メガソーラー建設現場から土砂流出 熊本県南関町、8月豪雨で

長妻昭明、伊藤秀樹
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 民間事業者が熊本県南関町小原の山林で計画した大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設現場から、8月の大雨などで多量の土砂が河川や水田に流出する被害が起きた。県が林地開発許可を出したが、手続きは適正だったという。

 事業者は南関ソーラーファーム(福岡県飯塚市)。敷地42ヘクタールの山林の一部を伐採して太陽光パネルを設置し、出力34メガワットの発電所を設置する計画。県によると、8月11日以降の記録的な大雨で土砂が流出し、南関町や和水町の水田60カ所で被害が確認された。同社は現在、流出した土砂の撤去と防災工事を進めているという。

 県には2019年7月に林地開発の申請があった。県は森林法に定める4要件「災害の防止」「水害の防止」「水の確保」「環境の保全」に照らして審査し、同年9月に林地開発を許可。造成工事着手前に調整池を設置する防災工事を完了させることが許可の条件だったが、4月に事業者が防災工事完了前に造成工事に着手していたことが県の現地調査で判明し、文書で指導。5月と7月にも防災工事が終わっていないのに造成工事が中止されていなかったため、行政指導したという。県は「林地開発の許可に問題はない。事業者が防災工事完了前に造成工事に着手したことが被害の原因だ」としている。南関ソーラーファームは「県と町に指導していただき、まずは防災工事を完了したい。被害にあった住民には協定書に基づいて補償していく」とコメントした。(長妻昭明、伊藤秀樹)