早稲田大学では創立100周年記念事業の一環として、1987年4月に森と湖に囲まれた狭山丘陵に所沢キャンパスを開設した。この狭山所沢キャンパスには、旧来の学問体系を基盤とする既存の学部とは異なる、人間を中心においた総合科学を形成する新しい人間科学部が創設された。ここには同時に大学内の共同利用研究施設として、人間総合研究センターが開設されて、人文科学・社会科学・自然科学にわたる学際的な人間総合科学の研究プロジェクトが展開されることとなった。
早稲田大学大学院人間科学研究科の設置は、人間科学部の設置準備段階で提案されていたものであるが、学部発足後まもなく、その完成年度に大学院人間科学研究科を開設することが教授会で承認され、設立準備検討委員会が具体的な活動を始めた。1990年の学内理事会において、人間科学研究科という名称のもとに、人文科学・社会科学・自然科学の多様な分野を含む、生命科学専攻と健康科学専攻を擁する大学院を設置する計画が承認され、その後文部省に申請して認可された。
1991年4月に人間科学研究科の修士課程として24の研究指導が開設され、2年後の1993年3月には49人の修士(人間科学)を送り出した。これに続いて、1993年4月には博士課程として19の研究指導が設置され3年後の1996年3月には、課程内学位論文審査により4人の博士(人間科学)が誕生した。翌1997年からは課程外学位論文の審査も開始された。
2000年度以降には、社会人入試の開始、研究指導の再編成と人間科学専攻への一本化、入学定員の増加などを通して、新しい人間科学研究科の創造と展開に取り組んでいる。
2004年9月に人間科学部・大学院人間科学研究科からなる人間科学学術院が組織されたのを機に、2006年度より、これまで5つに分けられていた研究領域を8つに分けることで、研究・教育の内容の特徴を明確に打ち出した。
また、社会的ニーズに敏速かつ柔軟に応え、2007年度より社会人入試の一環として修士課程1年制コース(教育臨床コース)を開設し、実践的高度職業人の育成に努めている。