ハルの話は悩みまくったんですけど、まぁ原作のように出来なかったんで適当にしました。
取り敢えず五月いっぱい使って応募用の小説も完成しましたんで、ゆっくりにはなると思いますがハーメルンにも戻って来ます。
また応募用の小説を書くとは思いますが、気長にお待ちください。
「成程、貴方にとっての愛についてはよく理解できたわ」
綱吉の口から語られた愛、それを聞いていたビアンキは一つの答えを得た。
どうやら自分はこの少年のことを誤解していたらしい。
一人を愛する者としてこの少年を、沢田綱吉を見くびっていた。
「私の愛が真面目で無いと言う事、貴方はそれを言っていたのね」
ならばこそ自分がすべき事はただ一つ。
「それでも私はこの愛を貫き通すわ。私の胸の内にあるこの感情を、私は愛と名付けたいのだから」
「―――――――愛は肉欲、だけどそれは切り離せないものだ」
ビアンキの言葉を聞いた綱吉は語り始める。
今までの綱吉の物とは思えないような口調で、まるで別人が話しているような印象を植え付けさせた。
だがここに居るのは間違いなく沢田綱吉であることは間違いなかった。
「その愛、最後まで貫き通すが良い。応援しているぞ」
「ええ。分かったわ。リボーンを狙う魔の手から私は必ず守って見せる」
「それならリボーンを託すことが出来る。ああ、本当に安心した」
かつて神話の舞台にはバベルの塔と呼ばれる天にも届く巨大な塔が存在した。
神は人間が犯した過ちを罰する為に塔を破壊する。その後、人間達から言葉を剥奪した。
この時剥奪した言葉を統一言語と言い、これを奪われた人間達は互いに傷つけ合い争うようになったのだ。
――――しかし、話し合えば分かることもある。
神に言葉を奪われて争うようになったからと言っても、人はこうして分かり合うことが出来るのだ。
「おいダメツナ。綺麗ごとで誤魔化しているが要するにオレを生贄にしたいだけじゃねぇか」
尤も、相互理解と言う名の取引の材料にされた生贄(リボーン)からしたら堪ったものじゃないが。
「良いじゃん。ビアンキ美人なんだし、リボーンみたいな女泣かせな奴でも一生養ってくれるよ。地下室で」
「それは世間一般で言う監禁となんら変わらねぇじゃねえか」
「別に良いんじゃないの? 俺が被害にあうわけじゃ無いんだし…………」
「本当に他人事だな」
「実際他人事だしね。リボーンの結婚生活がどうなろうと知った事じゃないし。まぁ流石に命の危機になったら助けるけど」
「そうか。ならオレもお前の将来が女関係で悲惨な目にあっても助けないからな」
「いや、俺の事を好きになってくれる女の子なんて居ないから。もし居たとしたらそれってどんな奇特な人間って話だよ」
「……………少なくとも二人は居るんじゃねぇか?」
そう言ってリボーンは綱吉の背後、大凡三百メートルくらい離れた場所に居る二人の少女に視線を向ける。
片方はユニ、もう片方は金髪の少女だった。
目を擦ってもう一度確かめる。すると金髪の少女の姿はまるで最初から居なかったかのように全く見えなくなっていた。
「…………おい、ちょっと待て。なんか一人増えているような気がしたんだが」
「気のせいじゃないの?」
全く興味無さそうに、実際に興味が無いのだろうが、そんな風に振舞う綱吉にリボーンは何とも言えない視線を向ける。
恐らくだが今の沢田綱吉に何を言ったところで無駄だろう。
「そうか。なら気のせいだな」
だが、マフィアのボスとしてや学業に関する教育こそ任されているものの、女関係は任されていない。と、いうかそこまでは面倒を見切れない。愛人が沢山居るリボーンならば扱い方や接し方などを教える事が出来るとは言え、女心は難しいのだ。その上、女性に対して優しく振舞うのは紳士としての嗜みである。
こういう事は一度痛い目を見ておかないと学習しないのだ。
本当に大変な事になる前に手助けはするつもりだが。
「ま、ビアンキは良いとして…………えっと、きみの名前は何だったっけ?」
「ハルです! 三浦ハル!」
「ゴメン。ちゃんと覚えれていなかった。でも今度は覚えたよ」
綱吉はハルの名前を聞き、顔を覚える。
「さっきも言ったけどこんな産業廃棄物なら喜んで上げるから」
リボーンの土踏まずが再び綱吉の後頭部にフィットする。
頭に走った激しい痛みに綱吉は悶え苦しむ。
「ま、まぁ、リボーンにも事情があるわけだし。そういうのは当人で話しあった方が良いよ。正直な話、俺に話を振られても何にも答えられないからさ」
後頭部を蹴られた痛みで涙を流しながらも綱吉はハルにそう告げる。
「それじゃあ、俺はそろそろ学校に行かなくちゃいけないから行くよ…………三浦さんも遅刻しないようにしなよ」
自分の言いたい事のみ告げて綱吉はこの場から走り去った。
口で言ったようにそもそもとしてこの一件、綱吉は全く関係無いのだ。
リボーンが原因の騒動に巻き込まれた被害者に過ぎない。
それに、全く関係無いが今日が風紀委員が持ち物検査をやるのだ。別に校則で違反している道具を持っているというわけではないが、もし遅刻でもしたら何をされるか分かったものじゃない。
風紀委員会は見た目通りの不良ではあるものの、所属している生徒に関してはかなり礼儀正しい。ただし、そんな彼等の頂点に立つ雲雀恭弥だけは話が別だ。
以前の決闘騒ぎが原因なのか、あの日以来睨まれている。
確かに自分は褒められた生徒では無いだろう。しかし、不良が多い並盛中で何故劣等生である自分が目を付けられるのだろうか。
もしここで遅刻なんてしてしまったら余計に睨まれることになるだろう。
だからこそ綱吉は逃げるように走り去った。主にこれからの自分の学校生活の為に、逃げ出した。
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「納得いきません!!」
逃げるように走り去った綱吉と、そんな彼を追いかけるように去っていったリボーンとビアンキの後ろ姿を思い出しながらハルは学校に向かっていた。
怒っている理由は半ば不条理なモノだという事は自分でも分かっているが、それでも怒らずにはいられなかった。
綱吉からしたら完全なとばっちりでしかないのだが。
「次は必ず、リボーンちゃんの事で話し合ってみせます!!」
彼の語った愛に対して何も言うことが出来なかった。
だから今度会った時、ちゃんとリボーンのことについてしっかりと話し合おう。
そう考えつつ文句をたれながら道を歩いていた時だった。
何者かに背後から襲われたのは。
「きゃっ!? い、一体何をするん――――!!?」
「うるせぇ!! いいから大人しくしやがれ!!」
突然身に襲った出来事に文句を言おうとした瞬間、ハルの頬に軽い切り傷が出来る。
切り傷が出来た原因は背後で自身を羽交い絞めにした男が持っていたナイフに切り付けられたからだ。
「ヒッ……………」
自分が置かれている状況を理解した、理解してしまったハルは恐怖で身動きが取れなくなってしまう。
凍り付いたかのように恐怖で震えるハルを見て、男は笑みで顔を歪める。
そして男はハルを連れ去ろうとして、
「――――今日は遅刻確定だ」
背後から現れた綱吉の奇襲を受ける事になった。
綱吉の蹴りを背中に喰らった男はその衝撃でハルを放してしまう。
「こっちだ!」
「は、はひっ!!」
男の腕の中から解放され自由になったハルを抱き寄せ、自分の背後に居るように促す。
ハルは怯えながらも綱吉の背後に身を潜めるようにして隠れる。
「本当、何でこんなに治安が悪いんだよこの町は…………雲雀さんちゃんと仕事してよ」
「て、てめぇ…………よくもやってくれやがったな。ヒーロー気取りか?」
この町の治安を守る風紀委員長の顔を思い浮かべながら文句を垂れていると、男は怒りの形相を綱吉に向ける。
しかし綱吉は男からの殺意に対して冷ややかな視線を向けた後、ハルに向かって笑みを浮かべた。
「無事で良かったよ。嫌な予感がしたから戻って正解だった」
そう告げると綱吉は男に向かって駆け出した。
その後ろ姿を見て、ハルは恋に落ちたのであった。