聖杯戦争の監督を任された監督生 3
お久しぶりです。コロナ第二波が怖いですね!
就活はうまく行かなくて一番聖杯に願いたいのは私です←
さて、前作までたくさんのブックマークや好きの反応ありがとうございます!!
続きました!
サーヴァントから見るに、波乱とやはり問題ありな聖杯戦争になりそうですね!
個人的にはフォウくんを出したいところ、、、
ところで皆さんイベントどうでしたか?
作者、フェアリーガラはおじたん来ました///
ゴスマリはエペルを重ねた後、どれだけエペルを出したか忘れるほどになりました。
FGOは大奥を頑張りたいと思います。
それでは!
2020/07/17~2020/07/23の[小説] ルーキーランキング9 位
2020/07/18~2020/07/24の[小説] ルーキーランキング23 位
ありがとうございます!!
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疑問と混乱に満ちた緊急集会は、とりあえず幕を閉じた。しかし、今度は緊急会議が行われることになった。まぁ、当たり前だよね。
「さて、何からお聞きしましょうかね」
「カルデアのことに決まってんだろ。まだ詳しくこいつから聞いてねぇからな」
「さっきの話だと、人類滅亡した感じっスもんね。そりゃ気になるでしょ」
サバナクローのお二人から熱い視線をいただく。いや、この2人だけじゃないけど。
学園長室に集ったのは各寮の寮長と副寮長。そして先生方と聖杯戦争の参加者。あと暢気に昼寝してるのを捕獲したグリム。意外と人数いるわ。ハーツラビュルに関しては、マブダチだから知る権利がある!って言って押しかけたエーデュースも含むが。
「でもそのお話長いんでしょう?」
「まぁ、全部話せば長くなりますよ。何せ1年かけた戦いの旅路だったので。全てが終わった後、査問会に説明した時も数日どころかかなり時間かかりましたからね。でも要点だけ押さえればそれなりには短くできますよ。『空白の1年』の全貌、人類史焼却事件。魔神王との人類存続をかけた戦いの話は、全部で9つの要点に分けられます」
まず思い出すのはマシュとの出会い。運命というのが本当にあるのなら、あれこそ運命の出会いだ。
「魔神王?なんかカッコいいんだゾ」
「まぁ人間じゃないしね。古代イスラエルの王、魔術王ソロモンが従えし七十二柱の魔神の集合体が、ソロモンの遺体に巣食って受肉した存在。それが魔神王ゲーティア。そもそもは人理焼却式・ゲーティアっていう魔術式だった」
「ソロモン王!?」
魔術師はみんな驚くよね。信じられないと呟くリリスの気持ちも分かる。マリスビリー初代所長は、彼を召喚した時点で聖杯戦争に勝利したと言っても過言ではないだろう。それくらい、彼はすごい人だったのだ。そんな片鱗は少しも見せない人だったけれど。
「カルデアを創設した天体科の君主、マリスビリー・アニムスフィアは、聖杯戦争でソロモン王を召喚しました。そして勝利した。元魔術師の皆さんであれば、かの王がどれほどの力を持っているのかお分かりかと」
「ほぅ。かなりの人物のようじゃな。そのソロモン王とやらは」
「我々の魔術世界では、魔術の始まりとなった人物でもあり、その死と同時に神秘の衰退が加速した要因とも言われています。我が時計塔も、かの王の弟子によって創設されたとも聞いたことがあります」
「でも、彼は人間の王としては、悲しい王でした」
妖精族の王となるツノ太郎もといマレウス先輩と王になりたいと渇望したレオナ先輩は、歴史に名を残した王に興味があるようだ。今度話してあげよう。彼がどれだけ自由がない生前を送ったのか。人間となっても地獄のような時間の過ごし方をしなければならなかったのか。そして、その最期を。
ロマニ・アーキマン。ドクター・ロマン。あなたは今、どこにいますか。1人が寂しくて泣いてないといいなぁ。
「まぁ、流石に長すぎますし、それはまた今度にでも」
「なぁ」
「はい、何でしょうリリス先輩」
「俺、お前の話を時計塔にいたころに聞いたことがあったんだよ。カルデアに行った査問官の1人に知り合いがいてな」
これは、想定外だ。まさか査問官の知り合いがいたとは...。カルデアに来た時計塔の人間の全員が全員悪い人だったわけではない。だけど、中には幻術を使って探ろうとする人もいた。賢王ギルガメッシュの粘土板にコンピュータウイルス扱いされて消されてたが。
「お前は、本来の英霊召喚システムとは違って大勢の英霊と同時に契約したたった1人のマスターなんだろ。知り合いが聞いたのは、人類最後のマスターはお飾りで、マスターとして英霊を繋ぎ止める役割しか果たしていない存在だってこと。つまり、お前は能無しの役立たずだったって聞かされたんだと」
「ずいぶんな言われようですね、監督生さん」
「何でちょっと喜んでるんですか、アズール先輩」
「いえいえ。なんでも」
「辛酸を舐めさせられた身としては嬉しいだろうが、悪いなオクタヴィネルの寮長さん。この話は嘘なんじゃないかってことを俺は言いたいんだ」
「どういうことだ」
まさか気づく人がいるとは思わなかった。カルデアのスタッフのみんなが悔しくて思ってくれながら改竄した旅の記録。自分を守るために、全ての記録に藤丸立香はお飾りのマスターだと刻んでくれたというのに。
「さっきのソロモン王の話にしてもだが、1年にも及ぶ壮絶な戦いで、そのマスターがただお姫様宜しく守られる存在なわけがない。元々、カルデアが行おうとしていた任務も、より優れた魔術師によって行われるはずだった。それくらい危険だったってわけだ。普通の魔術師ではすぐに死ぬくらいには。なら、何故お前は生きぬいて来られた?魔術に対してド素人だったお前が。確かに守られてはいただろうよ。お前を失ったら人類の滅亡も決定する状況だ」
「...あぁ。生き抜くためにはマスターとして動かなければならなかったってことか。つまり、役立たずだという事実が間違っている。記録が改竄されていたって言いたいんだな?」
「さすがユーリ。そういうこと。だから、俺は真実を知りたい。藤丸立香。人類最後のマスター。お前自身の口から、お前の旅を。お前が紡いだ物語を」
「どこでそんな口説き文句覚えてきたの。クサいよ」
「酷いなぁ...。だって、その知り合いが言ってたんだ。あれが本当だとしても、あの記録は信じがたい。人類史にとって残さなければならない英雄譚だって」
「へぇ...それは僕も聞いてみたいな」
時計塔の中にも、変わり者がいるんだな。藤丸立香を人類史における魔術界の汚点として見ないなんて。
「疑問なんだが、何で監督生は嘘?をつかないといけなかったんだ?そんな凄いことをしたなら、隠さないほうがいいと思うんだが」
「だよなー。俺もそう思う。だって英雄じゃん!」
まぁ、エーデュースならそう言うよね。でも大人の事情があったんだよ。
「それは、恥ずかしながら我が時計塔の存在があるからだろうな」
「どういうことだ、ダート」
「失礼ながら、此度はコーディとお呼びください。マレウス様」
「こいつは封印指定を受けてるって言ってたじゃないっすか。その処遇はさっき聞いた通りなんですが、そもそも時計塔の魔術師は危険だと判断すれば闇に葬り去るか、利用価値があれば骨の髄まで利用するようなやつばかりなんすよ。で、文字通り世界を救った英雄は実は素人魔術師とあっては、名家の魔術師を送り出した時計塔からすればそれは大恥。あってはならないこと。しかもそいつは多くの英霊と契約しているから脅威になり得る。これだけでもヤバいのに、更にその英霊たちとそのマスターは絆を深め合って共に窮地を切り抜けました〜なんて言ったら、時計塔のお偉いさんたちはみんな一切に封印指定にしろって声をあげるね。もしくは暗殺する。それくらい政治的な影響が大きいんス」
「つまり、カルデアは彼をその手から守りたかったってことです。自分たちを助けてくれた存在に、お前の戦いは無かったことになると突きつけながらも、その行いは藤丸立香を守るためだったのですよ。...愛されてますねぇ」
ナハリ自身は本当にそう思ってるのか分からないが、彼が言うことは本当だったから否定はできない。自分のために心を殺して、悩みながら決断してくれはカルデアのみんなの気持ちを否定したくはなかったから。
「まぁ、そういうことなんだよ」
「お前はそれでよかったのか?」
「うん。あれでよかったんだよ。あの旅は記録に残らなかったとしても、記憶には残ってる。その人たちだけが、覚えていてくれたらよかったんだよ。元々自分が立てる手柄じゃなかったものだし。...エース、自分はね、英雄なんかじゃないよ。誰かがやらないといけなかったことを、自分がやっただけなんだから」
「...やっぱよく分かんないわ、お前」
エースはふいっとそっぽを向いてしまった。デュースは考え込んでしまっている。理解はしてもらいにくいだろう。それでも、いつか彼らが分かってくれたらいいなと思ってしまう。
「なるほどね。あなたが良いと思うのならそれでも良いと思う。でもアタシは、それで良いとは思わないわ」
「え」
「あなた、その話。校内放送で話しなさい」
「え」
もちろん、0から全部よ。なんて脚を組みながら指を突きつけてくるヴィル先輩に開いた口が塞がらない。
「お!いいなそれ!俺、お前のこともっと知りたいと思ってたんだ!」
面倒くさい人がノッてきてしまった。
「いや、何でそうなるんですか!?」
「アタシ、努力を無かったことにされるのが大嫌いなの。この世界なら、あなたが隠さなければならない理由なんて無いでしょ?」
「それは...」
思わず言い淀む。確かに、この世界で魔術協会に怯える必要はない。それでも、真実を語ることには抵抗があった。ここには、時計塔の魔術師たちがいる。もし、他にも転生者がいたのならと考えてしまう。いや、自分と同じく転移してきた存在がいて、更に魔術師だったらもっと大変なことになる。
「いいんじゃない?僕も聞きたいし」
「サリー先輩...」
「聖杯戦争に参加すると言っても、僕はただの魔術師として参加する。時計塔の魔術師じゃなくてね。他のみんなもそうだと思うけど」
「あぁ。ここには時計塔は無い。魔術協会も無い。お前が恐れる必要もないだろう」
「コーディ先輩の言う通り。僕らは同じ時計塔の魔術師には派閥のしがらみが残ってるから、そこは遠慮なく引き合いに出すけど、一般人にどうこういうつもりはない。そんなことをしたら、ただの弱い者いじめだ。それを平気でやるのが、君主たちなんだけどね」
「でも、ここにいる人達以外に転生者や自分と同じ転移して来た人がいたら...」
「お前、時計塔から開位もらったんだろ?なら大丈夫だって」
「どういうことだ」
「レオナ寮長、そんな睨まなくてもちゃんと話しますってば」
「お前、開位の称号を与えられたのか!?」
「えぇ、まぁ...」
コーディが驚いた顔をしているが、そんなに凄いものだったのだろうか。説明されたけどよく覚えてない...。
「時計塔の魔術師には、階級があるんス。上から冠位、色位、典位、祭位、開位、長子、末子。真の最高位は冠位なんすけど、ほとんど幻の称号なんで実質的な最高位は色位っすね。大半の君主ですらそこ止まりっス。最高位の術者には、色の名を冠した称号が与えられるんすけど、そこでもまた位分けがされてるッス」
「なんか、面倒くさそうですねぇ」
「他のも面倒ですよ、学園長。第四階位の祭位は魔術師の能力の評価とは別に特殊な技能・実績には対して与えられる名誉階級です。だから、本来なら色位を超えるような人から、純粋な能力では開位以下の魔術師まで実力はピンキリ」
「それはそれでまとめ方が雑では?」
「ですよね」
「で、監督生がもらったっていう開位はどうなんですか!?」
「うわっ、何で君たちのほうが食いつきがいいのさ」
「だってダチが凄いやつだって分かって興奮しない方がおかしいでしょ!」
サリーが引くほど興奮しているデュースは、当然なことだと言っているが、みんながそう思うわけじゃない。見ろ、目を背けた心が汚れている者達を。彼らは喜ぶどころか、嫉妬する人間なんだ。ちなみに時計塔はほぼ全員目を背けた。
「...開位は、上位ではないが、自分の魔道を確立したものの階位とされている。家ができてから500年程度の平民出身では、よほど頑張っても開位が限界だ。つまり、新しい魔術師の家系が500年かかってようやく辿り着く階位を、一代で与えられたことは紛うことなき尊敬に値する名誉なことだ。人理修復に関しては、裏にどんな思惑があろうとも時計塔が認めた功績だということだ」
コーディ、分かりやすい説明ありがとう。自分、とんでもないもの貰ってたんですね...。もうお前もこっちの世界の一員だぜって感じのやつじゃん。そんなたいそうなもの、熨斗つけて返したいんですけどって言ったら、もったいないからそのまま貰っとけってトレイ先輩に言われた。えぇ...。
「つまりだ。その開位を与えられた位待ちに相手は素人とはいえ喧嘩売ろうとは思わないってことだよ」
だから、安心して全部吐け。やだ、リダ先輩超良い笑顔!だけど台詞がヤーさん。
「人の子よ」
「ツノた...マレウス先輩」
「別に前の呼び名のままでも良いのだが?」
「えぇ...じゃあ2人きり限定で」
「ふふ...。あぁ」
マレウス先輩は目を細めて笑っている。いつも暗闇の中だったからよく見えなかったけど、マレウス先輩も顔が良いな!!
「ところで人の子よ。僕もお前の話を聞きたい」
「え、マジで?」
「あぁ。お前が大切にしているものを、僕にも見せてくれないか」
自分の大切なもの...。カルデア。カルデアのスタッフさんたち。フォウくん。英霊のみんな。マシュ。これまでの、自分だけの物語。
「...うん。分かった。教えてあげるよ。たくさんあるから、少しずつね」
「あぁ。楽しみにしているぞ」
「うん!」
教えてあげる。カルデアの愛と希望の物語を。薬中名探偵が楽しみにしてたゲーティアの残した事件を。最後のチャンスを掴んだ選ばれし者たちによる、世界を賭けて信念をぶつけ合った殺し合いの物語を。カルデアひよこクラブでの読み聞かせには定評があったんだからね。
予想もしてなかった展開があったけど、その後は聖杯戦争の規約が決められた。みんな生徒であるから、学園の建物や他の生徒に対することには協力的だったおかげで、割とすんなり決まった。
聖杯戦争inNRC 10カ条
1.一般生徒を聖杯戦争に巻き込まない。できるだけ怪我をさせない。
2.学園の建物をできるだけ壊さない。破壊した場合は、当人たちが片付ける。
3.鏡の間、寮内では戦闘を行わないこと。
4.昼間に英霊の闘いは禁止。しかし、決闘という周りの安全が保証されている場合のみ認める。
5.魔法、魔術は相手を殺さないこと以外の縛りはない。
6.英霊の有無に関わらず魔術師同士の争いが起きたら裁定者はそれを見守るが、手は生徒が危険な時以外は出さない。
7.英霊が消滅し、その状態で夜明けを迎えた場合、参加者の資格は剥奪される。しかし、協力者としての参加は許可する。
8.英霊に対して、人外であっても人権を保障すること。
9.英霊に害されそうになった場合は、マスター権限に置いて英霊を拘束し、裁定者に英霊を引き渡すこと。
10.裁定者に勝敗に関わる協力を仰がないこと。
以上は決まり次第すぐに校内放送で伝えられた。巻き込まれれば最悪死ぬと震えていた生徒にとって、安心できる制約だろう。これは、アズール先輩のユニーク魔法でしっかりと誓約されたというお墨付きだし。...たこだけに。
しかし、これは魔術師にとっては抜け道だらけの制約なのだが。本人達の良心に任せるしかないこともある。学園側は、参加者の身の安全については何一つとして記載されていないことに、いつ気づくだろうか。
そして、夜。オンボロ寮裏手の森には、7つの召喚陣が描かれていた。クルーウェル先生に借りた水銀を、リドル先輩とアズール先輩に手伝ってもらい正確に完璧に再現された、英霊召喚の魔法陣。それを、懐かしい気持ちで眺めていた。
参加者たちは、友人などに説明するために一度寮に戻っている。制約で昼に戦いは無いとはいえ、聖杯戦争が始まれば側にいると巻き込まれる可能性は上がる。魔術師は相手を策略に嵌めることか得意なのだから、裏の裏をかいて制約の縛りを潜り抜ける可能性もあるのだから、用心にこしたことはない。
彼らがここにもう一度集えば、召喚の儀が始まる。自分は触媒として、彼らの相棒たる英霊を召喚する。共に闘った仲間が、自分以外をマスターと呼ぶことは不快ではないかとリダに聞かれた。確かに、ちょっと複雑な気分だ。かつて自分をマスターと慕ってくれた仲間達が今度は殺し合う、というのもツラい。だけど、あの状況は特殊だったんだと理解している。
本来なら聖杯を求めて争うために召喚される英霊を、世界を救うために召喚するのだ。目的がそもそも違う。みんなもよく、呼びかけに応じてくれたと思う。聖杯を与えられることはないのに、共に戦ってくれた戦友たち。彼らの扱い方はよく分かる。それだけが、自分が自慢できることだ。その力を使うために、自分はルーラー役に選ばれた。それに、望み薄だが期待もしている。もしかしたら自分を触媒にすることで、彼らは自分を覚えていてくれているのではないか。感情が付随する記憶は無くても、座の記録には残されているのではないかと。だから、少し彼らに会うのが楽しみだった。
「全員、揃いましたね?」
各々返事が聞こえる。マスターとなる参加者達は全員、魔法陣の前に立っている。事前にどのように召喚を行うかは学園側も含めて全員に説明してある。
ユニーク魔法以外呪文らしいものを唱えない魔法師
たちは、召喚の呪文に先生も生徒も変わらず興味津々である。
「立ち合い人の皆さんは、自分が合図をするまで話さないでください。ただ、見守ってください。手を出していいのは、英霊がマスターを害そうとしたときだけです」
誰が来るか分からない召喚だ。カルデアの召喚システムと似ているが、勘違いして即殺されたりしたら大変だ。某ファラオとかヤバいらしいし。
「それでは、召喚を行います」
マスター達は右腕を陣の上に伸ばし、令呪を掲げて告げる。
『素に銀と鉄 礎に石と契約の大公
降り立つ風には壁を
四方の門は閉じ 王冠より出で 王国に至る三叉路は循環せよ』
魔法陣から生じた風が、森の木々を騒がせる。魔法陣から溢れ出す光によるプレッシャーが、立ち合い人達の言葉を失わせた。
魔法陣の光に呼応するように、マスター達の令呪が光りだす。
『閉じよ 閉じよ 閉じよ 閉じよ 閉じよ
繰り返す都度に五度 ただ 満たされる刻を破却する
----告げる』
風が強まると同時に、魔法陣の光も増す。
何か、恐ろしいものがやってくる。そんな印象を、魔法師たちは感じていた。
『汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い この意 この理に従うならば応えよ
誓いを此処に
我は常世総ての善と成る者
我は常世総ての悪を敷く者
汝三大の言霊を纏う七天
抑止の輪より来たれ 天秤の守り手よーーー!』
呪文が終わると同時に、視界を奪う程の風と光が森を照らした。何者かが降り立つ足音を聞いて、目を開く。すると、見慣れぬ者がマスター達の前に現れていた。ある者は立ち、ある者は跪いている。
コーディ・ブレア・エインズワースの前には、深紅の弓を持ち、褐色肌と生気に満ちた瞳が印象の男。古代ペルシャの伝説の大英雄が。
「召喚に応じ参上した。東方の大英雄とは俺のことだ!よろしくな!」
リダ・アンナードの前には、日本帝国海軍の軍服を着た青年と浮いている謎の美女。維新の英雄が。
「召喚に応じ参上した。ああ、こっちは相棒のお竜さん。僕ともどもよろしく頼むよ」
「よろしくな、人間。……ところでお前旨そうだな」
「いやいや、ダメだからね……」
ユーリ・アレスチア・コットの前には、頭部に角が2本、お尻には先が割れた竜の尾のようなものがあるフリフリの衣装に身を包んだ美少女。未来の自分を否定する少女が。
「アナタが新しいマネージャー?ヨロシク、大切に育ててね♡……げ」
リリス・アザリアの前には、茨を思わせるドレスを纏い、仮面をつけた淑女。血の伯爵夫人が。
「あら。これも運命というやつかしら。サーヴァント、アサシン。……ふふ」
ナハリ・ミオの前には、緑髪の幼い白拍子風の格好に竜の角が生えた少女。嘘を嫌い、燃える恋する少女が。
「こう見えてバーサーカーですのよ?どうかよろしくお願いしますね、マスター様」
サリー・ナバレ・コルスタリアの前には、あどけなさを残した風貌に赤い舞踏服(ドレス)に身を包んだ少女剣士。薔薇の皇帝が。
「サーヴァント、セイバー。呼び声に応じ推参した!うむ、よくぞ余を選んだ!違いの分かる魔術師よな!」
ザット・フィーレの前には、ただの人間にしか見えない幸薄げな美少年。その実、世界の裏側で約束の人を待つ元ホムンクルスの邪竜の末端末が。
「サーヴァント、キャスター。申し訳ない、ただのホムンクルスだ。戦力としては期待できないも思うが、登録された宝具ならどうにか戦えそうだ。存分に使ってくれ」
英雄、反英雄、過去と未来の人格の邂逅、呼ばれるはずのない名もなき英雄。
これは、波乱の予感。
手を叩き、注目を集める。
「此度の聖杯戦争の監督役、藤丸立香がここに宣言します!
英霊七騎の召喚をもって、ただいまより、聖杯戦争を開始する!!!」
さぁ、歪んだ世界で聖杯戦争の幕開けだ。