石川よしひろ ACOUSTIC LIVE "i-voice"
スペシャル・ゲスト 俳優 小木 茂光
  in 吉祥寺Star pine's Cafe
2003.4.19

 4月19日(土)、吉祥寺スターパインズ・カフェにて石川よしひろさんのコンサートに小木茂光さんが、ゲスト出演されました。
 アーティスト・石川よしひろさんとアクター・小木 茂光さんの絶妙なるミュージック・コラボレーション。
 このレポートは、その時の様子の一部をワタクシの多少の記憶違いとともにお伝えするものです。
それは、数曲ご自分の曲を歌われた後に
軽快な石川さんによる小木さんの紹介

で始まりました。

ゲストが、こんなに早く出てくるなんて・・・。いいんでしょうか。
「遠くから来ているゲストのファンの皆さんのために・・・」暖かいお言葉です。
石川さんのファンも遠くから沢山、お見えになっていますのに・・・。
良い人ですね。ほんとに・・・。

紹介されて登場する小木さん。
今日は、真ん中分けだけどムースは、つけていません。
丸いおなじみのメガネをかけています。服装は・・・なんだったっけな。
黒っぽいシャツ・・・。黒っぽいズボン。黒い革靴。確かそんな装い。
ひたすらお顔にばかり見とれていたことに気が付く今のワタクシ。
お友達関係のお二人です。
初めて出会ったのは、石川さんが23ぐらいの頃のこと・・・。
小木さんは、「一世風靡SEPIA」の全盛期。夜ヒットの常連でした。

黙ってても嫌じゃない人・絵になる人
「笑わない・喋らない・動かない男」
平気で話し掛ける女の子達に「チャレンジャーだな~。」と思ったという石川さん。
普通の顔が恐い人、それが、小木 茂光 さんでした。
そう・・・彼は、例えるならシベリアン・ハスキー犬の様な人なのです。
デビューする頃のこと
・・・小木さんは、確かこんな事を言っていました。

何やって良いか解らずにいたころ、どうしようと思って・・・。
とにかく仕事を持っていたから週末をそうやって埋められればおもしろいかなと・・・。
おもいっきりホコ天の走り。
最終的には、かっこよくなったが、はじめは、漫画のパロディなど馬鹿馬鹿しいことをやっていた。
踊りもそんなにかっこよくなかった。デビューするとは、・・・思ってなかった。
お互いのキャラクターが被らないようにと自己主張しながらやっていた。
まさに自分探しだった。まさに・・まさに・・。

高校生の頃、同級生と夜になると山の上のテレビ塔に登り、街を見下ろすのが好きだったという小木さん。

・・・こんなちっぽけな街に住んでいるんだ。俺たち・・・。

全ては、そこから始まったそうです。


歌うこと

良い気分になったときに小木さんが、歌っていたのを聞いて
「この人、一人でも歌うんだ・・」と思ったという石川さん。

ワタクシは、小木さんが、ソロで歌った「旧市街メディナの風景」(「道に落ちていた男」収録)が好きでした。
それは、「なんと街の空気を歌う人だ・・・」と思ったからでした。
目の前に広がる情景はもとより、乾いた砂漠の街の空気やほこりっぽさ、
そして、強い光と影をこれほどまでに歌う20代って・・・。
そうそういるものでは、ありませんよ。
後にも先にも・・・。


「月のあかり」(歌・小木茂光  )

歌い終わった小木さん。

「なんか、すごいカラオケで歌ってる・・・」(気分?)
「緊張しているせいか、指がつってしまう。」
11年ぶりに歌ったそうです。
歌は、けじめをつけるためにあきらめたという小木さん。

・・・俳優として生きていくためにいろんな事しなきゃいけないから・・・

歌は、しばらくやめとこうと・・・。
なにはともあれ過去のイメージから脱却しようとした人の選択の一つなんでしょう。

「夜ヒットのマンスリー時代、誰とも喋らなかったですね」と石川さん。
「それが、自分のイメージだったから・・・」
と小木さん。
若者の胸にあふれる言葉は、別の形で作品として表出されている時代でもありました。

「一世風靡」卒団後、ソロで2年ほど歌をやられた小木さん・・・。
ライブ活動もなさっていました。
3種類のインディーズ版が、そのソロ活動の記録を留めています。
今となっては、希少価値のある幻のCDです。
歌をあきらめざる終えなかった男の事情・・・そこには、どんな歴史が刻まれているのでしょうか。


俳優の世界へ

子供の頃、ハメルーンの笛吹の主役をやった石川さんの話。
「僕ならネズミの一人でついて行っちゃう役の方だったな・・・」と小木さん。
「小木さんが、やると182センチのネズミ?ちょっといないよね。そんなネズミ・・・」
前に前に・・・どうやらそんなタイプの子供じゃなかったらしいです。

時々いる、子供の頃からもちょっと大人びた少年、そんな感じだったのでしょうか。

石川さんの明るいトーンの質問ににこやかに、そして物静かに答える小木さん。

台本は、車の中で覚えるそうです。
覚えるのは、そんなに難しくはないらしいけど。

・・・流れがあればね・・・

「自分の中で役柄が理解できたらすぐはいる。
でも、理解できないときは、丸暗記ですよ。
相手のセリフは、感覚で捕らえる。
こういう事、言われるな・・・だから、こう自分が、答える。」

俳優にとってセリフを覚えて喋るのは、ミュージシャンが、歌を歌うのと同じ感覚らしいです。
そういう、脳の構造になるとそれは、意外に簡単なのだそうですが・・・。
そういうもんなんですか・・・と石川さんと一緒に感心する私たち。
単語を覚えるのは簡単だけど、文章を覚えるのは、ちょっと大変ですよ。一般的には・・・。

楽器について

「ギターは、昔弾いたことがある。」

そう、SEPIAのコンサートでもソロでギターを弾きながら、小木さんは、歌っていました。
まさに、座ってても絵になる姿で・・・。

二曲目を歌う前に「風邪気味なんで・・・」といってポケットからテッシュを取り出す小木さん。
風邪の原因は、「踊る大捜査線2」の撮影現場の密室にあります。
その、洗礼を受けてしまい、まだ、完治なさっていないご様子。
でも、歌い出すと朗々と伸びやかな声・・・。さすが・・。

「小木さんは、ハンケチをちゃんと持っている人なんだ・・」と、感心する石川さん。
一瞬の間の後、「ハンケチ?」で場内は、爆笑。すると「僕、江戸っ子なんで・・・」と石川さん。
「僕が今だしたのは、ティッシュですよ」と珍しく突っ込む小木さん。
でも、ちゃんとハンケチも持っていそう・・・。



「歌っていると詞の気持ちが伝わる。
どういう気持ちで書いたんだろうって・・・。」
石川さん21歳の時の曲を歌う前の小木さんのコメントです。
・・・好きな女性とも上手く行かず・・・
「そういう思いの一つや二つありますよ。自分の思いが上手く行かない事って・・・」

世の中は、そうそう上手く行くことの方が少ないですよ。と彼らと同年代のワタクシなんぞは、思います。
まぁ、それでも時々、良いことがあるのですよ。今夜のように・・・。
こういう夜をグット・ナイトっていうんでしょうね。やっぱり・・・。

歌「笑っておくれ」 (歌 小木 茂光 、作詞作曲 石川 よしひろ 1990.11.25Dream Road収録

・・・思い出す。お前の笑顔・・・笑っておくれ・・・俺だけのために・・・

「青いけどいいね・・・ってかんじだね。」
歌い終わった小木さんの第一声。

成長によって変わっていく人間
成長していく歌
自分で歌っていてもしっくり来るものとこないものがあるという石川さん。
ご自分で作られた歌でもさらに自分の中で広がり成長していく歌と、反対に、もはや心に落ちてこない歌があるそうです。

多分、それは、気持ちが、その当時を卒業しちゃったからなのかも・・・。
作品は、またきっと共感する若い世代に受け継がれ、歌い続けられて行くのでしょう。
ほら、作品って作られたときから一人歩きしていくものだし・・・。
そうやって段々に普遍的な存在になっていくっていうから・・・。

大人になると若い頃にやっていたことと違う価値観を見つけることがあります。
成長とばかりは、言い難いけれど・・・。

自分が過去にやったものの再演を役者は、どう捕らえているのかな?という石川さんの質問に
「同じ事は出来ないから、自分の中でこなしちゃって、多分違うものになるね。」と小木さん。
目下、一倉さんで実感中・・・?

ものを作ること

「嫌いじゃないし、楽しい・・。」


シナリオを書いたりすること

「役柄の中で貯まってきたものを表現する。
役によっては、眉間にしわが、寄ってくる・・・そういう役多いですから、
役柄の中で突き詰めなきゃいけないことを書いていく。」と・・・。

監督からの注文で変えるのは、ストレスじゃない?と石川さん。
「納得できるものを出すのが仕事。それは、ストレスではない。答えられるものをおだししましょう。」
プロのアクターが答える。感心して頷くプロのアーティスト。

でも、石川さん
「いろいろ言われるとシングルって何だ!?1曲、2曲入っている奴じゃねぇか~ってなっちゃう」
と、少々、興奮気味に語る。
「そういう想い・・・いっぱいしたんだね・・・。」
小木さんの優しい一言は、思い出してもなんだかしみじみ心に染みます。


表現者


「ぼくらは、表現者だから・・。」
もっと新たな試みをしようかといつも思っているそうです。

「曲は、作らないけど僕が思ったことを歌詞にして石川よしひろに曲つけて貰って
こんなの出来ましたとみんなに披露したらおもしろいかな。時間があれば・・・」

どうやら今日という日を三ヶ月後の7月19日と勘違いしていたらしい小木さん。
「さすがに三月に思い出して・・・」
あせったようです。


人見知り・・

人見知りして黙ってしまう小木さんに
人見知りして喋りっぱなしになる石川さん。
そんな石川さんが、黙っていても気にならない人、
それが、小木さん。
長続きする友達関係って、そういう組み合わせなんでしょうかね。やっぱり・・・。


東京の空の話

盆、暮れ、正月だけ青い空が見えるという東京。
長渕さんの「東京のパカヤロー」を東京の人が歌うと腹が立つと言う石川さん。
「お前が、言うなって」思うらしい。
どこに住んでてもやっぱり故郷への思いは、みんな強い。
都会であろうと、田舎であろうと・・・。




いつかまた、「道」に戻る?
「それは、むずかしいね。もう自分の根底を流れているから。
本籍地にしちゃったぐらいだし・・・。」
そう、小木さんは、「道に落ちていた男」を地でいっちゃった人なんです。
ちなみに皇居を本籍地にしている人も日本にはいるんですよ。
皇室の方以外に・・・。知ってた?

自分の内にあるものに帰ることは、出来ない。
それは、もうとっくに同化してしまったものだから・・・。

「道」に戻りますか?
何度と無くその質問は、繰り返される。
そして、この人は、その度にこう答えてきたのだと解る瞬間。

でも小木さんを見るとつい聞きたくなるんですよ。

「道」についてどう思いますか?

だって「道」を極めた人ってそうそういないでしょ。
だから、どうやらみんな、小木さんを見ると聞きたくなるんです。

「道」についてどう思いますか?って。

歌「街で生まれた唄」(小木茂光 一世風靡SEPIA)

・・・街は、今日もまた行き交う人で白くけぶる・・・

小木さんは、癒し系キャラだと盛んに言う石川さん。
そうでしょ、そうでしょと頷くワタクシ。
あの笑顔に、あの堅い表情に魅了されます。
なぜ?
沢山の作品を見てもそれは、未だになぞです。
だから、これからも追い続けてしまうのです。
考えてみれば、不思議な人。

小さな街から大きな街に、夢と希望を求めてやってきた一人の若者。
もの静かな情熱を秘めたその人は、今、プロの俳優になっています。

今夜は、初めて生で見るアーティストとしての小木 茂光さんを
柱の影ならぬ、柱の前からじっくりと堪能させていただきました。

石川さん、ごちそうさまでした。
ベスト・ナイトをありがとう。

以上、小木さんのご出演されたライブの一部をお送り致しました。


石川よしひろさん

 甘く切ない歌声に心地の良い時間を過ごさせて頂きました。全部で3時間半に渡るロング・ライブ。あっという間に感じました。いつまでもあの会場にとどまっておきたいような、そんな感覚です。
 会場のファンと一体となった石川さんの明るく楽しいトークは、その魅力あふれる歌声と共に忘れ得ぬ時間を私たちにくれました。また、素晴らしいゲスト企画をありがとうございました。
ここに、感謝の意を込めてお礼を並記させて頂きます。

(by ERIN 2003.4.21)

クールイズビューティ セカンド

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