「いきなり何を言い出すんだお前は」
「ブルボンさんがね、14cmの定規を使ってたの。珍しいよね?」
「ん? ああ、確かに珍しいな」
「それでね、ライス思ったんだ。きっとあれは、ブルボンさんのトレーナーのサイズと同じなんだって」
「うん、もっと真面目に授業受けようか」
授業中に一体何を考えているんだ。
「違うよ、お兄さま! ライスはただ、ブルボンさんの定規が気になって、授業に集中できなかったの!」
「また始まったよ」
ブルボンに対して、恨みでもあるのだろうか。
「ブルボンさんはきっと、あの定規を持ち歩いて、アダルトショップに通ってるんだよ。長さとか選ぶ時に便利だし」
「長さとか言わないでくれる?」
「それでね、ライスもお兄さまと同じサイズの定規を、買ってきたの」
そう言って、ライスは定規を自分の股間に、ピッタリと当てた。股間から伸びた定規は、ライスの下腹部まで届いていた。
「お兄さまの、全部入るかなぁ」
「ちょっと待て。その定規の長さはどうやって選んだ? まさか目測で調べたのか?」
「ううん。お兄さまが居眠りしてる時に、直接測ったよ」
「直接!?」
ライスは頬を赤らめた。
「お兄さまも、あんなに立派なら、もっと早く見せてくれればよかったのに──」
「俺が、自分から見せたかのように言うのはやめろ! くそっ、なんで気付かなかったんだ」
担当ウマ娘に、寝込みを襲われる話は聞いたことがあるが、あそこのサイズを測られるとは夢にも思わなかった。
「もし起きちゃったら襲われるかもって、ドキドキしながら測ってたのに」
「お、襲うって、担当ウマ娘相手にそんなこと──」
「だってその時のライス、裸だったし……」
「裸っ!?」
「しかもこの定規みたいに、どこまで入るか確かめてたから──」
つまり彼女は、裸で俺のアレを自分のお腹に当てていたということだろうか。
「……気付かなくてよかったかもしれない」
「何でそんなこと言うの! ライスはお兄さまの上で、起きてほしい気持ちと、そうじゃない気持ちで葛藤してたのに!」
「想像したら恐怖でしかない」
ライスにその気があったら、寝ている間に、既成事実を作ってしまったかもしれないのだ。ウマ娘と縁を結んだトレーナーの中には、そういう人もいたのかもしれない。
「お兄さま、もしかしてライスに襲ってほしかった?」
「な、何だよ急に」
「だって、そんな顔してたから」
ライスは不敵な笑みを浮かべる。
「人間じゃ、ウマ娘の力には逆らえないもんね」
「頼むからやめてくれよ……」
ウマ娘がその気になれば、たとえ屈強で筋肉質な男だろうと、赤子のように扱われてしまうのだ。
すると、ライスは制服のスカートを摘み、ピラっと捲って見せた。
「それともお兄さまは、襲うほうが好き?」
挑発的な視線を向けてくるライス。スカートの中から、黒い下着がチラッと見え隠れしている。
俺は拳を握り締めて耐え凌いだ。
「お兄さま、必死で可愛い♡」
「ライス、大人を揶揄うもんじゃないぞ」
「見て見て、お兄様。口に挿れたら、ここまで入っちゃうよ。これじゃあフェラじゃなくて、イラマチオだね」
「お前のビジュアルで、イラマチオとか聞きたくなかった」
見た目は幼くても、中身はしっかり女子高生ということだろうか。むしろ、男でもドン引きするレベルの下ネタ度合いであるが。
「でもよかった。お兄さまのアレがこんなに立派で。今度ブルボンさんに自慢しちゃおうっと」
「おい馬鹿やめろ。恥ずかしいだろ!」
「ブルボンさんのおっぱいに挟んだらどうなるのか、試してきてあげるね」
「……」
それは正直知りたかった。
後日、トレセン学園では、定規を持ち歩く生徒が続出する。
「お兄さま聞いて!! さっきね、小指くらいの長さの定規を持ってる人が──」
「お前、定規持ち歩くの禁止な」