熊本県などに初の線状降水帯予報 気象庁 15~16日にかけ大雨の恐れ

熊本日日新聞 | 2022年7月15日 21:26

土砂崩れで車線の片側がふさがれた国道219号。左は球磨川=15日午後7時10分ごろ、球磨村渡

 気象庁は15日、熊本県を含む九州北部地方と九州南部に、同日夜から16日午前にかけて、局地的な豪雨をもたらす「線状降水帯」が発生し、土砂災害の危険度が急激に高まる可能性があると発表した。6月に予報を出す仕組みの運用が始まって初めての発表。土砂崩れや浸水、河川の氾濫・増水に厳重な注意を呼びかけている。

 予報を受け県は災害警戒本部を設置。蒲島郁夫知事は「明るいうちに早めの避難をしてほしい」と県民へコメントを出した。

 熊本地方気象台によると、九州北部に停滞している前線が次第に南下する。前線に向かって南から暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定になっている。県内では、多いところで1時間に70ミリの非常に激しい雨が降る恐れがある。

 15日は、芦北町田浦で午後5時46分までの1時間に87・5ミリの猛烈な雨を観測した。14日午後3時の降り始めから15日午後4時までの雨量は人吉市で153・5ミリ、球磨村147・5ミリ、水俣市109・5ミリ。

 県によると15日午後8時時点で天草市や八代市、熊本市など37市町村が計258カ所の避難所を開設。球磨村では国道219号や県道が、土砂崩れなどで片側通行や通行止めとなった。

 交通機関では、九州新幹線の熊本-鹿児島中央間で一時運転を見合わせた。肥薩おれんじ鉄道でも運休や遅れが出た。

 16日午後6時までに予想される24時間雨量は、熊本、天草・芦北、球磨の各地方で250ミリ、阿蘇地方で200ミリを見込む。

 線状降水帯は次々と発生した積乱雲が線状に連なり、同じ地域に大量の雨を降らせる。2020年7月の熊本豪雨では県南部に停滞し、球磨川を氾濫させた。線状降水帯予報は、発生が予測される約12時間から6時間前に出す。予報が的中するのは4回に1回程度とされるが、線状降水帯が発生しなくても大雨となる確率は約6割に上る。(中原功一朗、髙宗亮輔)

【特集】防災くまもと

雨の中、水しぶきを上げながら走る車=15日午後6時過ぎ、熊本市中央区世安の国道3号(谷川剛) 
斜面が崩れた球磨工業高前の道路=15日午後6時半ごろ、人吉市
線状降水帯の発生予測情報を受けて県が設置した災害警戒本部の会議=15日、県庁
記者会見で「線状降水帯」の予報について説明する熊本地方気象台の観測予報管理官=15日、熊本市西区
避難所となった宮地コミュニティセンターに避難し、テレビの気象情報を見る高齢者ら=15日午後7時半ごろ、八代市

記事アクセスランキング

フォローする

  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • youtube