宮台真司氏「掲載中止よりもマシ、Twitterで捕捉」 朝日新聞がインタビューから削除した「重要なポイント」
社会学者の宮台真司・東京都立大教授(63)が安倍晋三元首相の銃撃事件について朝日新聞に語ったインタビュー記事で、「重要なポイント」を朝日新聞側に削除されたとツイッターで訴えている。
「自民党と統一教会についてのズブズブ」などについての記述が削除されてしまったという。これに対し、朝日新聞社は、「個別の記事の編集の経緯や判断には答えを差し控えます」などと取材にコメントした。
担当記者は記述を残そうと奮闘
「元首相銃撃 いま問われるもの」。記事は、こんなテーマを掲げ、「『寄る辺なき個人』包み込む社会を」などの見出しで、2022年7月19日付朝刊やウェブ版に掲載された。紙媒体(東京本社最終版)では、1面と3面に展開された。
記事は、山上徹也容疑者(41)による銃撃を受けて、凶行に至った社会的土壌に目を向け、「寄る辺なき個人をいかに社会に包摂するか」を考えていくことが大切だと宮台氏が説いている、と内容を紹介する前文で始まっている。
この記事について、日本の政治の闇を語っていないとの指摘が識者から出た中で、宮台氏が19日、ツイッターでその事情を説明しながら削除について明かした。
それによると、旧統一教会が提唱する原理を学ぶ団体の原理研究会が1970年代末以降どのように活動していたかや、自民党と教会が2000年代末以降にズブズブの関係になっていたことについて、宮台氏の元の原稿では言及されていた。しかし、朝日の担当記者がその記述を残そうと奮闘したにもかかわらず、記事公開に当たって、それらの部分が削除されたという。
具体的には、「70年代末からの原理研究会勧誘問題」と「ゼロ年代末からの集票とアイコン提供のバーター問題」といった内容になっていたとした。
宮台氏は、「元原稿の重要なポイントが、朝日新聞社によって削除された」とし、次のように明かした。
「何度もおかしな文章になることを申し上げ、掲載が約束の月曜から火曜にズレたのですが、掲載中止よりもマシ、Twitterで捕捉する(原文ママ)、という判断をしました」
「不見識が疑われたら削除の一件を公開しようと思っておりました」
そのうえで、宮台氏は、「朝日には申し訳なありませんが(原文ママ)、僕の不見識が疑われたら削除の一件を公開しようと思っておりました。疑ってくださったことを感謝いたします」と識者らにリプライを返していた。
宮台氏の告白は、ネット上で関心を集め、「どおりで抑制された文章だなあと感じました」「どこかでその記事を公開して下さい。気になります」といった声が寄せられている。朝日に対しては、表現の自由を侵害しているのではないといった疑問も一部で出た。
インタビュー記事では、自民党と旧統一教会について宮台氏が語った部分はある。朝日の記者から「事件をめぐり政治と宗教の関係が注目されています」と聞かれ、宮台氏は、「安倍氏は旧統一教会の友好団体の集会にメッセージを寄せるなど、両者が密接な関係にあると受け取る人がいても不自然ではない」「独特の世界観と過度な資金集めを特徴とする宗教団体が、長い時間をかけて自民党などの政界に浸透しているように映ります。現代日本政治のタブーが図らずも浮かび上がった形になりました」などと説明していた。
宮台氏の投稿について、朝日新聞社の広報部は7月20日、J-CASTニュースの取材に対し、次のようにコメントした。
「インタビュー記事は、取材をさせていただいた方とやりとりをした上で掲載しています。個別の記事の編集の経緯や判断につきましては、お答えを差し控えさせていただいております」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)