NPO法人日本ECMOnet COVID-19 重症患者状況の集計
CRISIS の公開データは、冒頭にも述べましたように、全国の有志が善意で入力したデータに基づいていて、人工呼吸ならびに ECMO を必要とされたコロナ感染症の方のデータです。当然、コロナ感染症全ての方を代表するものではありません。 なお、この公開データは様々な方に引用いただいておりますが、引用されたデータをもとに述べられていることについては、私たちは一切関知するものではございません。本報告は人工呼吸器/ECMO装着者の転機を示したものでありこの合計がCOVID-19の総死者数の指標とはなりません。
緊急告知 オミクロン株、ワクチン接種の影響について暫定的ではありますが、調査を行いました。本ページの一番下に掲載しておりますのでご参照ください。 2022/3/25
国内のCOVID-19におけるECMO治療の成績累計
COVID-19重症者におけるECMO装着数の推移
国内のCOVID-19におけるECMO治療の日数と転帰(確定症例のみ)
国内のCOVID-19におけるECMO治療の年齢分布と転帰
国内のCOVID-19におけるECMO治療の性別と転帰
挿管人工呼吸からECMO装着までの日数と転帰(確定症例のみ)
国内のCOVID-19ECMO症例における肥満度分布
- 死亡率
- 38%
- 40%
- 38%
- 34%
- 21%
- 31%
国内のCOVID-19ECMO症例における導入前のPEEP値と転帰
国内のCOVID-19ECMO症例における導入前のPF比と転帰
国内のCOVID-19における人工呼吸治療(ECMO除く)の成績累計
国内のCOVID-19重症者における人工呼吸器装着数(ECMO含む)の推移
国内のCOVID-19における人工呼吸治療(ECMO除く)の日数と転帰
国内のCOVID-19における人工呼吸治療(ECMO除く)の年齢分布と転帰
国内のCOVID-19における人工呼吸治療(ECMO除く)の性別と転帰
国内のCOVID-19における人工呼吸治療(ECMO除く)の肥満度分布
- 死亡率
- 25%
- 25%
- 19%
- 16%
- 12%
- 18%
週ごとのECMOと人工呼吸器の開始数
月ごとのECMO開始数と開始平均年齢
月ごとの人工呼吸開始数と開始平均年齢
第五波が終息した時点でのデータです。まだ治療継続中の方がおられるので第五波については最終データとはなりません。第四波以降、若年者の重症化が目立っております。ここでは人工呼吸だけで管理した方と、さらにECMOに移行した方をあわせた救命率を示します。徐々に現象していた人工呼吸からECMOへの移行率ですが第五波では上昇に転じました。その原因については不明です。ワクチン接種により若年の重症者が相対的に多くなったこと、デルタ株による重症化などが要因としてありえるかもしれません。肺の状態が慢性化し長期のECMOで亡くなられる方も散見されます。2021/11/10
NPO法人 日本ECMOnet
CRISIS データベース調査報告
【データ登録状況】
CRISISにおける2020年2月9日以後の全登録症例は2022/3/25日現在で12331例である。推測ではあるが全国症例のほぼ80%(ECMO症例については90%以上)の人工呼吸/ECMO適応した重症症例をカバーしていると考えられる。そのうち人工呼吸開始日、終了日(ECMO症例含む)および転帰が判明している重症症例は9893症例となっている。
これらのデータを継続して集積しているデータベースは国内で他に見当たらないことから、2回目高齢者ワクチン接種後のCOVID-19重症例についての暫定調査を急遽行いその結果抜粋をここに公表する。急ぎの調査であったため統計学的処理などに不備がある可能性もあるのでご容赦願いたい。
2022/1/1 - 3/12 の間で転帰まで判明している重症症例(人工呼吸/ECMO症例)は136施設 822例(予後判明634例) であった。そのうち45施設からの協力をえて207症例(3/12時点で予後判明149症例)の重症例について検討を加えた。協力要請内容は重症化リスクの有無(下図参照)の確認だけとし、それ以外はCRISISに蓄積されたデータから解析を行った。CRISISデータでは入力負担軽減のため高齢および肥満以外の重症化リスクの有無調査はおこなっていない。図に示すように登録済施設の分布は全国的な偏りは見られず、我が国の現状を把握するための定点観察としてのデータ利用を行うに、妥当な分布であると考えられた。
【重症化リスク】
主にオミクロン株が流行したと考えられる2022年1月以降に発生した重症コロナ患者は、前述の定点観察の結果、CRISISデータベース上で207例の登録がみられた。その207例のうち、新型コロナウイルス感染症以外の病態で重症となったコロナ陽性例(急性大動脈解離、心筋梗塞、脳梗塞、肺塞栓症、等)は、47例(22.7%)に認められた。
同47例を除外したCOVID-19を主病態とした重症患者は160例であり、そのうちワクチン未接種例または1回接種例は79例(49.4%, 1回接種例は3例)、ワクチン2回接種例は74例(46.3%)、ワクチン3回接種例は7例(4.4%)であった。12歳以上の人口の2回ワクチン接種率が概ね80%であることを考慮すると、ワクチン未接種または1回接種のみの集団における重症化率は、ワクチン2回接種済みの集団における重症化率に比較して有意に高いと推定できる。(データ登録地域の正確なワクチン接種状況が把握できていないため、日本ECMOnetでの同統計量の比較検定は実施不可能であった。)
また、重症化した患者の詳細を調査すると、ワクチン未接種または1回接種の母集団における重症化例と2回接種済みの母集団における重症化例では、それぞれ肥満患者(BMI≧30)の割合には有意差を認めなった。その一方で、それぞれの集団における重症患者のうちで高齢者(65歳以上)の占める割合と重症化リスク(1.高血圧、2.糖尿病、3.免疫抑制療法、4.慢性腎不全、5.慢性呼吸不全、6.慢性心不全、7.悪性腫瘍既往)を有する患者の割合は、2回接種済みの群で有意に多かった。
上記統計量の比較は、①我が国の全ワクチン未接種または1回接種群における高齢者(65歳以上)の割合とワクチン複数回接種群における高齢者の割合が異なる可能性、②オミクロン株流行期における予測抗体価の平均値が接種時期の関係で高齢者と若年者で異なる可能性、の主に2つの交絡因子の存在もあると考えられるため、比較検討結果が真実を表してるとは言えない。しかし、少なくとも高齢者やワクチン2回接種から長時間が経過した例、および重症化リスクのある症例においては、そうでない患者と比較して、ワクチンを2回接種しても重症化する症例が多く存在することは真実と思われる。
【重症病態の推移】
参考データとして、2020年2月から2021年12月までに病態についての詳細な報告のあった重症184例(上図9施設から報告)についてCRISISデータベースの記録を調査した。その結果、184症例中14例(7.6%)がコロナ以外の病態で重症管理を要したCOVID-19症例であったことがわかった。これは2022年1月からのオミクロン株流行期におけるもの(47例/207例=22.7%)と比較して有意に少なかった。
【予後調査】
2022年1月から2022年3月初頭までにCRISISに登録のあった重症コロナ207例について、予後調査を実施した。予後が確定し、報告のあった149例が解析対象となり、その149例のうちワクチン接種者は93例、ワクチン未接種は56例であった。ワクチン接種群の死亡率は18%であったが、ワクチン未接種群の死亡率は34%と約2倍に達しており、両群には統計学的な有意差がみられた。ワクチン接種は、重症患者の予後を改善する可能性が示唆された。
一方、CRISISデータベースを使った本調査では、重症登録のあった207人の患者のうち、47人は新型コロナウイルス感染症ではない病態によって重症化していた。その47人を除外し、真に新型コロナウイルス感染症によって重症病態となった160人にて同様の解析をした。その結果、予後確定の報告があった107例が解析対象となり、ワクチン接種者は63例、ワクチン未接種は44例であり、
ワクチン接種群の死亡率は16%で、ワクチン未接種群の死亡率は27%で、ワクチン未接種群において死亡率が高い傾向がみられたが、統計学的な有意差は認めなかった。コロナが直接的な重症化の病態であった107名の解析においても、有意差は認めないものの、ワクチン接種は重症化死亡を半減させていることがわかった。
新型コロナウイルス感染症は健常人にのみ感染するわけではなく、基礎疾患を有する患者にも感染する。コロナが直接的な重症化の原因とはならなかった場合でも、コロナ感染が間接的に基礎疾患を増悪させることは充分に考えられる(コロナ感染による心不全の増悪など)。そのため、ワクチン効果について議論を展開する際は、重症病態に対する新型コロナウイルスの影響の濃淡に関わらず、重症登録された全患者を対象とした解析を本解析として採用する方が、社会の現状に則していると考える。
総じてワクチン接種は、重症患者の予後を改善する可能性が示唆された。