パワポでもここまでできる!米財務省から学べる美しい資料作りのポイント

Twitterで紹介されていたこの資料。
実際見てみたらホントに美しい資料だったので、どんな点がよかったのか、また自分の資料作りに生かしていけそうか、ポイントを抽出してまとめてみようと思います。

「ページタイトル」と「メッセージライン」を分ける

レイアウトは以下の画像のように要素が配置されています。

特徴的なのは、「ページタイトル」と「メッセージライン」を分けていること。これは自分も前々職のコンサルティング会社時代に馴染んだ形ですが、そこから移ったあとは、この区別ができていない例をたくさん見かけました。
ページタイトルを大きなフォントで載せることはスペースの無駄使いになりますし、逆に主張したいことを小さな領域に押し込めてしまうと無視されてしまう恐れもあります。

用途にもよりますが、調査レポートなどはこうした形の方が、要点が読み手に伝わりやすいのではないかと思います。


絶対値より、変化率や差分に注目する

グラフを使用する場合、そのほとんどは「変化の様子」や「項目間の差分」を見せたいはずです。
多くのスライドでは、グラフの中に変化率や差分の数値を示し、そこから言えることをメッセージラインに言葉で表しているパターンが多く見られました。

縦軸を省略することでスッキリと

前述の理由もあり、絶対値にあまり意味がない場合は、その縦方向の目盛りや補助線を省略してしまっている場合も見受けられます。またどのグラフも共通して、縦軸自体は描かれていませんでした。

デフォルトのデータラベルや凡例はできるだけ使用しない

折れ線グラフなどでは、グラフ領域の中や線の終わり部分に、同色で系列名が描かれているパターンが多かったです。これだと目を行き来させることがなく、すぐにわかります。

またデータラベルも、どうしても示しておきたいようなキーになる数値のみ、そばに見やすい大きさで添えられています。

同色系でまとめる

棒グラフの場合は、同系色でまとめられていることがほとんどです。逆に折れ線グラフの場合は、系列を間違えないように、はっきりと別の色で分けられている場合が多いです。ちなみにこの配色はWindowsデフォルトのようです。

引き出し線をうまく使う

僕の場合、グラフ内へのコメントは「吹き出し」をよく使ってしまうのですが、あれが散乱するのは美しくありません。代わりに、引き出し線をうまく使うとスッキリした印象がキープできます。

美しい資料作りのポイントまとめ

これまでに出てきたポイントをまとめると…

  • そのグラフで何を言いたいか、明記している
  • 言いたいことの根拠となる数値(特に変化や差分)は思いっきり強調する
  • 一方で、関係のない数値やデータはひたすら隠す
  • 色数を制限している(棒グラフは同色系統、折れ線は多色)
  • Excelデフォルトのグラフを貼付けて終わり、にはしていない

一方で、我が国日本の財務省が出しているパワーポイント資料から、グラフの掲載されたスライドを抜き出してみました。

財務省 平成24年度予算政府案
http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2012/seifuan24/yosan001.pdf

見た瞬間、テンションが下がるようなスライドですが、前述のポイントのほとんどが守られていないということがわかります。正直これを使って説明されたら、数分で寝るか携帯いじりだす自信がありますね。
もちろんプレゼン用か配布資料用かなどの違いもあるとは思いますが、スライドとドキュメントが一緒になってしまったもの、いわゆる「スライデュメント」の文化からは日本の公共機関もそろそろ脱却してほしいなとは思います。

追記

スライド作成についての本は様々出版されていますが、上で挙げたポイントに一番近い内容が書かれているのが「外資系コンサルのスライド作成術」ですね。発表スライドというよりは、分析レポートや企画書作成の参考になります。

通常のプレゼンテーション用に作るのであれば、「プレゼンテーション Zen」がやはり鉄板ですね。

  • 通りすがり

    まず、参考になる記事ありがとうございます。

    ただ、最後の日本の財務省資料の画像との比較のところは、ちょっと違うんじゃないかと思います。この画像は見やすい部類に入ると思いますよ。少なくとも私はこのぐらいのスライドで、数分で寝るか携帯をいじりだす自信はありません。(日本の財務省のpdfは全体としてみれば見ずらいですが。)

    例えば、4条公債と特例公債の棒グラフを同色にすると、逆に意味が分かりにくくなるし、歳入と歳出の変化を表す折れ線グラフも、歳入が青、歳出が赤と直感的に色づけされています。

    前半の米財務省の資料のところの分析はなかなか良かっただけに、最後のところは蛇足ではないかと思いますね。もしくはもうちょっときちんと分かりにくいスライドにした方がよかったと思います。結論ありきで適当にとってつけた感が否めません。

    それと、何かをおとしめて自分の記事の有意性を高めようというのはあまり感心できませんね。例えば、あなたのブログのデザインやレイアウトだって、海外の洗練されたブログと比較すれば、それこそ「見た瞬間テンションが下がるようなブログ」であるとも言えるんですから。

  • 名も無きリーマン

    スマートな資料作りがなかなかできずに悩んでおりましたので大変参考になりました。
    今度のプレゼンで早速実践してみたいと思います。

    >通りすがりさん
    グラフのご指摘は一理ありますが、私にはこの記事での趣旨と少しずれているように感じられます。
    取って付けたと吐き捨てるにはいささか根拠が足りないかと。

    比較対照の悪例として既存の資料を名指しで使用するのは褒められた行為でないことには得心がいきますが、
    揚げ足をとるような表現には正直不快感を覚えます。

    私にはあなたこそ否定的な意見を連ねて他人を貶めんとされているように見えました。

  • はくと

    良き例をありがとうございました。

    資料として目指す方向の違うものを対比として挙げるのは、
    判りやすくて良いと思います。
    しかしここまで表現が離れると、
    どちらが良い資料かは受け手の望む部分にもよるのかなぁと思います。

    この流れで見ると、最後の資料がとても見づらい、
    というのは私にとっては素直な感想です。
    記事として流れに感心しましたのでコメントさせて頂きました。

  • もっと読む
コメントを書く