シグモイド性質と公式

最終更新: 2022年4月17日
シグモイド関数の定義
  次の関数
シグモイド関数の定義
シグモイド関数(sigmoid function)という。
シグモイド関数の図
この関数には以下のような性質がある。
単調増加性
  シグモイド関数は単調増加関数である。 すなわち、正の数 a に対して、
シグモイド関数の単調増加性
が成り立つ。
証明
  a が正の数であるとき、
が成り立つ。最後の不等号では、ea<1ex>0 を用いた。 したがって、
である。

± における極限
  シグモイド関数の ± における極限はそれぞれ
である。
証明
  まず
であるので、
である。 これと関数の商の極限により、
である。
  一方で、
であるので、
である。これと関数の商の極限により、
である。

シグモイド関数の対称性
  シグモイド関数は、点 (0,12) に対して点対称な関数である。 すなわち、
が成り立つ (下図参考)。

証明
  シグモイド関数の定義から
であるが、 一方で、
であるので、
が成り立つ。

シグモイド関数の微分
  シグモイド関数の微分は
である。
証明
  シグモイド関数の定義関数の商の微分により、
が成り立つ。

シグモイド関数の積分
  シグモイド関数の積分は、
である。
証明
 
とする。 t=ex+1 と置くと、
であるので、置換積分によって、
である。 最後の行で分数の対数関数の性質を用いた。
  この結果は シグモイド関数の定義によって、
と表すこともできる。

シグモイド関数の逆関数
  シグモイド関数を
とするとき、
である。すなわち、シグモイド関数の逆関数は
である。
証明
 
と置くと、 y>0 であるので、
と表すことができ、 これより、
であるので、 対数関数の定義から、
と表せる。 ここで 0<y<1 であることを用いた。

変曲点が (0,12)
  シグモイド関数には唯一つの変曲点 (0,12) がある。

証明
  シグモイド関数の微分は、
であるので、 商の微分の公式を用いると、 二階の微分は、
であることが分かる。 したがって、
であるので、 S(x)x=0 のときにのみ変曲点を持つ (S(x) の符号が入れ替わる)。 S(0)=12 であるので、 S(x) の唯一つの変曲点は (0,12) である。

双曲線関数との関係
  双曲線関数
シグモイド関数の間には、
の関係がある。
証明
  双曲線関数の定義シグモイド関数の定義により、  
と表されるので、
である。

ステップ関数 (階段関数) との関係
  シグモイド関数を一般化し、a>0 に対して、
と定義するとき、 この関数は a+ の極限において、 ステップ関数に近づく。
a=1 の場合 (赤色)
a=3 の場合 (オレンジ色)
a=8 の場合 (茶色)
階段関数 (青色)
解説
  x>0 のとき、
であるので、
である。 一方で、 x<0 のとき、
であるので、
である。
  したがって、S(a,x) は、
の極限を持つ関数である。
  この性質と 階段関数の定義
を比べると分かるように、 十分に大きな a に対するシグモイド関数は、 階段関数の良い近似となる。

補足
  シグモイド関数は深層学習システムの中で、 各層から出力される中間データを変換する活性化関数として利用されることがある。