遠藤まめた(えんどう・まめた) 社会活動家
一般社団法人にじーず代表。1987年埼玉県生まれ。トランスジェンダー当事者としての自らの体験をきっかけにLGBTの子ども・若者支援に関わる。著書に「先生と親のためのLGBTガイド 〜もしあなたがカミングアウトされたなら」(合同出版)、「みんな自分らしくいるためのはじめてのLGBT』(ちくまプリマー新書)ほか。トランスジェンダーの情報サイト「trans101.jp」主宰。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
政治家と結びつく一方で、各地で草の根の取り組みも
前述の山口氏は、これまで20年近くにわたり、ジェンダー・セクシュアリティに関する日本の宗教保守派の動きを追ってきた。今回の安倍氏殺害事件を受けて、統一教会についての関心が高まる中で、同団体がおこなってきたジェンダーや性教育に対する介入について、多くの人がいまだ無関心であることについて、山口氏はこう語る。
「今回は統一教会、数年前には日本会議について注目が集まり、政治との関係がとりざたされた。でも日本会議や統一教会の活動のメインテーマに、ジェンダーやセクシュアリティの話があることはずっとスルーされ続けている。この部分を抜かしては、かれらが私たちの社会にどのような影響を与えてきたのかを本当に理解することはできない。メインストリームのメディアがまったく興味を示さないのは問題で、もっととりあげてほしい」
今回の参院選で、統一教会から支援を受けて当選した自民党の井上義行氏は、選挙期間中に統一教会系の団体の支援集会に呼ばれ「同性婚には断固反対」と述べて喝采を浴びた。このように一見わかりやすい政治との結びつきもあれば、草の根で自分たちの主張を広めるための地道な宗教右派の取り組みもある。宗教団体によるプロパガンダだと知らずに、統一教会のウェブメディアをリツイートしている人は、SNS上に少なからず見受けられる。
日本で同性婚やジェンダー平等を実現し、性教育をもっと推進すべきだと考えるのであれば、反対運動を行っている相手がどのような手法をとってきたのか、まず知ることが重要だ。
「まめたの虹色時評」は月に1回程度、掲載していく予定です。ご期待ください。
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