猛烈な勢いで感染拡大を続けるコロナ第7波で県内医療はひっ迫の度を増している。コロナ重点医療機関の千葉大病院(千葉市中央区)では医師や看護師の欠勤が相次ぎ、一般治療を8割以下に抑え、外科手術も絞り込みを余儀なくされている。医療崩壊を防ぐため、濃厚接触者とされたスタッフでも抗原検査で陰性が確認できれば勤務できるようにするなど人手確保に懸命だ。
同大学院呼吸器内科学准教授で同病院肺高血圧症センターの坂尾誠一郎医師(55)は2年以上にわたりコロナ患者を担当。医療ひっ迫には二つの状況があるといい、「一つは患者が増えること。もう一つは医療従事者の感染や濃厚接触で人手が足りなくなること」と説明する。
オミクロン株の派生型「BA・5」の拡大で感染者の総数が増え、同病院でも従事者の欠勤が相次いでおり、「医師や看護師の人手が足りず追い付かない。医療を提供できないストレスを感じる」と厳しい表情で語る。
スタッフに家庭内感染などの疑いがあっても、他院の発熱外来もひっ迫し検査もままならない。そこで同病院は国の方針を踏まえ、濃厚接触者とされた医師、看護師なども抗原検査で陰性が確認できればその日は働けるようにした。
午前8時に検体を提出すれば、10時ごろから勤務が可能。さらに、3日連続で陰性であれば「完全復帰」を認めフルタイムの勤務となる。医療を支える最低限の人員の確保に懸命だ。
同病院には中等症以上の患者が入院しており、コロナ病床は既に9割以上が埋まった。一方で、救急搬送困難の患者も受け入れている。高齢者施設のクラスターで感染したが入院を数十件断られた女性も運び込まれたという。
すでに通常医療への影響が出ており、「一般治療を80%以下に抑えて対応している。外科では医師が手術延期について対象を絞り込んでいる」と現状を明かした。
坂尾医師は「オミクロンは怖くないと思う人もいるかもしれないが、このまま患者が倍増していくと身近な人が感染し、重症化しなくても後遺症で長く苦しむことも起こりうる」と警鐘。人の移動が激しくなる夏休みについては「マスクを外した会食や飲酒などのリスクを一人一人が自覚し、旅行先や帰省先でも感染対策を」と呼びかけた。




























