今日、1月7日、東京の道路は、一部、凍結していたので、今回は、マイクロ波で氷を加熱するというトピックにいたします。
まずは、その前提として、マイクロ波で、氷でなく、液体の水を加熱することから始めます。
電子レンジにマイクロ波が使われていますが、電子レンジでチンする原理としては、マイクロ波が食品に含まれている水を加熱する、という説明がされることがあります。たしかに、この説明そのものは正しく、マイクロ波が水を加熱することができます。
ただし、水が全く含まれていない陶器、例えば、お茶碗であっても、マイクロ波は加熱します。
即ち、マイクロ波が加熱する対象は、水に限られない、ということです。
一方、マイクロ波は、氷をほとんど加熱しません。全く加熱しないという意味ではなく、多少は加熱します。
例えば、電子レンジで冷凍食品とか、冷凍しているピザを加熱するときには、それなりに加熱時間がかかったりします。
マイクロ波を氷に照射したときには、マイクロ波が熱に変換する効率が悪いのです。
水も氷も分子レベルでは、H2Oから構成されています。
液体の水のときには、酸素原子は2つの水素原子と共有結合しています。更に、0個、1個又は2個の水素原子と水素結合しています。
液体の水のときには、共有結合と水素結合は区別することができます。要するに、共有結合は簡単に切断することはできないのですが、水素結合は簡単に切断したり、新たに生成したりすることができます。
室温程度の熱エネルギーがあれば、水素結合の生成、切断は容易に速やかにおき、全体として平衡になっています。
しかし、固体の氷になったときには、酸素原子が4つの水素原子と化学結合しています。4つの水素原子の位置は、正四面体の頂点となり、酸素原子は正四面体の中心に位置します。
このとき、酸素原子と水素原子の化学結合は、どちらかというと共有結合になっています。
固体では、酸素原子は特定の位置を中心として若干の振動をすることはできでも、酸素原子は回転することはできません。
一方、液体の水では、水分子H2Oを単位として、回転することができます。この回転のときには、水素結合は切断されるということです。
このような水分子の挙動の相違に起因して、マイクロ波は固体の氷を簡単には加熱できないのです。