須藤元気議員のオフィシャルサイトより
新型コロナウイルスの感染拡大によって経済的不利益を被る方々に対しての支援を求める声は少なくありません。与野党問わず大胆な支援策を言う政治家は多いですが、立憲民主党の須藤元気氏もまたツイッターにおいて盛んに「一人当たり10万円以上の給付」というような積極策を発信しています。
この須藤氏、野党議員として好きなことを言うのは良いのですが、海を越えてフィリピンから、氏が校長を務める英会話学校で働く先生が収入を断たれ窮状にあえでいるとの話が伝わってきました。
須藤氏は校長としてその声にどう応えるのでしょうか?
自身の学校の従業員には?須藤氏は議員の他にも多くの肩書きを持ちますが、そのひとつに「セブ島 QQイングリッシュ校長」という教育者としての顔があります。
QQイングリッシュ(以下:QQ)はセブでも最大手の英会話学校のひとつです。芸能人、有名人も多く留学し実績や評価も非常に高く、その名はセブ英語留学の代名詞と言っても良いでしょう。
須藤氏自身も以前にQQに留学した経験があり、その縁もあって校長に就任したと2018年6月23日のツイッターで報告しています。以降コンスタントに校長として活動しており、ツイッターおよび自身のウェブサイトにも「校長」の肩書きはしっかりと記されています。
現在フィリピンでは大統領が「違反者は射殺する」というほどの厳しい地域検疫体制がひかれており、原則外出禁止、許可がない場合は営業も停止しなければなりません。
QQでも授業がなくなり、それに伴い先生らの仕事もなくなり自動的に給料もストップしたというのです。
話をしてくれた先生は「働いた分だけ給料をもらう契約だから仕方ないんです」と肩を落とすばかりですが、一方QQではホームページなどで「教師の正社員雇用」をセールスポイントとして掲げています。この度のような事態において何の救済もないのに何が正社員なのかとの思いを禁じ得ません。
フィリピンと日本では雇用の制度が違うといえばそれまでですが、「WE ARE ALL ONE」とのグローバル・メッセージを掲げ活動をする須藤氏が校長として先生らの窮状をどう捉えるのでしょうか。
日本では野党議員として言いたい放題、自らの足元のフィリピンに関しては何もしない。これでは口では聞こえの良いことを言っていても行動すべき時に行動できる人とは思えません。
さらにこの4月2日、フェイスブック上のセブ関連のニュースが騒然となりました。何事かとリンクを辿ると、QQに自治体の市長が自ら乗り込み「なぜここは業務を続けているのか?」と問い詰めている非常に生々しい場面を動画で中継していました。この動画は4月3日現在28万回再生、9000件以上のコメントが寄せられており、大きな関心を呼んでいます。
先にも書いたようにフィリピンは厳重な地域検疫体制の最中ですが、QQでは講師を出勤させオンライン授業を開講していたのです。さらに悪いことにこの市長とのやり取りの中で学校の営業許可の期限切れが発覚しました。2月と3月の間、モグリ営業をしていたことになります。
平時の営業許可の問題ならペナルティを課された上で申請を提出すれば済む話ですが、今回は別の問題が懸念されています。
フィリピンでは今回の新型コロナウイルスに関連して労働者救済プログラムがあり、自宅待機により経済的なダメージを受けた事業の労働者に対して5000ペソ(約1万円・最低賃金ベースで約13日分の給料に相当)が支給されることになっています。しかし該当する期間に事業の営業許可がない場合、QQがこの5000ペソの支給に資するのか?という疑念が地元でもささやかれています。
仮定の話になりますが、ただでさえ収入が断たれている上にこの救済プログラムの適用もされないとなるとQQで働く職員の方々は非常に厳しい状況に置かれることになります。これは経営管理上の責任問題ということにもなりかねません。
もちろん学校の経営そのものに須藤元気氏が関わっているわけではないことは理解できます。
しかし須藤氏はここまで一貫して校長としての発信を続けてきたわけであり、この危機においてもやはり校長としての振る舞いが求められるところでしょう。せめて何らかのメッセージがあれば職員の方々も心強く感じるのではないかと思います。完全無視というのはいかがなものでしょうか。
元格闘家として、国会議員としての須藤氏の立ち位置、期待されるところは内外の枠を超えて「WE ARE ALL ONE」を体現するスケールの大きなヒーローの姿に他なりません。日本国民はもちろん、フィリピンの仲間の救済も願いたいところです。(取材・文◎田 聖子)