【メーカー探訪】MOON GUITARS ~PGM乳井和彦氏の歴史と経験から生み出される珠玉の名器たち~
記事中に表示価格・販売価格が掲載されている場合、その価格は記事更新時点のものとなります。
K.nyuiモデル
K.nyuiのお名前が入ったモデルも多数あります。
MOONの中でも特にK.Nyuiモデルはどういった点が違うのでしょうか...?
「やっぱり日本の会社が買える材には限度があって、どうしてもアメリカ製ギターのような本当に硬い材は買えない訳で。でも日本に入ってくる材の中でも硬い材があるので、その選定からやるんだよね。で、組み込みや仕上げなんかまでを自分が口を出して手を出して行うのがK.Nyuiの名前が入ったモデルなんだ。」
基本的な造りはすべてPGMのハイクオリティなレベルを維持しているにもかかわらず、更にシビアな材選定や組み上げのマッチング(硬いネックと、その硬さにあったボディの組み合わせ)を乳井氏自身で関与するK.Nyuiモデル。ゾクゾクします。
PGM乳井氏が生み出した現代の定番スペック
ツバ出し22フレット指板
昔ESPにいた頃、Charさん用にSTを作ることになって。21フレットで作り終えたんだけど、Charさんはムスタングを使ってたから22フレットが良いって言われて、「どうしようかなぁ~」と悩んでたら「ハッ」と閃いたんだよね。指板を延ばせばイイんじゃないかって。その後Tom Andersonなんかもしれを見て、「これは良いアイデアだ!」って。そうやって定番化していったんだよね。
今では様々なメーカーが採用しているツバ出し指板。スケールを変えずにフレット数を増やせるというメリットが享受できます。
ブラスナット
ルカサーのモデルを作るとき、赤いボディにゴールドパーツで派手だから、「ナットもゴールドにしよう」ってなって。それが始まりなんだよね。
ブラスナットも乳井さんが生み出したんですね!?
カーボンロッド
ベースを作るときはネックに鉄を入れたほうが良い音するんだよね、ネックの剛性が上がって。だからネックには鉄を入れたいんだけどさ、重くなっちゃって。ヘッドが落ちちゃうでしょ。だからどうしようか、ってことでカーボン入れたんだよね。そうしたらすごく音が良いんだ。
カーボンロッドまで...
乳井さん、ホントにアイデアの宝庫。
オイルフィニッシュ
オイルフィニッシュも日本でやり始めたのはウチなんだよ。昔ウォルナット材を使ったMOONのベースを作ってね、当時「塗装してくれ」って言われたんだけど、いやぁ~、ウォルナットは塗装しちゃうと安っぽくなっちゃうからオイルがいいんじゃないかって提案して。やり方は自分で考えたんだけどさ。やっぱりオイルのほうが高級感出るんだよね、ウォルナットは。コアなんかもそうだよね。木材によって塗装した方が良いか、オイルで仕上げたほうが良いか、判断するんだ。
MOON GUITARSの高い品質を維持しながら製作しているPGMの代表、乳井和彦氏(左)とその後継者、吉田恵一氏(右)。
今回はお忙しい中ありがとうございました! 今後もハイクオリティな楽器をお待ちしてます!!「
乳井和彦氏プロフィール
青森県出身。クラシックギター製作家茶位幸信氏のもとでギタービルダーとしてのキャリアをスター トさせ、ギター製作、ひいては木工技術において知識と経験を蓄積。その後フェルナンデス、ESPに勤務して舞台をエレキギター、ベースに移してPGMを設立。Steve Lukather、Larry Graham、桑田佳祐といった数々のトップアーティストの楽器を手がけ、日本のトップビルダーの一人として世界に名を馳せる。