性的なお座敷遊びを強要され…元舞妓が「花街の闇」を告発した理由
<中学卒業の前に飛び込んだ京都・花街。そこでは、信じ難いセクハラ、パワハラが横行していた。【前編】”伝統”を告発した元舞妓独占告白「16歳で受けた壮絶セクハラ」に続き、桐貴清羽(きりたか・きよは)さんが体験した舞妓生活の深い闇、その【後編】をお届けする>

「あの腰使いは処女じゃない」と笑われ…
それでも客には逆らえない。しかも、そういったお客の「蛮行」以前に、お座敷の定番の「遊び」が、まだ16歳だった彼女にはつらいものがあった。
「お座敷遊びは、性的な動きを『楽しむ』ものが多くて。例えば、じゃんけんで負けた人がお座敷に横たわり、勝ったほうがその上にが馬乗りになって腰を上下させる仕草をするものがありました。上になっても下になっても、恥ずかしくてたまらない『遊び』でした。拒否はできません。『舞妓は子どもだから何もわかっていない』という大前提があるんです。だからそれを性的な動きとわかっちゃいけないんです。なにもわかっていない子どもだから大きな反応はしない、だけどなぜか、恥ずかしがっている。そんなようすをお客さんは喜ぶわけです」
言葉から想像すると、いたいけな少女を囲んでいたぶっているようにしか聞こえない。その「遊び」で、清羽さんが上になって腰を上下させたときは、見ていた客に「あの腰使いは処女じゃない」と言われ、周りにいた芸妓さんたちも笑っていたという。
そういった宴席に、まれに女性客がいることもある。その場合、男性たちはそうした「エロ要素」を消す。おとなしく酒を飲み、「ごく普通」のお座敷遊びに徹するそうだ。それでも、お客さんに女子大生がいたときは、その女性客を「下」にして、舞妓が馬乗りになるという場面があった。若い女性ふたりの「遊び」に「お客さんは、たいそう盛り上がっていました…」という。
「あんたが誘惑してんのやろ」
そんなセクハラ行為を人に相談しても「我慢せなあかんえ」と言われる。置屋のおかあさんに至っては「あんたが誘惑してんのやろ」とまで言われた。
「私は、舞妓のうちは未成年だし、芸事が主流だと思っていたんです。お座敷に出ても、せいぜい踊りを披露するくらいだと思っていた。だからお座敷が忙しくなって踊りのお稽古に行かれないのもつらかった。おねえさんにお稽古を頼んでもおねえさんも時間がない。想像とは違った世界でした」
彼女が在籍していた置屋では、着物も新調してもらえなかった。先輩からのお下がりばかり。さらに「舞妓は犬猫以下」であることを気づかされることもたびたびあった。
「あるとき、野良の子猫が家に入ってきてしまったことがあったんですが、おかあさんはその子猫をかわいがって、テーブルに上げてエサを食べさせている。その子猫が食べ終わるまで私たちの食事はお預けです。やっと終わったら、テーブルを消毒もせず、そのまま私たちの食事が並べられた。おまえたちは猫以下だよと言われているような気がしました」
自分のところが特殊なのだとも思った。が、現役時代、他の舞妓から似たような話を聞いた。その置屋では、あるとき飼い犬が残したエサの鶏ささみ肉が、そのまま舞妓の食事になったのだという。しかも犬に三つ指ついて「いただきます」とお礼を言ってから食べろと「指導」されたらしい。