもしれませんが最初からこの手法をとっている絡みで慣れてしまったので。
トラック2は原曲のアカペラです。これを参考に歌声を組み調声していきます。
技術的な話は以下の素晴らしい解説記事に超詳しく書いてあります。必読です(丸投げ)。
しかしミックスの情報が少々薄いので、僭越ながらここではミックスについて触れようと思います。
【人力におけるミックス】
音声においてミックスは重要です。マジで。これによって如何様にでも雰囲気を変えることができてしまいます。
少なくとも各トラックの音量調節と、マスターの音量が0dbを超えないよう適切に音圧を稼ぐくらいはしておくべきだと考えています。音圧がきっちり調整されているだけでもかなり違うので。
なぜ0dbを超えてはならないのかというと、これを超えると音声データに欠損ないしは破損しノイズが乗り始めるからです。要するに0dbを超えた状態(≒音割れ)のまま放置するのは望ましくないということなのです。
ひとまず音割れを防ぐだけならマスタートラックにTLs-Pocket Limiterなどのリミッターを挿しておけばいいです。REAPERの場合マスタートラックはCtrl+Alt+Mか、上のプルダウンの[View]→[Master Track]で出てきます。
ちなみにですが、ミックスやマスタリングをする際はお手本となる曲を用意しておいたほうがいいです。リファレンス曲とか言うらしい。
Firers!!!の編集後記でも書きましたが、ずっと一つの音を聞いているとそれに耳が慣れてしまうことがあります。平時とは異なった聞こえ方のままミックスを進めてしまうと、後で聴いた際にミックスが偏りかねないため、その対策としてです。
これはメルトの歌声を置いているトラックのVST。いろいろかけています。
一番上のGranComp3。これはコンプレッサーといい、ざっくり言えば全体の音量差を均してくれるもの。そのためやりすぎると海苔になります。どういうことか、以下の図を見てみましょう。
こんな音声があったとします。音量が小さいのか聞こえづらいから音量を上げてやりたい。しかしこのまま音量を上げようと思うと0dbを超え、音が割れてしまいます。音にノイズが乗るのは聞き心地が好ましくないため音割れは絶対に避けるべきです。
それではどうすればいいか。これはコンプで波形の出っ張っているところを叩き潰してから音量を上げてやれば解決です。
スレッショルドとは、簡潔に言えば「この音量を超えたときだけ音をつぶすよ」というボーダーライン。図ではめちゃくちゃ極端なかかり方をしていますが、イメージとして。
全体の音量が上がりました。コンプレッサーはこのように音量を均しより音声を聞こえやすくできます。
ボーカルにこれをかける意義としてはやはり歌声を安定させること。全体の音量がヘロヘロだととても弱弱しく聞こえ、聞き心地もよくないでしょう。こうして適切に音量を稼ぐことで力強さを与えることができるのです。
その力強さを与える目的でGranComp3をかけています。これは高中低の音域それぞれにコンプをかけることができます。
GranComp3のUI。縦に3つツマミが連なっています。上から高音域、中音域、低音域。
ここでは瞬間的に大きくなる音量をつぶせればいいくらいなので、再生しながらコンプがかかっている音量がちょこちょこ伸びてくるくらいまでスレッショルドのツマミをまわせばOK。「高音域が出っ張ってて気持ち悪い」みたいなときは高音域(一番上)のOUTPUTのツマミをいじりましょう。
Kuassa BasiQは3バンドEQ。低音域は要らないのでガッツリ切り、抜けをよくするため軽く高音域をブーストしています。
ThrillseekerXTCは音がちょっと煌びやかになるもの。聞き比べないとわからないくらいですが採用。
Ozone Imagerは音をSideに広げるもの。オケになじませる目的で入れました。詳しくは調べて。
BuzMaxi3。マキシマイザー。コンプと似たようなもの。ここではリミッター代わりに入れています。
またセンドリターンというものを用いて中音域~高音域にかけてリバーブとコーラスをかけています。詳細は以下の記事でどうぞ。
原曲のEQはこんな感じ。人力が来るあたりの音域を軽く削り、低音域は軒並みブーストしています。このへんは好みですね。
【マスタートラック】
マスタートラックでは最後の仕上げをします。これをマスタリングといい、検索をかけるといろいろと講座が出てきます、それらを漁るのも一興でしょう。DTM向けの講座が参考になります
マスタリングでは音圧を稼いだり、また音声に色付けをしたりします。
今回はまずBuzMaxi3を挿して音量均し。EQでお手本とした曲と聞き比べ音域を調整、再度BuzMaxi3を挿して音量上げ。
基本的な流れとしては、
コンプで音量均し→リファレンス曲を参考にEQで音域調整→Sideの音量を上げる→ステレオイメージャーで音像を左右に広げる→マキシマイザーで音量を上げる
といったところでしょうか。白文字はやらなくてもいいですが、やるとそれっぽさが強まります。CD音源に近くなるというか。ただし当たり前ですがやりすぎるともれなく破綻するので、やるにしても気持ち薄めにやっておきましょう。
マスタリングでの音量上げはVSTを重ね掛けし少しずつ音量を上げていくのが定石です。ひとつのエフェクトでいっぺんに音量をあげると音が詰まった感じになり聴きづらくなってしまいますが、重ね掛けして少しずつあげてやればすっきりまとめることができます。(1つのエフェクトにつき2~3dbずつ上げるのがいいらしい)
無論ミックスも重要で軽視してほしくはない要素ですが、結局のところ切り貼り式人力の肝は音素選びにあると思います。
焦げ果てた料理にどんな調味料をかけても決して美味くはならないのと同じで、ミックスでは音素選びの際の綻びを修正するのは厳しいです。それだったらもっと音素を精査すべき。
あくまでもミックスは"調味料"のようなものであるということを留意しておいて下さい。
ミックスについて「元の音素が既にミックス済みなのだからEQなどのミックスは必要ない」という意見を耳にすることがありますが、僕はそうは思っていません。
元の音素はその元の音源に合うようにミックスされたものであり、歌わせたい曲に合わせているわけではありません。確かに処理がなされていることを考慮すべきではありますが、それでもそのままでは最適とは言えないでしょう。
またあれやこれやと切り貼りしていればリバーブなどの効果は無に帰すほか、音量にも少しはばらつきが出るため、やはりミックスは多少はすべきだと僕は思います。
【さいごに】
ここまで書きましたが正直ニーズが読めずどういったことに踏み入って書けばいいか全くわからないので「こういうことが知りたい!」とか、また間違っていることなどありましたらコンタクトのほうをお願いします。
とくに後者に関しては間違ったことをそのままにはしたくないので、ぜひよろしくお願いします。
また、過去の編集後記にも音声や映像について詳しく記述しているため、そちらも合わせてご覧ください。
03/28 初版公開
03/29 推敲