勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
権力ある者の不適切性を過小評価する「ゆるふわ権威主義」
問題は、山上容疑者が安倍氏にも怨恨の矛先を向けたことは、単なる逆恨み(筋違いなことを理由に人を恨むこと)に過ぎないか否かです。安倍氏の祖父・岸信介元首相は、統一教会の日本進出当初から関係が深かったとされ、“後継者”の福田赳夫大蔵大臣(のちの首相)が1974年5月7日に開催された統一教会の「希望の日」晩餐会において、文鮮明氏を褒めちぎっている映像がインターネット上で出回っています。
個別の現役政治家と家庭連合の癒着に関してここでは詳細に触れませんが、霊感商法対策弁護士連絡会、塚田穂高氏(研究者)、ジャーナリストの鈴木エイト氏、有田芳生前参議院議員等が明らかにしている通り、自民党を中心に、歴史的にも根深い癒着があったと言っていいのではないでしょうか。
山上容疑者は2021年9月にUPF(天宙平和連合/家庭連合の関連団体)のイベントに安倍氏が送ったビデオメッセージが犯行のきっかけと供述しており、安倍氏はUPFの活動や総裁の韓鶴子氏を賞賛するコメントを発していました。「(安倍氏は)現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人」とした山上容疑者の捉え方はあながち間違っていないように思います。
Twitterには、「山上容疑者は自分だったかもしれない……」「彼の気持ちが痛いほどわかる」という類の「宗教二世」のコメントがいくつもありました。このことからも、カルトの被害者やその二世が「関係が深い政治家に対して強い恨みの感情を持つ」ことには、一定の蓋然性が存在するのかもしれません。
以上のことを考慮すると、再発防止には以下のような対策を施すことが必要不可欠です。
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