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伊藤博康のテツな“ひろやす”の鉄道小咄

名古屋地下鉄の車両が、福井県と香川県で活躍中

2015年12月26日

11月25日公開の当コラムで愛知県ゆかりの車両、12月5日公開分では岐阜県ゆかりの車両が、それぞれ福井県で活躍していることをご紹介しました。

東海地方ゆかりの車両が他地域で活躍している例は、これらだけではありません。なんと、あの名古屋地下鉄の車両も、第二の人生(車生?)を他の地で送っています。今回は、そんな車両達をご紹介しましょう。

もと名古屋地下鉄の福井鉄道610形


上の写真をみて、もと名古屋地下鉄の車両とわかる人は、それなりの鉄道知識をお持ちの方でしょう。

この車両は、名城線を走り“黄い電”と呼ばれていた、黄色一色塗装の名古屋地下鉄1200形です。平成12(2000)年までに全廃されましたが、そのうちの4両が福井鉄道に来て、うち2両がこのモハ610-クハ610の2両編成となって活躍しているのです。

“黄い電”を利用されていた方でしたら、正面下の左右にヘッドライトと尾灯が縦に並んでいるのをみて、そういえば…と思い出せるかも知れません。

とはいえ、名古屋地下鉄時代には連結器下の排障器もなければ、パンタグラフもありませんでした。冷房もなく、客室は3扉でしたから、ずいぶんと改造されていることがわかります。

乗降扉の下になにやら付いていますが、これは軌道線用の低いホームで乗降がし易いよう、停車中にステップがでてくる装置です。

福井鉄道600形は、610形の両運転台車


このモハ602は、塗装こそ違うものの前述の610形と似ていますよね。同じ名古屋地下鉄名城線で、1200形と同じく1000系としてくくられた1100形が種車です。

1両の前後に運転台がついている両運転台車という点が、610形との大きな違いです。もともとこの形式が2両先に投入されたのですが、15mと短い車体の前後に運転台がついているため、客室が狭く、収容力がとても少なくなっています。

そのため、使い道が限られてしまい、相棒のモハ601は先に廃車となりました。このモハ602は、団体貸切や居酒屋電車などのイベント用として使われるほか、車両が不足した際の予備車としても活躍しています。

高松琴平電気鉄道で活躍するもと名古屋地下鉄車


この車両は、前述の2形式とちょっと違いますよね。名古屋地下鉄でも東山線を走っていた車両で、“ことでん”の愛称で親しまれる、香川県の高松琴平電気鉄道で活躍しています。

同鉄道は、琴平線・長尾線・志度線の3路線を有していますが、ここで東山線と名城線の車両が計28両も活躍しています。なかでも線形がよくない志度線は、運行される10編成20両のすべてが、もと名古屋地下鉄車両という珍しい線区です。短い車体が、急曲線の多い志度線に合っているためです。

福井鉄道とちがい、客室の乗降扉は3扉のままです。ただし、パンタグラフがついたり冷房化されたりと、福井鉄道と同じくいまの時代にあった改造がされています。

ここまで、東海地方ゆかりの車両が余所で活躍している例をご紹介してきました。このほか、名鉄岐阜市内線で活躍していたモ590形が高知県の土佐電気軌道で活躍していることを、以前の当コラムで紹介しています。

さらに、名古屋地下鉄はアルゼンチンにも行っていますし、JR東海や名鉄のディーゼルカーなどはミャンマーに行っています。

見かけなくなった車両は、解体されるばかりでなく、意外に広域に移動していて、各地でいまも活躍していることをご理解いただけましたでしょうか。

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