魔法科高校の五条悟   作:THE WORST

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追憶編通常投稿しました。



五条悟は絡まれる

 「……おはよう」

 

 自分以外誰もいない家。

 3年前からそうであるにも関わらず、未だ慣れない。

 つい癖でおはようと言ってしまう。

 そしてそれを返す優しい声も無意識のうちに期待してしまう。

 やはり魂に刻まれた記憶は強い。

 人が一人で住むには広過ぎる家は自分が一人であることを嫌でも自覚させるため、あまり好きではなかった。

 

 「ハァ…いつまで引きずってんだか……」

 

 自分はこんなにも女々しい人間だっただろうか。

 いつまでも過去に囚われて、抜け出すことができない。

 『五条悟』という皮を被らなくてはメンタルを保つことさえできない。

 最強はあくまでも力の話でメンタルまで最強というわけにはいかなかった。

 力を持とうが持たまいがその人の心の強さまでは変わらない。

 

 「行ってきま……っ」

 

 (誰もいないのに俺はなんで挨拶してんだろ……)

 

 五条は玄関、扉前で一瞬止まるがすぐに扉を開けて外に出た。

 今日は快晴。

 雲一つない眩しい空は五条の心を照らしてくれる。

 なぜ空がそんな思いを抱かせるのか、五条悟にはわからなかったがきっと空は五条にとって『癒し』なのだ。

 

 ◇◇◇

 

 「あれは……」

 

 日本人では珍しい長身、何色にも染まっていない無垢な色の白髪。

 後ろ姿だけだが特徴的な格好はそれが誰なのかをすぐに教えてくれる。

 

 「悟く〜ん!!」

 「??……はッ!?」

 

 いきなり名前を呼ばれた五条は反射的に振り返る。

 アイマスク越しにその人物を視た。

 フワフワした黒髪巻き毛ロングにトランジスタグラマーが特徴的な少女。

 

 (七草真由美じゃん!?)

 

 十師族。

 所謂、ナンバーズと呼ばれる魔法一族の中でも特に名門に振り分けられる七草と四葉。

 その前者である七草のお嬢様である七草真由美。

 原作においても人気キャラで能力も十師族に恥じないモノを持っている。

 原作では達也が絡まれているシーンがあったので勝手に達也が絡まれるんだろうと考えていた五条はまさか自分にその矢が飛んでくるとは思ってもいなかった。

 

 「おはよう、悟くん!」

 『おはよう、悟くん!』

 

 見る人を魅了するような笑顔。

 きっとこれを向けられた人は老若男女問わず虜にされてしまうだろう。

 その笑顔がなにかと重なった。

 真由美の笑顔になにかの面影を見るがそれは一瞬で次の瞬間にはその影は消えていた。

 

 「悟くん?」

 

 反応のない五条に首を傾げる。

 

 「……生徒会長が俺に何の用?」

 

 挨拶は返さなかった。

 大して仲良くもないのに挨拶を返すのは五条ムーブの風上にも置けない行為だ。

 

 「あら、用がないなら声を掛けちゃダメなの?」

 

 (うぜー!!)

 

 首を傾げながら問うその姿は可憐だった。

 一般人がやれば痛々しいだけかもしれないが美少女がやればそこに華が生まれる。

 だが五条にとってはこの上なくうざく感じた。

 原作知識のある五条からしたら今の真由美は猫を被っているのが丸わかりだからだ。

 

 「とりあえず死ね」

 

 辛辣に返しつつ歩き去ろうとする。

 しかしそう簡単に逃がしてくれる真由美ではなかった。

 

 「もう!ダメよ、悟くん!女の子にそんなこと言っちゃ!」

 

 そう言いながら五条の左腕に抱き付く真由美。

 

 「は!?おま、なにして……!?」

 

 真由美のいきなりの行動に赤くなり狼狽する。

 

 (だ、ダメだ!女に対してドギマギするとか五条悟じゃねぇ!落ち着くんだ!)

 

 しかし女性経験があまりない五条にとって落ち着くというのは無理があった。

 

 「じゃあこのまま学校行きましょう」

 

 うふふと笑う真由美に五条は悪魔をみた。

 

 (最ッ悪だ……)

 

 生気のないゾンビみたいな顔になった五条をみながら真由美は心から愉快そうに笑った。

 

 「そういえば五条くんはなんでアイマスクつけてるのかな?」

 

 五条が愛用するアイマスク。

 やはり気になるのだろう。

 ファッションというにはあまりに奇抜過ぎるし、なによりアイマスクの素材を見る限りマスク越しに何かを見ることはできないだろう。

 にも関わらず、五条は普通に歩けているし会話しているときは対話者の方に顔を向けている。

 魔法を使えば可能かもしれないが五条が魔法を使った形跡は一切ないことから魔法は使っていないことがわかる。

 

 「ハァ……応えなくちゃダメなのかよ、それ。プライバシーの侵害でしょ」

 「お姉さん教えて欲しいなぁ〜」

 

 真由美の対応に疲れた五条は素直に話してしまおうか考えた。

 勿論、呪術廻戦の設定から引っ張ってきた説明だ。

 だが、このまま説明してしまえば、相手の思う壺だ。

 

 「教えるわけないだろ。てかさっきから暑い!」

 「え~」

 「え~……じゃあねぇよ!離せ!」

 「もう、しょうがないなぁ」

 

 真由美は仕方ないと言わんばかりに五条の腕に抱きつくことを止めた。

 その態度に脳の血管が数本はち切れそうなくらいの苛立ちを覚えた。

 

 「あ、そうだ悟くん」

 「……あ?なんだよ?」

 「今日のお昼、生徒会室で一緒に食べない?」

 「行くわけねぇだろバ~カ!」

 

 五条はお返しと言わんばかりに中指を立てながら舌を出した。

 

 「待ってるからね~」

 

 歩き去る五条の後ろ姿にそう投げかけた。

 五条は特にリアクションすることなく、早歩きで行ってしまった。

 

 ◇◇◇

 

 (ちょっとからかい過ぎたかしら)

 

 真由美は先程まで話していた少年のことを考えていた。

 

 五条悟。

 彼は奇妙な生徒だった。

 まず彼はものスゴク優秀だ。

 天才といってもいいかもしれない。

 事実入試成績は筆記、実技ともに司波兄妹をも上回る高得点を叩き出した。

 そんな五条を真由美は十師族の一員として調べないわけにはいかなかった。

 そして調べた結果わかったのは五条悟は一般家庭出の魔法師だということだ。

 無論、そんなはずがないことは重々承知だ。

 十師族に匹敵するほどの実技成績を収めた司波深雪。その彼女すら凌駕する成績を出すのは普通ではない。

 にも関わらず、七草家の力を持ってしてもそれ以上の情報が全く手に入らないというのはそれほど完璧に情報が隠されているということだ。

 

 (それに彼の苗字『五条』……確かに魔法師ではない一般家庭では漢数字を使う苗字はあるけど……)

 

 得体の知れない少年、五条悟。

 だが真由美は彼のことをそんなに悪い人間ではないと思った。

 確かに遅刻癖や相手を煽るような言動をしているが優しい一面もある。

 さっきだって本当なら真由美の腕を無理矢理解くことはできた。

 しかし彼は嫌がりながらもそれはしなかった。

 それに歩くスピードも真由美に合わせていた。

 

 (まぁ、お昼に話せばいいわよね)

 

 五条は行かないと言っていたが真由美は五条は来ると確信していた。

 今までの行動を視る限り、直接頼まれれば嫌がるだろうが断らないはずだ。総代は断ったが…

 もしも来なければその時はまた自分から会いにいけばいい。

 

 「フフフ、面白くなりそうね」

 

 いじりがいのある後輩が入ってきたことに真由美は嬉しそうに笑った。




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ありがとうございます。
この作品読んでいる、あるいは読んだことがある人がこんなにいるんだと思うと少し緊張してしまいますが投稿はしていこうと思います。

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